ユーラシアリサーチ 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心に旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

カテゴリ: ウクライナ

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 小泉悠さんの新著『現代戦争論 ―ロシア・ウクライナから考える世界の行方』(ちくま新書)を読了したので、簡単にご紹介。サイトから紹介文をコピーさせていただくと、

 わずか3日で終わると予想されたウクライナ戦争は、開戦からもう4年を迎える。なぜここまで長期化したのか。どれだけの人が死んだのか。米トランプ政権成立で激変した世界秩序の中、日本はいかにふるまうべきか。21世紀における戦争を私たちはどう考えたらいいのか。ロシア情勢の第一人者として悲惨な実態を伝え、ロシアへの無期限入国禁止処分を受けた著者が、詳細なデータとともに戦争の本質に迫る。著者個人の経験や信念までも込められた、今最も読むべき戦争論。

 正直言うと、タイトルから、ロシア・ウクライナ戦争を踏まえ、世界における今日と今後の戦争のありようを一般論として論じた内容なのかと想像していたのだが、実際には、主にロシア・ウクライナ戦争そのものを論じた作品と位置付けられそうである。構成は以下のとおりとなっている。

第1章 どれだけの人が死んだのか?──データで見るウクライナ戦争
第2章 なぜ終わらないのか?──軍事戦略理論から見たウクライナ戦争
第3章 いかにして軍事国家となったのか?──戦時下ロシアの横顔
第4章 この国はどこへ向かうのか?──世界の中のロシア
第5章 日本はいかにロシアと向き合うべきか?──ウクライナ戦争と安全保障

 「あとがき」によると、編集側から当初提示されたテーマは、ウクライナ侵攻を引き起こしたロシアとは一体どんな国であるのかという問題であったということである。その問いを踏まえ、ロシア・ウクライナ戦争につき5つの問いを設定し(それが上掲の5つの章に対応)、2025年秋に一気に書き上げたということだ。

 本書の中でも、第3章の「いかにして軍事国家となったのか?──戦時下ロシアの横顔」は、ウクライナ侵攻を続けるロシアの社会・経済に迫ったものであり、私自身も研究に注力したいと思っている分野なのだが、本書の完成度を目の当たりにすると、なかなかこれを超えるのは容易ではなさそうだと実感する。まあ、何とかしたいものである。


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第1部

 お待たせして申し訳ありませんでした。2月9日に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターと東京大学先端科学技術研究センター創発戦略研究オープンラボ(ROLES)の共催で開催した研究報告会「戦争が変える国際安全保障と経済 ―欧州から北極へ広がる戦略空間―」の模様をYouTubeにアップし、アーカイブ視聴に対応しましたので、ぜひご利用ください。第1部と第2部に分けてアップしています。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2026年3月号のご案内。今号は「「中央アジア+日本」が切り拓く新たなステージ」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 前号は私が主役級の活躍でしたが(自分で言うな)、今号はまた脇役に戻り、「ロシアの愚行で斜陽化する中欧班列」、「ウクライナ大統領府の新布陣」という短い連載記事のみ書きました。


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 昨日は中国の対露貿易のデータを概観したが、本日は中国の対ウクライナ貿易をチェックしてみることにする。過去十余年の動向が上図のとおりで、2025年には中国側の輸出が50億4,003万ドルで前年比36.9%増、中国側の輸入が27億4,900万ドルで前年比36.5%減と、輸出入でパフォーマンスが正反対となった。

 このうち、中国側の輸出に関しては、自動車をはじめ万遍なく伸びている感じであり、あまり際立った傾向性は見られない。中国側の輸入減は、穀物の取引が激減したことが大きい。2024年の19億9,541万ドルが、2025年には1億8,293万ドルに急減したもので、ちょっとまだ原因は突き詰められていないが、これが大きかった。


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 WSJのこちらの記事が、ロシア・ウクライナ戦争の3つのシナリオということを論じている。しかし、個人的に今はWSJの有料版記事を読むことはできないので、ウクライナのウニアン通信がWSJの内容を紹介したこちらの記事に基づき、3つのシナリオを整理しておく。

 シナリオその1:戦闘の継続、交渉の継続。最も可能性が高いシナリオは、消耗戦が続く中で迎える5年目の消耗しきった戦争であり、その一方で交渉は堂々巡りを続けるというものである。最大の問題は、プーチンが自らの最大限の目標以外のいかなるものも検討しようとしないことだ」と、元NATO駐在米国大使のダグ・ルートは指摘する。「それは単なる領土の問題にとどまらず、より広い意味でウクライナを支配したいという欲求の問題でもある。対してウクライナは、従属することを断固として拒んでいる。」こうした中、クレムリンは依然として、ロシア経済が先に崩れるよりも先にウクライナ軍が折れると確信しているが、ウクライナはまだ崩壊には程遠い。しかし同時に、双方とも、膠着状態にトランプが怒れば、米国が自分たちに不利な行動を取るのではないかと恐れている。ウクライナはいまだに米国の諜報およびその他の支援を必要としている。ロシアは、より厳しい制裁に対して脆弱だ。そのため双方とも、トランプに対して自分たちは建設的に行動しており、戦争が続いている責任は敵にあるのだと示そうとしている。

 シナリオその2:ウクライナが先に折れる。ウクライナにとって最大のリスクは、最終的に自国軍が消耗しきってしまうことにある。軍は歩兵不足を補うため、無人機能力を継続的に高度化させてきたが、ロシアは最近、この分野で追いついてきた。一方で軍事専門家たちは、今年になって消耗戦の性質が変わるとは見ていない。2023年末以降ほぼ途切れなく続いているドンバスでのロシアの攻勢は、軍事史上でも最も遅く、かつ最も高コストな部類に入る作戦の一つとなっている。上空にドローンがあふれている状況では、大規模な機動作戦は事実上不可能になっている。しかし、ウクライナでは予備兵力の不足により、昨年の東部防衛の強化は、ロシアが南方へ徐々に前進すること――ドニプロペトロウシク州やザポリージャ州を含む地域への進出――と引き換えに行われた。その結果、ウクライナ軍は、首か脚のどちらかを必ず露出させてしまうほど短い毛布のような状態になりつつある。もしウクライナの戦力が尽きれば、耐えがたい内容ではあるが、他の選択肢よりはましな取引を受け入れざるを得なくなるかもしれない。それには、モスクワの領土要求を受け入れること、ウクライナ軍の規模を制限すること、そして米国からの安全保障の保証が弱いまま、国内生活に対するロシアの影響力が回復することなどが含まれる可能性がある。

 シナリオその3:ロシアが疲弊する。ロシア経済は停滞しており、多くの非軍事部門が縮小し、高金利が打撃を与えている。原油価格の低迷、ウクライナによる精油所への長距離攻撃、そしてロシアの「影のタンカー船団」に対する米欧の対抗措置が、クレムリンの歳入を支えるエネルギー部門に圧力をかけている。現時点では、プーチンがエリート層やロシア社会からの否定的反応を懸念している兆候はほとんど見られない。それでも、ロシアが無期限に戦争を続けられるわけではない。制裁とその履行措置が強化されれば、その期限はさらに短くなる可能性がある。もしロシア、あるいは双方が、これ以上長く戦争を続けられないと判断すれば、交渉は、ウクライナとロシアの双方にとって最低限受け入れ可能な合意を真剣に模索する段階へと変わる可能性がある。しかし、多くのウクライナ人は、ロシアがすでにその段階に達したとは考えていない。なぜなら、プーチンはなお自らの勝利に賭け続けているからである。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2026年2月号のご案内。今号は「戦争長期化が映し出すロシアとウクライナの今」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今号では、私が久し振りに「主役」で、特集巻頭に「ロシアの貿易統計に見る東方シフトの虚実」と題する論文を寄稿したほか、連載記事として「ウクライナで目立ってきた『戦後論』」、「ウクライナ侵攻で一変したロシアの財政シナリオ」も執筆。さらに、表紙の写真も私の撮影によるものです。


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 どうも私の印象ではウクライナの組織というのは大事なことをHP本体よりもフェイスブックページで発表する傾向があるように感じる。以前そのことをウクライナ人に指摘したら、いやそんなことはない、フェイスブックはオワコンといった返事が返ってきたりして、定かではないのだが。

 それで、ウクライナ港湾管理局のフェイスブックページに、2025年のウクライナの港湾による取扱貨物量という情報が出たので、以下で訳しておく。

 ウクライナの海港は、港湾業界の強靭性と、戦時の脅威下でも稼働できる能力を裏付ける結果をもって、2025年を終えた。

 前例のない安全保障上の圧力、港湾インフラへの攻撃、そして度重なる大規模な空襲警報にもかかわらず、2025年のウクライナ港湾の取り扱い貨物量は、計画値の95%強の水準を達成した。

 計画によれば、2025年の海港の貨物量は8,620万tと設定されていた。実績は8,220万tで、計画比95.36%に相当し、予測値(8,176万9,000t)に対しては100.5%の達成となった。

 2025年の貨物量の中核を成したのは引き続き農産物で、4,420万t、総量の53.7%を占めた。コンテナ輸送は大幅な増加を示し、年間の取扱量は前年の12万9,902TEUに対し、21万5,748TEUに達した。ウクライナの製品は世界55か国に輸出された。

 2025年の重大な挑戦の一つは、頻発する空襲警報と港湾インフラへの攻撃であった。オデーサ州だけでも空襲警報は800回以上発表され、累計の操業停止時間は1ヵ月間以上に達し、港の運営において実質1ヵ月分の稼働損失となったのだ。

 それにもかかわらず、港湾業界は海上物流と輸出ルートの維持を確保した。ウクライナ港湾管理局は、国防軍、港湾労働者、港湾荷役会社、および業界のすべての専門家に対し、その専門性と忍耐に感謝を表するとともに、航行の安全と海上回廊の機能維持を確保したウクライナ海軍にも謝意を表する。

 以上がウクライナ港湾管理局の発表であった。上記で、2025年の実績が、計画値や、予測値と比べて悪くなかったと発表せざるをえないのが、苦しいところである。今回の発表にはないが、2024年のウクライナの港湾貨物量は9,720万tだったことが知られているので、前年比ではマイナス15%ほどの落ち込みだったはずである。だが、戦時でそのような数字を示せば士気にかかわるので、実績を計画値や予測値と比べて発表したのだろう。


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2026年2月9日ポスター

 これはかなりの勝負企画です。2月9日、東京にお邪魔し、ROLESさんと共催で、研究報告会「戦争が変える国際安全保障と経済 ―欧州から北極へ広がる戦略空間―」を開催いたします。対面・リモートのハイブリッドですが、いずれも事前のお申し込みが必要となっております。ぜひチェックしてみてください。


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 ウクライナにいつ「戦後」が訪れるのかはまだ分からないが、停戦に向けた外交が活発化しているためか、ウクライナでは「戦後」についての展望を論じるような議論が散見されるようになっている。そうした中で、ウクライナ科学アカデミー人口・社会研究所のエラ・リバノヴァ所長がこちらで戦後のウクライナの人口問題について語ったインタビューが目に留まったので、以下発言要旨をまとめておく。

 第二次世界大戦後のような出生率の急回復、「戦後ベビーブーム」は、現代のウクライナでは起こらない。①現代では子どもは「経済的資産」ではなく、高い教育・生活コストを伴う存在。②避妊と家族計画が普及し、出産は個人の合理的判断に基づく。③戦争による不安、住宅・雇用の不安定さが出産意欲を抑制。

 戦前(2021年)にすでに低水準だった出生率は、戦時中に約0.7まで低下したとされ、戦後に回復しても最大で1.6程度が限界で、人口を維持できる水準(約2.15)には届かない。

 政府による児童手当や出産支援金は、出生率向上策というより、子育て世帯の貧困対策。金銭的インセンティブだけで出産行動は大きく変わらない。むしろ「給付開始待ち」による出産の先送りが起きる場合もある。つまり、出生率問題は 経済支援だけで解決できる単純な問題ではない。

 戦争によって国外に移住したウクライナ人は約500万人規模と推定され、多くの女性や子どもが含まれる。結果として、①国内人口の高齢化が急速に進行。②労働力人口が縮小。③年金・医療など社会保障への負担が増大。戦後に一定の帰還は見込まれるものの、大多数が戻るという楽観的シナリオは現実的ではない。

 戦後の人口政策として重視すべきは、①早期の国勢調査による正確な人口把握。②出生率幻想に依存しない長期的人口戦略。③労働移民の受け入れを含む現実的な労働力政策。若年層が「戻り、暮らせる」経済・住宅環境の整備。人口問題は、復興政策の「周辺課題」ではなく、国家存続に直結する中核課題。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2026年1月号のご案内。今号は「ユーラシアのアグリフード最前線」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回服部は、いずれも特集の枠外ですが、「ロシア国民の消費マインドは落ち込んでいるのか」、「ゼレンスキー最側近辞任の衝撃」という短い連載記事を書きました。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2025年12月号のご案内。今号は「新しい局面に立つコーカサスの国々」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回服部は、いずれも特集の枠外ですが、「ロシア鉱工業生産と鉄鋼業の動向」、「EUがウクライナ産農産物・食品に一層の市場開放」という短い連載記事を書きました。


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 こちらの記事が、ウクライナで国際支援の遅れにより財政赤字補填の目途が立っていないという問題を伝えている。以下記事を抄訳しておく。

 2026~2027年のウクライナの国家予算の赤字のうち、まだ補填できていない額が約600億ドルに達する。これは、国家歳出の資金調達に深刻な課題を招き、追加的な国際支援の必要性を生じさせている。キーウ安全保障フォーラムのエネルギー・経済情勢に関する緊急会合で、O.カヴァ財務次官が明らかにした。次官によると、2026年の予算編成は2025年よりも難しくなる。なぜなら、赤字を補填する財源についてまだ完全に明確になっていないからだ。2025年の予算編成では、ウクライナは資金調達について明確な合意があったが、現在の状況は、国際的なパートナーが意思決定を遅らせた2024年に似ている。財務省は資金調達のために国際的なパートナーと積極的に交渉しており、良い結果を期待していると、次官は述べた。次官はまた、ウクライナが凍結されたロシア資産を財源とする新たな資金調達メカニズムの構築に取り組んでいることを指摘し、その一環として、こうした資金の大部分が凍結されているEU、特にベルギーとの交渉を進めていると述べた。次官は、米国がウクライナ支援に関する立場を変更したにもかかわらず、欧州のパートナー諸国およびG7諸国はウクライナを支援する姿勢を維持していると強調した。


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 ひまわり油の貿易では、9月始まり・8月終わりの年度が用いられることが多い。ロシアやウクライナのひまわりは、8~9月頃に収穫され、それ以降に搾油・輸出が本格化するので、収穫期直後の9月を新年度の始まりとし、翌年の8月末を年度の終わりとするという慣習が定着しているということである。それで、こちらの記事によると、8月に終了した2024/25年度の結果、ロシアが世界最大のひまわり油輸出国となったということを伝えている。

 記事によると、8月に終了した2024/25年度の結果、ロシアはひまわり油の輸出国として世界でトップになったと、連邦センター「アグロエクスポート」のI.イリューシン所長が明らかにした。同氏の推計によると、ロシアは外国市場に約520万tのひまわり油を供給した。2024/25年シーズンの輸出国トップ3は、ロシア(520万t)、ウクライナ(470万t)、アルゼンチン(130万t)となった。「近年、ロシアは食用油の輸出を積極的に拡大しており、ひまわり油はその旗艦製品である。ロシア企業は、世界有数の輸入業者とのパートナーシップを計画的に拡大・深化させ、南アジア、東南アジア、中東、アフリカの市場で競争に勝ち抜き、新たな市場を開拓している」とイリューシン氏は強調した。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2025年11月号のご案内。今号は「地政学的変動の中のユーラシアの物流」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回服部は、いずれも特集の枠外ですが、「正念場を迎えるロシア経済・財政」、「アラスカ会談後の米国・ロシア・ウクライナ関係」という短い連載記事を書きました。

 ただ、「アラスカ会談後の米国・ロシア・ウクライナ関係」は、脱稿後にまた動きが逆流しており、ちょっと古くなってしまいました。行ったり来たりの力学なので、いつの時点で区切るかで話が違ってしまい、難しいところです。


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 こちらの記事などが伝えたところによると、9月29日のビデオメッセージでゼレンスキー大統領がウクライナからの武器輸出に意欲を示したということなので、大統領の発言要旨を以下のとおり整理しておく。

 このほど、長距離兵器メーカーなどが参加した最高司令官の技術会議が開催された。会議で取り上げられた主な課題は、生産量であった。ウクライナ国防省やその他の政府関係者、国防・治安部隊、そしてウクライナのドローンやミサイルを製造する主要企業すべてが、本日協議を行った。全員が1つの協議に参加し、重要な決定の準備に関与することで、実際に適任者を見極め、真実の情報を得ることができる。

 ウクライナの生産能力と企業の実際の優位性について評価の相違があった。最大限の生産を行う必要があり、国内の生産能力はまだ十分に活用されていない。

 ウクライナの資金は、質の高い成果を上げることができる各企業がそれを獲得し、完全に実現できるように配分されている。

 パートナー諸国は、特にドローンに関して、資金面で私たちを支援してくれている。これは重要なことだ。その支援は実感できるものであり、感謝している。国防省および関係機関の任務は、メーカーが実際に履行できる範囲で、できるだけ多くの発注を確保することだ。

 最高司令部では、ウクライナの遠距離攻撃能力の必要性について報告があった。さらに、兵器ストックが十分に補充されるよう、契約と生産を計画している。

 輸出についても取り組んでいる。つまり、ウクライナの武器の輸出、特に余剰がある特定の種類の武器の輸出を管理することで、ウクライナに追加の資金を提供し、現在前線で必要とされている不足品や、ロシア領内への攻撃で最も効果を発揮した武器の生産に充てることができる。

 すでに4つの輸出拠点(米国、欧州、中東、アフリカ)について合意が成立している。ウクライナは関連協定の準備を進める予定である。


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 ロシアの情報源でウクライナの情報をフォローするのはよろしくないが、目下個人的にウクライナとEUの通商関係について調べようとしており、タスのこちらの記事がそれに関連する問題を伝えているのが目に留まったので、記事を以下のとおり抄訳しておく。

 ハンガリーはウクライナからの小麦とトウモロコシの供給を再開する意向はなく、それは欧州の農家の利益にかなわないと考えている。ハンガリーのイシュトヴァーン・ナジ農業大臣が、ブダペストでウクライナの欧州・ユーロ大西洋統合担当副首相タラス・カチカとの会談後、そのように表明した。

 農相はフェイスブックに、「ハンガリー農家の利益が依然として第一だ。私は農業省でウクライナのカチカ副首相を迎えた。我々は、ハンガリーが要請しない限り、ウクライナはトウモロコシと小麦をハンガリーに輸出しないことで合意した。我々は輸入禁止を維持し続け、ハンガリー農家の生計と販路を守る!」と書き込んだ。

 ハンガリー政府は繰り返し、ウクライナ農産物がダンピング価格で欧州に流入することで、欧州の農家が大きな損失を被っていると主張してきた。EUが2022年にウクライナ産農産物の輸入に課される関税と割当を撤廃する決定を下したことは、中東欧諸国に深刻な打撃を与えた。生産基準や農地の規模の違いにより、より安価なウクライナ産品が欧州農家の伝統的市場から彼らの商品を駆逐しているのだ。

 2023年秋、欧州委員会が9月15日に期限切れとなったブルガリア、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スロバキア向けのウクライナ産の小麦・トウモロコシ・菜種・ヒマワリ種子の輸入禁止措置を延長しなかったため、中東欧諸国はやむなくウクライナ産農産物の輸入禁止を導入した。ハンガリーは一方的に禁輸措置を維持し、さらにそれをウクライナ産の20品目に拡大した。そこには穀物、肉、卵、植物油、野菜、蜂蜜などが含まれている。


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 Wedge ONLINEに、「プーチンがゼレンスキーと会うとしたらどんな時か?ロシア、ウクライナ首脳会談が簡単に実現しないこれだけの理由」という論考を寄稿しました。8月20日に原稿を提出したものなので、その後も目まぐるしく情勢が変わっており、ちょっと賞味期限が怪しいですが、無料でお読みになれますので、ぜひご利用ください。


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 いくつかのメディアで、ギャラップの調査によりウクライナ国民の徹底抗戦の姿勢が揺らぎつつあることが示されたということが伝えられ、気になっていたので確認したところ、こちらの調査結果がそれだった。そこに掲載されているグラフが上掲のとおりである。

 最新の調査は7月初めに実施されたということである。その結果、「ウクライナは勝利するまで戦闘を続けるべきだ」という回答が24%にまで低下し、「ウクライナは戦争を終えるためになるべく早く交渉を模索すべきだ」という回答が69%にまで上昇した。トレンドは明らかであり、確かに徹底抗戦の決意は揺らいでいる。

 むろん、早期交渉支持者の人たちも、安易に領土の譲歩をしていいといった意見とは思えず、交渉によってウクライナが納得できるような領土的取り決めや安全の保証を取り付けるべきだという考え方が主流ではないかと思われる。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2025年9-10月合併号のご案内。今号は「中央アジア・コーカサス経済・貿易の新潮流」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回服部は、いずれも特集の枠外ですが、「ロシア鉱工業生産の不振が一層鮮明に」、「ウクライナ新内閣は逆風下の船出」という短い連載記事を書きました。また、鳥飼将雅『ロシア政治 ―プーチン権威主義体制の抑圧と懐柔』の書評も書きました。


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 ロシアによるウクライナへの全面侵攻開始後、EUは特例としてウクライナに対する関税等の輸入制限措置を停止していたわけだが、このほどその優遇措置は撤廃された。こちらの記事が、こうした状況下でのウクライナの対EU食品輸出について動きを伝えているので、以下抄訳しておく。

 EUがウクライナに対して実施していた自主的な貿易優遇措置は、6月5日に終了した。

 ウクライナはEUが設定した蜂蜜の関税割当量を完全に使い果たし、砂糖の割当量もほぼ使い果たした。ウクライナ農業ビジネスクラブ(UCAB)によると、「蜂蜜の割当量3,500tはほぼ完全に使い果たされた。砂糖の輸入枠1万1,700tもほぼ使い切った」という。また、ウクライナは粉乳の関税割当もほぼ使い切っているという。

 さらに、卵の割当量は既に使い切られているが、この商品の輸出は他の商品とはやや異なる。というのも、この品目はウクライナが関税割当を使い切っても、EUの世界割当に基づいて輸出されており、これによりウクライナ産に対する通常の関税よりも低くて済んでいるからである。ゆえに、関税割当の終了後も、ウクライナの輸出は継続している。同様の状況はトウモロコシの場合にも見られる。また、ウクライナが既に関税割当の約半分を利用した品目も存在する。たとえば麦芽、4,000tのうちほぼ52%が消費された。デンプンは5,800tの割当のうち60%が消費された。トマトは5,833tのうちほぼ50%が消費された。

 2022年6月4日から、EUはウクライナに対して優遇貿易制度を導入し、これは2023年に延長され、2024年5月にさらに1年間延長された。「貿易ビザ免除」は、ロシアの侵攻後にウクライナの経済を支援するため導入されました。専門家によると、この措置は確かにウクライナが困難な時期を乗り越えるのに大きく貢献した。2024年にEUとの貿易の割合はウクライナの総貿易額のほぼ54%を占めた。2024年にはEUへの輸出は16.1%増加し、248億ドルに達した。だが、欧州委員会が6月5日以降、ウクライナとの「貿易ビザ免除」を延長しないことが4月に明らかになった。ウクライナとEU間の貿易体制は、侵攻前の条件に戻ることになった。他方で、6月には、EUがウクライナからの鉄鋼に対する「貿易ビザ免除」を3年間延長することが明らかになった。


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 ロシア・ルーブルの補助通貨は「コペイカ」で、1ルーブル=100コペイカである。ウクライナでもフリヴニャの補助通貨としてコペイカが使われてきたが、ウクライナ語風に読むとコピイカということになる。

 それで、個人的にきちんと認識していなかったのだが、ウクライナはこの分野でもロシア離れを進めようとしていて、ロシア風のコピイカに代わり、ウクライナの歴史で用いられたことのある伝統的な補助通貨の名称である「シャフ」に切り替えようとしているということである。安直ながらウクライナ語版ウィキペデイアから引用すると、以下のような経緯である。

 2024年9月2日、ウクライナ中央銀行は、歴史的正義の回復、ロシア化からの脱却、およびウクライナの貨幣流通における国民的伝統の強調を目的として、補助通貨「コピイカ」の名称を「シャグ」に変更する措置を講じた。この決定はウクライナ国立科学アカデミーによって支持され、特にウクライナ歴史研究所と言語学研究所から肯定的な専門家の意見が得られた。フリヴニャはキエフ・ルーシ時代に由来する通貨だが、「シャフ」はヘトマン時代に由来する通貨だ。ウクライナ中銀総裁によると、「コピイカ」はウクライナの語源とは無関係で、ロシア語の「コピエ」(つまり「槍」)に由来し、その画像は15世紀からモスクワ国家で使用されていたため、この名称は帝国起源である。ロシアの大規模な侵略下で、コピイカをシャフに置き換えることは重要かつ必要な措置である。

 それで、当初はシャフに切り替わっても、コピイカ通貨はそのまま流通するという話だったようなのだが、こちらの記事によると、ウクライナにおけるコピイカ通貨の流通は停止されるようだ。同国では10コピイカ硬貨が41億枚ほど流通していると見られるが、ウクライナ中銀は今年10月1日からその回収を始めるということである。明確でないが、そもそも日常的な買い物でコピイカを使うことはほとんどなくなっていたようで、コピイカに代わり新たにシャフ硬貨が発行されることはないような雰囲気である。今後は、買い物で端数が出た時には、四捨五入するということらしい。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2025年8月号のご案内。今号は「『友好国』シフトが加速するロシア貿易」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回服部は、特集の枠内で「イラン情勢で不透明化する南北輸送回廊」という記事を書き、特集外では「昨夏不作の影響が出たウクライナの穀物輸出」という記事を書いています。ともに2ページの短い連載記事ですが。


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 ロシアの情報源でウクライナのことをお伝えするのは適切でないが、ウクライナの良い情報源がすぐに見付からないので、ご容赦を。こちらの記事によると、ウクライナ政府改組の一環として、農業政策・食料省の統合の動きがあるが、これに対し農業関係者から反対の声が上がっているという。

 記事によると、7月13日、ゼレンスキー大統領は行政府の改革を発表した。コストを削減し、国防に資源を振り向けるための国家機構の改革とされる。

 これを受け、ウクライナの農業関係者は大統領に対し、農業政策・食料省を解体するのは不適切だと訴えた。ウクライナ牛乳生産者協会が、37の農業団体の代表が署名したアピールをフェイスブックで発表した。

 アピールでは、以下のとおり主張されている。すなわち、大統領府と議会の多数派が、経済省、農業政策・食料省、環境保護天然資源省を統合して、新たにウクライナ資源省を創設する計画を発表したことは、大きな懸念材料だ。軍事衝突の状況下、農業部門はウクライナ経済の屋台骨であり、GDPの15%を占め、外貨収入の60%以上を生み出し、予算を埋め、軍に資金を供給する重要な源泉となっている。独立した専門省の廃止は戦略的な過ちである。今日、ウクライナが欧州統合について交渉し、ウクライナの農民の貿易上の利益を守るために、強力な産業代表を置くことがこれまで以上に重要である、と。


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 1ヵ月ほど前の古い話題で恐縮だが、こちらの記事が2025年のウクライナの穀物収穫の見通しを伝えているので、要旨を以下のとおりまとめておく。

 V.コヴァリ農相が語ったところによると、ウクライナの穀物収穫量は、2024年には5,670万tだったが、2025年には10%ほど落ち込み、5,100万t程度となる恐れがある。ウクライナは世界的な穀物・油脂作物の生産国だが、収穫は秋と春の天候に大きく左右される傾向がある。現在進行中のロシア侵攻に伴う軍事的リスクも、農民が作付けや収穫に二の足を踏んだり、実際にできなくしてしまうことで、生産を減少させている。また、かなりのエリアが占領されたり、地雷を敷設されたりしている。2025年は難しい収穫となりそうだ。暖冬で、当初湿気がなく、その後は長引く雨で、一部の地域では播種作業が2週間も遅れた。したがって、収穫量の減少が予想される。最も悲観的な予測によれば、穀物は10%減、油脂作物は5%減となる。2025年のウクライナの収穫量は、トウモロコシが約2,600万t、大麦が450万t、雑穀が150万t、ヒマワリの種が1,150万t、テンサイが1,100万tと見られる。小麦の収穫量は2,000万~2,200万tと予想され、最終的な数字は天候と戦争要因に左右されると、大臣は述べた。


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 ウクライナでは、ドンバス地方の製鉄所が軒並み占領または破壊され、現在残っている製鉄所で圧倒的に規模が大きいのがドニプロペトロウシク州にあるアルレロールミタル・クリヴィーリフということになる。ウクライナでは珍しく外資の傘下に入った製鉄所でもあり、ウクライナ民営化の成功例とされてきた。

 ところが、そのアルレロールミタル・クリヴィーリフの存続が不透明になってきた。こちらのインタビュー記事の中で、同社のロンゴバルド社長は、電力料金が非常に高いのが問題であり、今後もそれが原因で赤字が続くようであれば、ウクライナ撤退を検討せざるを得ないと語っている。ウクライナの電力料金は非常に高く、ヨーロッパよりも高い料金であり、同社のビジネスには競争力がない。アルセロールミタルはウクライナ工場に過去3年間で10億ドルを注入し、事業を継続してきた。ウクライナに留まるために、非常に高い代償を払っている。一方で、鉄鋼価格は世界市場によって決定されるため、そのコストを顧客に転嫁することは不可能だ。社長は以上のように語った。


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 ロシアやウクライナの農産物取引では、7月始まり/6月終わりの穀物年度が用いられることが多い。なので、今は2024/25年度が終わったばかりということになる。ウクライナ農業政策・食料省のこちらのページに、2024/25年度のウクライナの穀物輸出実績が出ているので、それを拝見する。

 農業省によれば、2024/25年度のウクライナの穀物(豆類を含む)の輸出は4,060万tで、前年度比20.5%減であった。中でも最大品目のトウモロコシの落ち込みが大きく、前年度比25.6%減の2,196万tであった。小麦は15.0%減の1,572万t、大麦は8.5%減の232万tであった。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2025年7月号のご案内。今号は「強まる国家統制下での企業活動の前途」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回服部は、いずれも特集の枠外で、「ロシアが造船業発展戦略を更新」、「ウクライナと米国の鉱物資源ディール」という短い連載記事のみ書きました。


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 こんなパターンばかりで恐縮だが、あるところでの講演に向け上掲のようなグラフを作成したので、ここでもお目にかける。こちらに見るとおり、キーウ国際社会学研究所が継続的に実施しているゼレンスキー大統領への信頼度(表現は違うが日本で言うところの支持率のようなものだろう)調査結果の推移を示したものである。

 グラフに見るとおり、開戦前は危険水域に入りかけていたゼレンスキー大統領への信頼度だったが、ロシアによる全面軍事侵攻開始後には概ね安定して高い水準を保っている。人物の好み云々ではなく、今はゼレンスキー大統領の下に団結し難局に立ち向かわねばという意識が、総じて国民に共有されているからだろう。

 直近の5~6月の調査ではゼレンスキーへの信頼度が若干低下しているが、専門家のフルシェツキー氏によると、これは予想された動きだったという。というのも、2025年2月以降、(ゼレンスキー大統領が訪米で毅然とした態度をとったことなどが評価され)国旗の下に結集するという効果が働き、政権信頼度が通常以上に高まっていた経緯があったからである。こうした効果はそれほど長続きはせず、一定期間後に支持が低下するのは自然な成り行きである。フルシェツキー氏いわく、「国旗の下での結束効果が弱まるにつれて、ウクライナ国民は、ロシアの夏の攻勢、汚職、人事、改革などの内的要因により敏感に反応するようになる。これらの事柄はすべて、政府による効果的な解決策と適切なコミュニケーションが必要だ。もし国民が政権による適切な対応を実感できなければ、さらなる信頼の低下傾向につながる可能性がある」ということである。

 なお、2025年5月の調査で、ゼレンスキーの74%に次ぐ信頼を集めたのは、芸能界から政治家に転身したプリトゥラ(50%)、キーウ市長のクリチコ(43%)、オデーサ出身のキャスター/政治家のホンチャレンコ(27%)、与党「公僕党」から分かれ出たラズムコフ(27%)、前大統領のポロシェンコ(25%)などであった。


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 あるところでやった講演に向け、上掲のようなグラフを作成したのだけど、他に使う予定はないので、もったいないからここに掲載することにする。ウクライナ・モルドバ・ベラルーシは、ロシアとEUの狭間に位置し、過去10年あまり、地政学的帰属をめぐって揺れてきた。そこで、危機前と位置付けられる2012年と、最新の2024年で、それら3国の商品輸出入相手地域がどのように変化したかを図示したものである。

 ウクライナは、元々、対ロシアと対EUの比率が同じくらいだったのが、決然とEU路線を選択し、今やロシアとの貿易は法的に禁止されゼロになっており、構造が一変した。モルドバも、かつては輸出市場としてもガス輸入相手国としてもロシアへの依存度が高かったが、大幅にEUへとシフトした。

 それに対し、従来以上にロシアへの依存度を増しているのがベラルーシであり、それは特に輸出において顕著である。一方、輸入において対ロシアの比率が低下しているのが奇異に思われるが、それはベラルーシ原発が稼働しロシアから輸入するガスの需要が低下したこと、またベラルーシ石油精製業が制裁で輸出不振に陥りロシアから原油を輸入する必要性が低下したことに起因していよう。

 ここで興味深いのは、「その他CIS」という項目である(なおウクライナはすでにCIS離脱を表明しているがここでは便宜的にCISにカウントする)。ウクライナとベラルーシはその比率がかなり縮小し、モルドバはあまり変わっていない。ウクライナとベラルーシは両国間での相互貿易がかなり大きかったが、それが戦争で途絶えたため、両国とも「その他CIS」が減少したものである。一方、モルドバの「その他CIS」取引は大部分が対ウクライナで、モルドバはウクライナ向けの石油製品供給の中継拠点となっていることなどから、「その他CIS」の数字があまり減っていないということになる。


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 こちらの記事が、独ツァイト紙を引用する形で、EUの輸入特例廃止によりウクライナに損失が生じるということを伝えている。本来なら原典に当たりたいところだが、アクセスがないのとドイツ語が読めないので、やむなくロシア国営メディアの引用報道振りを以下のとおり紹介させていただく。

 EUは、2022年春以降、ウクライナ産の農産物輸入に、一時的に無関税輸入を認めていたが、今般その措置を撤廃し、ウクライナ産農産物輸出に対するすべての割当と関税の適用を再開した。これはウクライナの農業部門全体にとって深刻な打撃となると、独ツァイトが報じた。

 同紙によると、ウクライナにとり農産物の輸出は重要な外貨獲得源であり、2024年のウクライナの農産物輸出の60%はEUに輸出された。同紙によると、ウクライナ政府は約30億ユーロ相当の輸出を失うと見込んでおり、一連の経済指標を1%ポイント低下させる可能性があるという。しかも、EUが関税復活を決定したのは、インフレの上昇、税収不足、財政赤字などでウクライナが苦しんでいる「特に悪い時期」に重なることになった。

 欧州委員会は以前、ウクライナ産農産物について、基本的なレベルで市場アクセスをより自由にするための新たな自由貿易規則に合意する意向を表明していたが、この提案はまず、ウクライナ産の安価な農産物輸入の影響を最も受けているEU諸国との間で合意されなければならない。


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