昨日に引き続き、私が把握しているデータと、A.ノヴァク副首相が発表したデータを突き合わせ、ロシア・エネルギー部門の数年間にわたる動向を跡付けてみたい。今日は天然ガスを取り上げる。いわずもがなだが、上図では、生産のグラフと、輸出のグラフでスケールが異なるので、その点だけご注意願いたい。最初はスケールを合わせて作図しようと思ったのだが、そうすると輸出の部分が矮小になりすぎて何だか分からないグラフになってしまうので。逆に言うと、ロシアの天然ガス輸出比率は意外と低いということも言えそうである。
ウクライナ侵攻後、欧州向けが壊滅し、生産およびパイプライン輸出ともに落ち込んできたロシアの天然ガス部門ながら、上図に見るとおり、2024年には一定の回復を示した。おそらく、生産は前年比7%増、パイプライン輸出は18%増となったと見られる。
それを支えたのは中国向け輸出であり、「シベリアの力」を通じた対中輸出は、2023年の227億立米から、2024年には310億立米程度に高まったと見られる。年間契約量が300億立米だったから、それを超過達成した。もっとも、2024年には欧州向けも若干回復した模様である。
ロシアとしては、長期的にパイプラインからLNGにシフトし、2030年頃までに差し当たり50:50にするのが目標である。しかし、既存のサハリン2、ヤマルLNGこそフル稼働しているものの、それに続く存在だったアルクLNG2が米制裁の対象になり、LNG部門の一層の拡大は暗礁に乗り上げた格好である。
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