ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

カテゴリ: ロシア

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 こちらのページに見るとおり、ロシアのレヴァダ・センターが11月の全国世論調査で、最も憂慮する問題は何かということを複数回答で問うている。その回答状況が上図のとおりである。日本語に訳すと、以下のとおりとなる。やはり物価高が一番の悩み。ウクライナ情勢も当然憂慮の的ではあるが、特別軍事作戦、西側との対立、制裁と回答の選択肢を分けた方がいいような気もする。

  1. 物価の上昇:58%
  2. ウクライナでの特別軍事作戦、西側との対立、制裁:31%
  3. 年金受給年齢の引き上げ、年金改革:30%
  4. 住宅問題(老朽化、入居困難、高い住宅ローン):29%
  5. 汚職・贈収賄:28%
  6. 流入する外国人・移民:25%
  7. 多くの医療サービスを受けられないこと:24%
  8. 貧困、国民の大多数の生活水準の低下:21%
  9. 自分が住む地域での爆発事件やその他のテロの脅威:19%
  10. 教育の有料化の拡大、教育を受けにくいこと:18%
  11. 薬物依存の増加:17%
  12. 環境の悪化:15%
  13. 富裕層と貧困層の格差拡大、不公正な所得分配:15%
  14. 道徳・文化・倫理の危機:15%
  15. 失業の増加:13%
  16. 経済危機、工業・農業の不振:12%
  17. 犯罪件数の増加:9%
  18. ナショナリズムの台頭、民族間関係の悪化:8%
  19. 裁判で正義を得られないこと:7%
  20. 役人の横暴・恣意的運用:6%
  21. 疾病・流行(新型コロナ、サル痘、HIV/エイズなど):6%
  22. 賃金・年金・各種手当の支払い遅延:4%
  23. 市民の権利、民主的自由(言論・報道の自由)の制限:4%
  24. 警察職員の粗暴さ・残酷さ:4%

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 こちらの記事によると、ロシア安全保障会議副書記のD.メドヴェージェフ氏が、いつものイキりではなく、珍しく有用な情報を口にしたそうなので、以下で記事を抄訳しておく。

 この1年間で、正規の軍部隊に40万人以上の契約兵が入隊し、志願兵部隊には3万4,000人が加わったと、ロシア安全保障会議のメドヴェージェフ副議長が発表した。また、定員充足の目標値はほぼ達成されているという。メドヴェージェフは以前、2024年は約45万人が契約兵として契約を結び、さらに約4万人が志願部隊に参加したと報告していた。

 2025年8月、A.ベロウソフ国防相は、今年ロシアでは契約制による兵役の募集計画を拡大したと述べ、「部隊編成の計画指標はおおむね達成されている」と語っていた。他方、V.プーチン大統領は今春、毎月5万〜6万人のロシア人が「特別軍事作戦」に志願していると指摘していた。

 2025年におけるロシアの契約兵に対する一時金は、連邦予算からの40万ルーブルに加え、各地域からの上乗せ支給がある。地域分の額は、それぞれの連邦構成主体が独自に定めている。たとえばサンクトペテルブルグでは最大250万ルーブルに達し、モスクワでは1年以上の契約を結んだ兵士に対して190万ルーブルが一時金として支給されている。

 10月1日から、契約兵および徴集兵の給与額は7.6%引き上げられた。これに加え、国防省は保険金額、一時給付金、補償金についても同様に7.6%引き上げる案を提示していた。

 プーチン大統領は2024年9月、メドヴェージェフ副書記を契約兵募集を担当する委員会の委員長に任命した。副委員長にはベロウソフ国防相が就任した。さらに、同委員会には大統領府副長官 2名、法相、連邦刑務庁長官、内務省および連邦保安庁の副長官ら、一連の関係者も加わっている。


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 こちらの記事に出ている、ロシアとベラルーシが共同で19席クラスの軽多用途航空機「ЛМС-192 «Освей»」(オスヴェイ)を開発しているという話は、個人的に今まで知らなかったので、以下で記事の要旨をまとめておく。なお、オスヴェイという機種の名前は、ベラルーシ北部にある湖の名前からとられており、ロシア語圏ではバイカルとかラドガとか、飛行機に湖の名前を付けることが多いそうだ。

 なお、生産拠点となるのは、ベラルーシのバラノヴィチ市にある第558航空機修理工場というところである。

 記事によると、19人乗り小型機「オスヴェイ」の開発および、公開株式会社「第558航空機修理工場」を拠点とする量産体制の構築に関する投資プロジェクトは、航空機製造分野におけるロシアとベラルーシの包括的な省庁間協力プログラムの枠組みの中で実施されている。本プロジェクトに関し、このほどベラルーシ下院のA.ライコ議員が国営テレビで以下のように発言した。小型航空機「オスヴェイ」の試作機は2026年に完成する予定で、そのデザインは当初のものとは異なる可能性がある。来年には最初の試作機がすでに完成する見込み。実際のところ、この技術で複数の試作機を製作し、それらを試験運用にかける必要がある。当初示された試作機が、そのままのデザイン、そのままの姿で量産される保証はない。つまり、ロシア政府、ロシアの軍需産業との技術的な協力体制は常に変化し、試行錯誤が続けられており、そうして具体的な製品を作り上げていくのだ。議員は以上のように説明した。


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 ややマニアックな話題だが、個人的にレコード愛好家なので、勘弁いただきたい。こちらの記事によると、ロシアでもアナログ盤が人気であり、ソ連時代からの老舗レコード会社「メロディア」がアナログ盤の生産を再開したということだ。以下で記事を抄訳して紹介する。

 「メロディア」は、音楽ファンの高い需要を受け、ノヴォシビルスクにある自社工場でレコードの製造を開始した。ダヴィド・トゥフマーノフの作品、グループZodiac、そしてVIA「ドス・ムカサン」といったラインナップの最初の出荷分は、すでに販売が始まっている。

 「メロディアは、今なお多くの国民にとってビニールレコードと結び付けて認識されている。同ブランドでの製造再開は、ロシアにおける音楽的伝統の自然な発展であり、同工場が旧ソ連時代のメロディア工場の正当な後継者となることを可能にするだろう」。同社のA.クリチェフスキー社長はこう述べた。

 新生産による最初のレコードとなったのは、1980年代にヤルタのサナトリウムの医師たちによって開発された「アルコール乱用者のための自律訓練」という作品である。出荷分にはこのほか、ダヴィド・トゥフマーノフの『我が記憶の波に乗って』、ラトビアのグループZodiacのアルバム『Disco Alliance』、およびVIA「ドス・ムカサン」のアルバムなどがある。レコードは2025年にプレスされ、マトリックスはオリジナルのマスターテープから作成された。修復およびリマスタリングの音響エンジニアはM.ピリポフが担当した。工場は今後、ラインアップの拡充や、アーティストおよび音楽会社からの受注生産によるレコードの製造も計画しているとされている。

 クリチェフスキー社長によれば、初期投資額は約1.5億ルーブルになるという。同工場は、香港で製造されたAllegro II生産ラインを基盤とするフルサイクル型の企業である。主な設備供給国はスウェーデン、スイス、イタリア、中国である。同社は自社カタログの作品に加え、受注によるリリースも計画しており、その結果、アーティスト、作家、レーベル、代理店、権利者といったあらゆる依頼主が自分のアルバムを発表できるようになる。年間の生産量はおよそ10万枚となる見込みである。


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 ロシアの調査機関であるアフトスタットによる2025年1~11月のロシア乗用車(新車)販売動向がこちらに出ているので、拝見することにする。1~11月の累計では、販売台数118万9,546台で、前年同期比17.8%落ち込んでいる。

 ただし、単月のデータに着目すると、様相が変わる。10月が前年同月比3.2%減と軽微な落ち込みに留まったのに続き、11月は前年同月比5.0%増とプラスを示した。もしかしたら、最悪期は過ぎ、復調に転じているのかもしれない。


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 時々申し上げるように、私は以前はロシアの地域開発のことを盛んに研究していて、2014年に北大の博士に入学した時にはそのテーマで博論を書こうと思っていたのだが、ちょうどその時にウクライナをめぐる地政学的危機が発生してしまい、ロシア・ウクライナ等を対象とした経済安全保障的なテーマにシフトしていった経緯がある。なので、今でもロシア地域開発の話題が出ると、血が騒いでしまう。

 そうした観点から、非常に興味深い「メンデレーエフ・バレー」というプロジェクトについて、こちらの記事が伝えており、個人的に知らない話だったので、以下で記事を抄訳しておく。

 革新的科学技術センター開発基金「メンデレーエフ・バレー」は、アンガラ・エニセイ大地域における非鉄金属、希少金属、希土類金属の高い加工度のクラスター創設という戦略的プロジェクトの実施のために設立された。基金は、インフラの設計・建設から居住者の誘致、統一された法的・技術的・経済的環境における彼らの効果的な業務の確保に至るまで、クラスターのライフサイクルを実現するための重要な運営手段である。基金は、公的および民間の投資を集め、生産能力と研究エコシステムの構築に充てている。

 アンガラ・エニセイ地域における非鉄金属、希少金属、希土類金属の深加工クラスターは、プーチン大統領の指示によりシベリアに創設される、連邦レベルの分散型科学研究・イノベーション・生産複合体である。このプロジェクトは、超高純度金属、永久磁石、リチウムイオン電池、パワーエレクトロニクスなどの分野をカバーしている。

 プロジェクトには、ロスアトム、ロステク、ルサール、バゾヴィエレメント、ノリリスクニッケル、ロスヒム、ハイランドゴールド、 クラスツヴェトメト、ヒムメド、ロシア科学アカデミー・シベリア支部、シベリア連邦大学、メンデレーエフ記念ロシア化学技術大学が参加している。クラスターの設立は、ロシア連邦安全保障会議、産業・商業省、天然資源省、エネルギー省、経済発展省、VEB.RFの指導下にある。

 クラスターの優先プロジェクトは、タスティグ鉱床の鉱石濃縮物の処理による水酸化リチウムの製造(実施期間:2030年)、 高純度製品向け多品種少量化学プラントの建設(生産開始:2028年)、ならびに人工知能計算センターの設立(稼働開始:2032年)である。

 そしてこのほど、ロスアトムとメンデレーエフ・バレー基金は、アンガラ・エニセイ地域(東シベリア)における非鉄金属、希少金属、希土類金属の深加工クラスター創設に向けた戦略的協力について合意した。同基金とギレドメト研究所(国営企業の科学部門に属する)が関連協定に署名したと、同研究所の広報部が発表した。

 本協定は、パートナーシップの主要分野を定めており、その中には、希少金属および希土類金属の製造・分離技術の開発と導入、新素材および高純度物質の創出、エネルギー貯蔵技術、積層造形技術、化学産業向け人工知能の開発などが含まれる。両当事者は、投資および科学研究プロジェクトの共同開発・実施、人材育成、技術移転、海外市場への製品販売促進を計画している。


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 こちらの記事が、ロシア国家債務膨張の可能性について報じているので、以下のとおり抄訳しておく。

 専門家がロシアの政府債務拡大の余地を評価し、他国との比較における債務の維持可能性について分析した。ロシアはGDP比90~100%の「安全な」政府債務水準を維持できる可能性があると、ロシア科学アカデミー中央経済数学研究所(CEMI)の分析官が評価した。

 この評価は、国際通貨基金(IMF)が公表した「各国における最大許容債務水準」に基づいている。この手法では財政収支だけでなく、税収基盤、急激な財政ショックのリスク、潜在的な成長率低下、流動性プレミアム(コンビニエンス・イールド)、借入コストなど、国家の「債務許容量」を規定する複数の要因が考慮される。IMFによれば、先進国はGDP比124%、新興国は76%、低所得国は約57%まで安全に債務を維持できるとされている。

 国際機関の分類ではロシアは新興国に属するが、IMFモデルでは、同国の持続可能な債務水準はGDP比90~100%とされていると、CEMIの分析官は指摘する。実際の債務水準は現在その5分の1以下、すなわち20%未満にとどまっている。「これはロシアが自国の債務ポテンシャルのごく一部しか活用しておらず、主要国の中でも最も強固な財政余力の一つを有していることを意味する」と、報告書は述べている。

 CEMIのA.バフチジン所長は、ロシアは重大なリスクを負うことなく、より多くの借り入れが可能だと考えている。さらに、政策金利の高止まりによるリスクはあるものの、原油収入がさらに減少した場合、財務省は借入を拡大せざるを得なくなる可能性があると述べる。

 2025年12月2日時点で、ロシアの政府債務はGDP比15%であり、中期的にも20%を超える予定はないと、A.シルアノフ財務相は同日開催されたフォーラムで述べた。この低水準はロシア経済の利点であると同氏は付け加えた。一方で、債務の利払い費はGDP比7%に達しており、かなり高い水準にあるとも指摘した。これは政策金利の高さが要因である。会計検査院によれば、2025年上半期の政府債務管理費用は1兆5,800億ルーブルに達し、前年同期の1.5倍であった。

 2024年の政府債務残高は29兆ルーブル(GDP比14.4%)であった。2025年には38兆5,000億ルーブルに増加し、GDP比17.7%に達する見通しである。これは「2026~2028年の予算・税制・関税政策の基本方針」による。2026年には43兆6,000億ルーブル、2027年には48兆4,000億ルーブル、2028年には53兆7,000億ルーブルに拡大し、GPD比では19.5%に達すると見込まれている。

 2025年には債務残高の83.5%(32兆1,800億ルーブル)を国内借入が占める見込みである。財務省はこれを2028年には88.2%まで高める方針で、対外債務は今後も6兆3,000億ルーブル以内に抑える予定である。債務の利払い費も増加する見通しで、2025年は3兆2,000億ルーブル、2026年は3兆9,000億ルーブル、2027年と2028年はそれぞれ3兆7,500億ルーブルと4兆5,200億ルーブルと予想されている。

 現在の状況では、政治的要因からロシアには事実上、対外借入の手段がほとんどないとバフチジン氏は指摘する。一方、国内資金に依存することで、他国と比べてロシアの債務構造はより安定しているとも述べている。

 「ヴェードモスチ」紙が取材したすべての専門家は、ロシアの債務状況は安定していると評価した。ただし、さらなる借入は可能であるものの、金利と最終的な返済コストが重要である点も指摘された。

 A.アブラモフ氏は、政府債務は依然として低いものの、財政負担の増大により財務省は借入を続ける必要があると述べている。しかし、借入の拡大はインフレリスクを高めるため、金融政策と財政政策の連携が重要であると強調した。

 K.セレズニョフ氏によれば、国有企業は上層部の指示に従い、多額の借入を行ってきたという。国有企業の債務を含めた総政府債務は、GDP比40%を超えることはおそらくないという。

 A.ジオエフ氏は、債務による資金調達は一時的な手段であり、恒久的な解決策ではないと述べている。「そのため財務省は税制を、より安定した財源に適応させている。付加価値税、個人所得税、法人税の引き上げは、まさにその表れである」と説明する。また、原油価格のさらなる下落があれば、借入の必要性は一段と高まる可能性があると付け加えた。

 これに同意するのが、M.ニコラエフ氏である。財務省の意向に反して、債務拡大の必要性は今後高まる可能性があると指摘している。近い将来、原油価格は下落すると予想されており、それにより借入の必要性が高まるほか、国民福祉基金の流動性準備の取り崩しも進む可能性があると述べている。


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 当日のご案内というのもなんですが、今日・明日と、スラブ・ユーラシア研究センター2025冬期国際シンポジウム「Great Power Competition and the Survival of Small and Middle Powers: Perspectives from Eurasia and Beyond」が開催されます。今からでも登録してオンライン視聴が可能のはずですので、よかったらチェックしてみてください。


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 HP更新しました。マンスリーエッセイ「戦時下ロシア極東・シベリアの旅:スルグト編」です。よかったらご笑覧ください。


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 余力がないので、土曜日のロシア経済・財政セミナーで使ったスライドをお目にかけてお茶を濁しているわけだけど、その続き。本日はロシア鉱工業生産の最新データのグラフ。上図に見るとおり、最新の2025年1~10月の数字を見ても、当ブログでこれまで何度か報告してきたとおり、今年に入りロシア鉱工業生産の伸びは大幅に鈍化し、本来の花形の鉱業がまったく冴えず、製造業の伸びで辛うじて全体のプラスを維持している状態である。

 しかも、下図に見るとおり、その製造業にしても、主要部門が軒並み、今年に入って減産を記録している。普通に考えれば、これはもう経済危機と言っていい状態である。

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 それでも製造業が全体としてはプラスなのは、もっぱら、下図に見る軍需関連部門(ここに挙げた部門のすべてが軍需というわけではなく、あくまでもその一部であることに注意)の伸びに起因している。ところが、その軍需関連部門も、今年に入りこぞって伸び率を低下させている。唯一、航空・宇宙機器が急成長しているのは、おそらくドローンの大増産によるものだろう。一番右にある「他のグループに含まれない自動車以外の輸送機器」は、戦車をはじめとする装甲戦闘車両などから成っているわけだが、この部門の伸びが1~10月についに0.3%まで低下したというのは、かなりの驚きである。

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 これも、土曜日の生存戦略研究セミナー「蝕まれるロシア ―経済と財政の持久戦―」の報告で使ったスライド。レヴァダ・センターがロシア全国世論調査で、「貴方の最近の気分はどうか?」という質問を継続的に問うており、こちらのページに基づいてその回答推移をまとめたのが上図となる。

 これに見るように、ロシア国民のムードは、ウクライナ侵攻開始後も、至ってフツーなのである。2022年9月に部分動員を発表した時だけ、ネガティブ感情が広がったが、それも一時的なものだった。ロシア国民にとってみれば、とにかく混乱・貧困・腐敗・国際的地位低下に見舞われた1990年代こそが最悪であり、プーチン時代になってからの国民的ムードは総じて大きく改善されている。こういう現実は、直視しておかなければならない。


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 昨日の生存戦略研究セミナー「蝕まれるロシア ―経済と財政の持久戦―」に参加してくれた皆さん、ありがとうございました。休日につき技術系のスタッフや助手がおらず、自分でZOOM操作をしたものですから、非常に段取りが悪く、お詫び申し上げます。ただ、内容は非常に有意義であったと自負しております。

 さて、そんなわけで大役を終えてぐったりとしているところなので、今日のブログは、昨日の発表で使ったスライドをお目にかけるだけに留める。ロシアの経済成長率(GDPの実質伸び率)のグラフであり、上図が年間データになる。2024年までが実績値で、2025年以降はロシア経済発展省が発表した現時点での公式見通しということになる。昨日も話題になったが、現在のロシアの経済状況を評価する際に、「コロナ禍の時の方がもっと悪かった」ということは、考慮すべきかと思われる。

 そして、下図が、四半期別成長率で、前年同期比の実質増減率となっている。つい先日2025年第3四半期の速報値が出たので、そこまでを反映している。今年に入って伸びが顕著に鈍化していることが確認できる。

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 毎度、代わり映えがなく恐縮だが、先日発表されたロシアの消費者物価統計に基づき、定番のグラフを更新してお目にかける。ロシアによるウクライナ侵攻開始後の物価の動きを一目で分かるようにするのが目的のグラフなので、戦争が長期化するにつれ横長になっており、それだけ不毛な戦争が長引いていることを実感する。そのままでは分かりづらいと思うので、クリック・タップし拡大してご利用を。

 そんなわけで、ロシア統計局の発表に基づき、10月までの月別インフレ率を跡付けたのが上図、食料品・非食料商品・サービスに区分した上でその軌跡を描いたのが下図になる。このところの景気の冷え込みを反映してか、物価はやや落ち着きを示しており、10月の消費者物価は前月比0.50%増、前年末比4.81%増、前年同月比7.71%増となった。最近上昇が目立っていたサービスが10月には下落に転じており、旅行料金の低下がその主原因のようである。

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 こちらの記事が、ロシアの個人向け融資が低迷していることを伝えているので、以下要旨をまとめておく。なお、以下の数字には自動車ローンは含まれているが、住宅ローンは含まれていないようである。

 https://scoring.ruによると、2025年1~10月のロシアにおける個人向け融資の件数は1,600万件で、その総額は2兆5,300億ルーブルだった。総額は前年同期比48.1%低下した。10月時点の1件あたりの金額は前年同月から6%増え、16万ルーブルとなっている。平均期間は0.1ヵ月長くなり、26.4ヵ月である。

 このうち、自動車ローンは95.2万件で、総額は1兆2,890億ルーブル、前年同期比33.9%減だった。10月時点の平均額は150万ルーブルで、前年同月から9.5%増えた。平均期間は68.3ヵ月で、前年同月から1.8%短くなった。


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 ロシアの大型トラック生産と言えばKAMAZ(カマ自動車工場)の独壇場だが、こちらの記事がKAMAZの深刻な不振を伝えている。

 記事によると、このほどKAMAZは、下方修正した同社の販売予想を発表した。2025年の販売予想は、以前は5万台程度とされていたが、このほど4.5万~4.7万台程度へと修正された。また、2026年も同程度になりそうということである。なお、KAMAZでは2025年1~10月の14t以上のトラック販売台数が前年同期比54%減となっている。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2025年12月号のご案内。今号は「新しい局面に立つコーカサスの国々」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回服部は、いずれも特集の枠外ですが、「ロシア鉱工業生産と鉄鋼業の動向」、「EUがウクライナ産農産物・食品に一層の市場開放」という短い連載記事を書きました。


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 こちらの記事が、ロシア農業部門の人手不足について伝えているので、以下内容を紹介する。

 サンクトペテルブルグ国立獣医学大学の学長であり、ロシア科学アカデミーの準会員であるK.プレミャショフ氏が、RIAノーヴォスチ通信に以下のように語った。ロシアの農業分野の人材は、農業大学や獣医大学で育成されている。基礎的な専門分野として「畜産技術者」があり、サンクトペテルブルグ国立大学を含む大規模大学では、バイオテクノロジー技術者、バイオエンジニア、バイオインフォマティクス技術者を育成している。しかしながら、人材不足は依然として深刻な問題だ。連邦農業省のデータによると、農業部門では約20万人の人材が不足しており、一方で毎年約15万人の労働力が退出している。若者には、現代の農業複合体はハイテク分野であり、将来性があるということを説明する必要がある。政府は「農業分野の人材育成」という連邦プロジェクトを立ち上げ、2030年までに全国18,000の農業クラスを設置する計画だ。学生たちは農業の基礎を学び、最新の機器を使って作業し、企業で実習を行う。農業が肉体労働だけでなく、科学や技術、そして十分な給与が得られる分野であることを子供たちが早く理解すればするほど、彼らがこの分野に人生を捧げる可能性が高まる。プレミャショフ氏は以上のように述べた。


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 私は以前は、ロシアの地域開発という観点と、貿易促進団体の業務を折衷するような形で、ロシアの経済特区の研究を熱心にやっていた。ただ、ウクライナ侵攻で先進国企業の誘致が絶望的になり、果ては経済特区でカミカゼドローンの生産が立ち上げられたりするのを目の当たりにして、「ダメだこりゃ」との思いを強くした。

 もっとも、ロシアの経済特区は必ずしも外資誘致に主眼があるわけではなく、実はもともとロシア資本の企業の方が多かったりした。そういう観点から、いまロシアの特区がどうなっているのか、気になるところである。こちらに見るとおり、このほどチュヴァシ共和国のチェボクサルィを訪問したM.レシェトニコフ経済相が、経済特区の現状について語っているので、以下発言要旨をまとめておく。

 レシェトニコフ大臣いわく、今こそ、特別経済区の開発に関連するすべてのプロジェクトを継続することがこれまで以上に重要だ。各地域と協力し、時間を逃さず、経済成長の可能性に取り組むことが非常に重要。それは、最終的には2030年までにどの数字に到達するかを決定づける。経済発展省は、各地域と積極的に協力し、これらすべての分野を支援、発展させている。

 政策金利の影響を受ける経済状況は、遅かれ早かれ正常化する。その時までには、建設用の工業用地、完成した建物が用意され、そこに機械を搬入して作業を開始できる状態になっているべきだ。供給側の経済は需要の回復に備える必要がある。特区の発展は、インフラ予算融資をはじめとする幅広い支援によって促進されている。

 2025年は大掛かりな選考が行われ、いくつかの地域が特区への支援を申請し、これらのインフラ融資を受けた。一方、運営会社自体、つまり地域や民間企業は、資金を投入して、新しく作られた税金でインフラへの投資の補償を受けられる。2025年は、39億ルーブルが特区に投入される予定。

 2025年の成果をまもなく総括することになる。チュヴァシ共和国を例に挙げると、開発は非常に活発に進んでいると言える。経済への投資がかなり難しい状況にもかかわらず、特区では、たとえ何らかの遅れがあったとしても、プロジェクトは概ね予定通りに実施されている。なぜなら、各地域がこれらの分野に注力しており、さまざまな支援手段を巧みに組み合わせることができるチームが実際に存在しているからだ。全体として、プロジェクトはすべて完了し、設定された目標を達成することに成功している。大臣は以上のように述べた。


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 ロシアの軍需産業を取り仕切る国家コーポレーション「ロステク」のS.チェメゾフ総裁が、ドバイの航空宇宙ショーに出かけており、その際の発言がマスコミで伝えられている。

 こちらによると、武器輸出公社「ロスアバロンエクスポルト」の受注残高は、600億ドルとなっているという。

 また、こちらによると、チェメゾフは以下のように述べた。残念ながら、ロシアの武器輸出は減少した。以前は、ロシアは長年にわたり堅調に世界2位を維持していた。しかし、2022年以降、生産量の大部分をまずロシア軍に供給せざるをえなかったため、輸出は減少した。しかし、近い将来、我々は回復し始めることを約束する。生産量は拡大し、生産能力も増強されたため、ロシア軍だけでなく、パートナー諸国にも供給できる体制が整っている。なお、ロステクは2014年以降、ドルやユーロでの決済を事実上取り止め、ルーブルおよびパートナー諸国の自国通貨での支払いに移行している。チェメゾフは以上のように述べた。


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 プーチン政権肝いりのロシアにおけるプレミアム乗用車「Aurus」の生産プロジェクト、こちらの記事によるとガスプロムが支配株を保有することになったということだ。以下で記事の要旨をまとめておく。

 2025年夏、ガスプロムは国内の高級車メーカーAurusの支配株(51%)を取得した。この株式を買収したのは、ガスプロムテックであるという。ガスプロムテックは、航空、造船、自動車産業の資産を統合するために2023年に設立されたガスプロムの子会社だ。最初の情報筋によると、取引額は約120億~130億ルーブルだった。ガスプロムは、2024年12月までアラブのファンド「タワズン」が保有していたAurusの株式(36%)と、国営機関FGUP NAMIの株式の一部を取得したという。

 現在、Aurusの株主リストは非公開となっている。昨年12月末、アラブのファンドが所有していた36%の株式が、ロシアの企業「デダル」に移管された。NAMIはAurusの63.5%を所有し、残りの0.5%は、元モスクヴィチの最高経営責任者であり、KAMAZ出身のハンス・ペーター・モザーが率いる「ヒット・モーターズ・ルース」が所有していた。

 一方で、2023年末には、ガスプロムがAurusの資本に最大40%の出資を行う可能性が想定されていた。ガスプロムはこの株式を、主要株主であるNAMIから取得する予定だった。得た資金は、同社の主力モデルラインアップよりも低価格な自動車の製造プロジェクトに充てられる予定だった。

 ガスプロムはAurusの株式を購入することをあまり望んでいなかったが、結局、同社の上層部の交代を条件として購入せざるを得なかった、と関係者が語っている。同氏は、新たな投資家がメーカーの事業開発に資金を投入する義務を負っている可能性があると認めている。

 今年9月、Aurusの最高経営責任者が交代。これまでルノーのロシアにおけるトップマネージャーを務めていたアンドレイ・パンコフ氏の後任には、ロシアの民間航空機メーカー「ヤコヴレフ」出身のアンデレイ・ボギンスキー氏が就任した。


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 こちらの記事によると、ロシア・ワイン協会幹部のD.キセリョフ氏が会議の席で、ロシアのワイン市場における国産品の比率につき述べたということである。

 キセリョフ氏いわく、現在ロシア産ワインは国内ワイン市場の63.5%を占めているが、フランスではフランス産ワインのシェアが80%以上であり、イタリアも同様であるように、ロシアもそのようにすべきだと考えてる。したがって、我々には目指すべき目標がある。ロシアのワインは、より高品質で、より熟成され、よりビンテージ物となるだろう。なぜなら、今はまだ5年、あるいは必要な年数が経過していないからだ。それを経れば、10~15年物のワインになる。なので、この分野では明るい未来が待っている。おそらく、農業の中で最も急速に発展している分野だろう。今やワイン造りは、まさに国の誇り、ロシアの誇りなのだ。キセリョフ氏はこのように述べた。


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 アラスカで米露首脳会談が行われた際に、ベーリング海峡にトンネルを掘ってロシア領と米アラスカを結ぶという構想が語られた。その後、米露関係は紆余曲折を経ており、元々荒唐無稽だったトンネル構想も進捗しているわけではないが、こちらの記事の中でロシア科学アカデミー極東支部長のYu.クリチンが本件についてコメントしているので、以下発言内容を整理しておく。

 クリチン支部長いわく、現代の技術により、ロシアからアラスカまでベーリング海峡の下にトンネルを建設することは可能だが、それを効果的に活用するためには、マガダンからチュクチ半島までを結ぶ幹線道路も整備し、トンネルをロシア国内の既存の道路インフラと接続する必要がある。1940年代、ソ連は本土からサハリンへのトンネル建設を計画し、実際に建設が始まった。スターリンの死がなければ、おそらくそれは実現していただろう。現在では、まったく異なる技術が用いられている。そして現代の技術では、アラスカへのトンネル建設はまったく問題ではない。英仏海峡にもトンネルがある。問題はその必要性であり、ヨーロッパからマガダンを経てチュクチ半島に至る正常な幹線道路がない場合には、微妙となってしまう。そこで、マガダンからさらに先へ進もう。そうすれば素晴らしいことになる。支部長はこのように述べた。

 まあ、トランプ政権への秋波の一環にすぎず、ロシア側としても本気というわけではないだろう。


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 誰も関心がないような、ごく個人的な研究分野の話で申し訳ない。私はロシアの北極域開発のことを研究テーマの一つにしているのだが、プーチン政権は北極域開発を進める上で「拠点都市」というものを指定し、そこを足掛かりに資源開発や国防の強化に繋げるという政策を打ち出している。2023年に16の拠点都市が指定され、プーチンは政府に対し、それらの都市の開発に向けたマスタープランを策定するよう指示していた。

 そして、こちらのページに見るように、10月27日付のロシア連邦政府指令により、拠点都市の「2035年までの総合社会発展計画」が採択された。ところが、その対象都市は、2023年に指定された16から、今回の決定では15に減っている。クラスノヤルスク地方のイガルカが対象から外れた模様である。また、前回のリストではチュクチ自治管区のアナディリが対象だったが、今回のリストではそれが消え、代わりにエグヴェキノトというだいぶ北に離れた集落が指定された(ただしエグヴェキノトのインフラ整備プロジェクトにはアナディリに向かう道路の建設なども含まれているので、アナディリが開発の対象外になったということではないと思う)。さらに、前回リストではペヴェクが指定されたが、今回のリストではペヴェク・ビリビノという形に変わっている。上掲の表では、指定から外れたところをカッコ付きで示し、新しく加わったところを赤色で表示してみた。


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 簡単なネタで恐縮だが、ロシア・エネルギー省報道官が国内燃料市場の安定を強調したということを、こちらの記事が伝えている。以下がその要旨。

 ロシア・エネルギー省の報道官がこのほど述べたところによると、ロシア国内の自動車用燃料の需要は供給で完全に満たされている。市場の状況は安定しており、これはロシア政府が以前に行った措置、特に非生産者に対する自動車用ガソリンとディーゼル燃料の輸出の一時的な制限などが寄与している。エネルギー省は、石油製品市場の状況を毎日監視し、国内経済と国民に燃料を安定供給するために、各地域と体系的な連携を行っている。報道官は以上のように述べた。


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 ロシア税関より、2025年1~9月期のロシアの輸出入データが発表されたので、早速表にまとめてお目にかけたい。ただし、現在ロシア当局が公表しているのは、輸出入の総額、その大陸別内訳、ごく大掴みな商品分類だけである。今回お目にかけるデータがすべてであり、踏み込んだ分析などは不可能となっている。

 まず、1~9月期の輸出・輸入額を、過去3年間で整理してみると、上表のようになる。今年に入り、輸出の落ち込みが目立っている。ただ、1~6月の輸出は前年同期比6.3%減だったので、1~9月の4.6%減は、やや持ち直してきたと言えるのかもしれない。

 次に、大陸別の輸出入動向が、下表のとおり。かつての得意先である欧州との取引減が相変わらず激しく、アジアへのシフトが進んでいる。ただし、今年に入りそのアジアとの輸出・輸入も微減となっている。その他の大陸は額がわずかなので、何とも言えない。

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 最後に、商品グループ別の輸出入動向が、下表のとおり。あまりにも粗い分類なので、詳しいことは分からないが、これを見ると、今年に入っての輸出不振は、もっぱら鉱物と農産物・食品の落ち込みに起因していることが分かる。鉱物は国際的な制裁網や燃料の輸出禁止措置などが効いているのだろう。農産物・食品は、作柄、制裁、国際市況などが複合的に作用して落ち込んでいるものと見られる。農業はロシアの成長産業の最たるものと位置付けられ、しばらく前に農産物・食品の純輸出国になったと胸を張っていたわけだが、2025年1~9月には再び純輸入国に転落している。

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 ロシアにとっての命綱である中国との貿易が、今年に入ってから低迷している。こちらの記事を、以下のとおり抄訳しておく。

 露中貿易は、2024年には往復2,440億ドルと過去最高を記録した、2025年に入り第1~3四半期にかけて、3四半期連続で前年の水準を下回った。これは市場の状況と「ネガティブな外的要因」によるものだと、ロシアのD.マントゥロフ第一副首相が11月1日、北京で開催されたロシア・中国政府間委員会会議で述べた。これに先立ち、中国税関は、1~9月の露中貿易が3四半期連続で減少し、1~9月累計では前年同期比9.4%減少し、1,636.2億ドルとなったと発表した。中国からロシアへの輸出は11.3%減の735.7億ドル、ロシアから中国への輸出は7.7%減の900.5億ドルとなった。

 ロシアの主な輸出品は、金額ベースで石油、ガス、石炭であり、次いで銅、鉱石、木材、液体燃料、水産物が続く。中国はロシアに自動車、特殊機械、電子機器、設備、繊維製品を輸出している。中国側のデータによると、1~9月のロシアから中国へのエネルギー資源の供給額は590億ドル(18.9%減)だった。中国のロシアからの石油輸入量は8.1%減の7,404万t、金額ベースでは21%減少した。ブレント原油は9か月間で14%値下がりした。価格の下落と数量の減少が重なり、石油取引額が低下した。

 他方、ロシアの鉱石と金属の対中輸出は増加している。1~9月にニッケルの供給量は前年比2倍となり10億ドルに、銅は88%増で20億ドルに、金属鉱石とアルミニウムは1.5倍になり27億ドルに増加した。鉱石と金属の輸出増のうち、非鉄金属が半分、核燃料のスポット供給が4分の1、鉱石が10%を占めている。いくつかの品目における市況が追い風となっている。ロンドン金属取引所(LME)の銅先物は10月末に11,185ドル/tという過去最高値を記録し、アルミニウム先物は2022年以来初めて2,900ドル/tを超えた。

 中国からロシアへの輸出では、自動車と自動車部品が落ち込みの主要因となっている。前年同期が過去最高の190億ドルだったのに対し、2025年1~9月にその輸出額は85億ドルまで落ち込んだ。中国からの自動車および建設機械の輸入は、2024年の過剰購入と2025年の需要低迷により減少した。ロシアでは、1~9月に新車販売台数が22%減少している。ロシアにおけるトラック新車の販売も落ち込んだ。2024年の需要の高まりを過ぎ、KAMAZ社の推定によると、現在は在庫が約3万台が積み上がっている。

 専門家によると、11月初旬現在、ロシアと中国の自動車国境検問所での越境に問題は生じていない。例外はカザフスタン経由の輸送貨物で、このルートではロシアとカザフスタン双方による検査の増加により、9月以降、違法輸入品の移動を防ぐための大きな渋滞が発生しているという。

 10月初旬、祝日のため、中国側で数日間、いくつかの国境検問所が閉鎖された。ロシアと中国の国境にある綏芬河・ポグラーニチヌイと杜寧・ポルタフカは、10月1日から2日まで閉鎖されていた。中国とカザフスタン、モンゴルの国境では、一部の検問所が10月1日から3日まで閉鎖されていた。

 海上物流にも問題があり、運賃は低水準だった。CStar Line(UAE)とSTF Shipping(中国)といった海運会社の動きも悪影響を及ぼした。ロシアの契約相手との決済問題から、ロシア極東および黒海沿岸の港湾でのサービス提供が縮小しており、これが一時的な海上コンテナ輸送能力の不足を引き起こした。

 10月のロシアへの陸上輸送の需要は、9月と比べて2倍に増えた。コンテナ運賃は68%上昇し、1,200~1,300ドルから2,100ドル/TEUとなった。ウラジオストク~モスクワ間の鉄道輸送運賃が10%上昇し、236,500ルーブル/TEUとなることが発表された。中国からの鉄道輸送は10月から25%値上がりして1TEUあたり5,000ドル、上海~モスクワ間のトラック輸送は20tトラック1台あたり35%(15,000ドル)値上がりした。


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 ロシアのスヴェルドロフスク州ニジニタギル市に所在するウラルヴァゴンザヴォード(ウラル鉄道車両工場)と言えば、ロシア唯一の戦車生産工場として知られる。鉄道車両工場と名乗ってはいるが、実際には軍需の生産比率の方が高く、ウクライナ侵攻後にはますますそうなっていると見られる。

 この工場に関し、地元メディアのこちらの記事が、10%の人員削減を計画しているということを報じた。軍需工場に増産の号令がかかっていることを思えば、一見矛盾した動きにも思えるが、差し当たり以下で記事を抄訳してみる。

 ウラル鉄道車両工場の従業員が、今後の人員削減について警鐘を鳴らしている。本編集部は、この件に関する執行取締役の命令書を入手した。4ページにわたるこの文書は10月7日に署名された。「センター、サービス、管理部門、研究所、部門の従業員数を、平均名簿上の従業員数の10%まで最適化する」と命令書には記されている。文書には、誰が人員削減の対象となるかについての提案は、特別委員会が検討すると記されている。整理の対象となった者には、平均月収の最大3ヶ月が支払われることになっている。

 この命令は2026年2月までに実行されることになっている。この間、会社は新しい社員の採用も停止する予定だ。文書には「組織内の管理職、専門家、事務職の空席を抹消する」と書かれている。

 一方、従業員は、10%以上の従業員が削減の対象となりかねないことを懸念している。我々が得た情報によると、ほとんどの部門で人員削減は定員の最大50%に達している。その結果、能力のある高度な専門知識を持つ専門家たちが職を失っている」と、職員たちは明かしている。会社側は、社内の変更に関する情報を確認したが、人員削減の対象となる従業員の割合についてはコメントを控えた。

 編集部からの照会に対し、会社側は、「ウラル鉄道車両工場は、国家コーポレーション『ロステク』傘下のUVZグループの一員として、国防発注の遂行に向けて、高い集中力で安定的に業務を行っている。他の企業と同様、UVZも状況を踏まえた再編を進めており、その主な対象は管理費の最適化となる。すべての手続きは、現行の労働法の範囲内で厳格に行われている」と回答した。

 また、同社では新規従業員の募集と採用を継続しているとしている。特に高度な専門知識を持つ専門家や、不足している専門技能を持つ経験豊富な労働者を対象としていると述べた。

 10月初旬、ウラル鉄道車両工場では、従業員の一部の週4日勤務への移行を決定した。これは民需製品の需要の減少によるものとされた。同様の措置は、ウラルアスベスト工場とセロフ合金工場でも導入された。


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 スラブ・ユーラシア研究センターでは11月29日(土)10:00-12:30に、生存戦略研究セミナー「蝕まれるロシア ―経済と財政の持久戦―」を開催します。服部に加え、日臺健雄、田畑伸一郎、横川和穂、溝端佐登史の各先生が登壇する豪華な内容です。かなりの勝負企画ですので、なるべく多くの皆さんにご参加いただけると幸いです。対面に加え、ZOOMミーティングによるリモートでの視聴も可能ですので、ご参加希望の方はこちらからお申込みください。


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 私は無類のグラフ好き(?)で、なおかつロシアの鉄鋼業を研究テーマの一つとしている。そんな私にとって見逃せない、ロシア鉄鋼業の現状と見通しについて論じたこちらの記事が目に留まった。9月16日掲載と、少々古くなってしまったが、グラフを上掲のとおり転載させていただくとともに、以下で記事を抄訳しておく。

 なお、グラフはロシアの鉄鋼生産量を示したもので、2025年以降はコンサル会社「B1」による予測となっている。凡例は、下から、赤:горячекатаный прокат:熱間圧延鋼材、オレンジ:сортовой прокат:形鋼、ベージュ:оцинкованная сталь:亜鉛めっき鋼、薄緑:холоднокатаный прокат:冷間圧延鋼材、緑:прокат с полимерным покрытием:ポリマー被覆鋼板、グレー:その他となっている。

 B1社によると、ロシアの鉄鋼生産は2026年から徐々に増加し、2035年には7,800万tに達し、2024年の生産量を8%上回ると予測されている。今年の鉄鋼生産量は11%減の6,400万tとなる見通しだ。

 2026年以降は生産は回復し、同年の生産量は7,000万t(2025年比+9%)に達する見込み。その後、成長はより緩やかになり、2027年には7,100万t(前年比+1%)、2028年には7,200万t(+1%)となり2024年の水準を回復、2029年には7,300万t(+1%)に増加する。2032年には生産量は2021年の過去最高値である7,600万tに達し、2033年にはそれを上回り7,700万tとなる見込み。

 成長の主な原動力は、国内需要の増加になる。B1の予測によると、2035年には国内の鉄鋼消費量は4,900万tとなり、2024年の4,500万tから9%増となる。建設部門、自動車生産、その他の機械製造、石油・ガス産業における金属消費の漸進的な増加によって可能となる。

 住宅建設は、政府支援と優遇住宅ローンのおかげで、2035年までには2024年の水準に戻る見込み。ロシアでは住宅供給量が、2023年は過去最高を記録したが、2024年には前年比2.7%減の1億700万平方メートル強だった。ロシア統計局のデータによると、2025年1~7月の住宅供給量は前年同期比4%減の5,960万平方メートル、7月単月では13.8%減の740万平方メートルとなった。

 さらに、LNG新工場へのガス供給、ガス化プログラムの実施、および石油輸送に関する新規プロジェクトの一環として、パイプラインが建設される予定である。機械製造分野では、車両生産の増加、造船における鉄鋼消費量の倍増、農業用、農業用、道路用機械の生産分野における輸入代替量の増加が見込まれている。自動車産業における鉄鋼需要の増加は、優遇融資プログラムの実施、ロシア製自動車の市場シェアの拡大、および海外企業の現地化に伴い、車体および自動車部品の生産稼働率の回復によって促進される見込み。

 2035年までの鉄鋼消費量の増加は、建設セクター70万t、自動車産業では80万t、その他の機械製造では80万t、石油・ガス産業では90万tと推定されている。その結果、2035年の建設部門における鉄鋼需要は3,570万t、石油・ガス部門では690万t、機械製造(自動車製造を除く)では360万t、自動車製造では170万tとなる。

 また、鉄鉱石と石炭の価格が落ち着いていることも、鉄鋼生産の増加に寄与するとされている。今年の世界市場における鉄鉱石価格は平均12%下落して97ドル/tとなり、2026年にはさらに7%下落して90ドル/tとなり、その後少なくとも2029年までこの水準で安定すると見込まれている。2025年の原料炭の平均価格は25%下落して183ドル/tとなり、その後2029年までは195~200ドル/tで推移する見通しだ。

 ロシアの鉄鋼の主な輸出市場は今後も、CIS諸国、中東、アジアとなる。ロシアの鉄鋼メーカーはCIS市場への製品輸出を拡大できる可能性がある。2025年には、CIS諸国における鉄鋼消費量は2022年比56%増の1,450万tに達するという。

 分析会社「チェルメト・コーポレーション」のデータによると、2025年1~8にロシアの鉄鋼生産量は5%減の4,560万tとなった。8月単月の生産量も5%減少し、550万tとなった。同社によると、昨年のロシアの鉄鋼生産量は7,070万tで、2023年より7%減少した。このデータは、世界鉄鋼協会の統計と一致している。

 セヴェルスターリ社の推定によると、2025年1~6月にロシアの鉄鋼需要は1,980万tで、前年同期比15%減少した。ロシアの鉄鋼需要は、政策金利の高さを背景に、建設業や機械製造業の活動が落ち込んだことで減少していると指摘されている。

 記事はまだ続くが、長くなってきたので、このへんで。


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 1890年11月4日に英ロンドンで世界初の地下鉄が開通してから、昨日で135年が経ったということである。ロシアのこちらの記事が、世界の地下鉄を様々なデータで比較しているので、それをちょっと眺めてみることにしよう。なお、旧ソ連圏では1935年にモスクワで地下鉄が開通したのが最初だったので、今年はモスクワ地下鉄誕生から90周年ということでもあるらしい。

 記事によると、今日世界には62ヵ国の208都市に地下鉄があり、路線は922、駅は15,892、総延長は23,500kmを数える。

 ロシアには、モスクワ、サンクトペテルブルグ、ニジニノヴゴロド、カザン、サマラ、エカテリンブルグ、ノヴォシビルスクと、7都市に地下鉄がある。

 世界的に見ると、世界の地下鉄総延長の実に50.54%が、中国に集中している。総延長の2位は米国、3位はインド、4位は日本で、ロシアは5位となっている(世界の総延長の3.28%)。

 モスクワ地下鉄の総延長は、世界の都市の中で7位となっている。上掲図に見るとおり、世界の都市別総延長ベスト10は中国に集中しており、モスクワは中国以外でベスト10入りしている唯一の都市となっている。モスクワの地下鉄には16の路線があり、この数は世界で8位。ただし、乗客数ではモスクワは世界のベスト10に入っていない。


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