ユーラシアリサーチ 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心に旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

カテゴリ: 学問のすゝめ

m202205

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』の中身をどこよりも早くご紹介。

  毎年5月号は、ロシア経済および日ロ関係に関する総論的な特集号と決まっております。今年も、定番のマクロ経済・財政レポート、日ロ貿易レポート、石油・ガス産業レポートなどが柱になっております。しかし、現状で、2021年の数字をまとめることだけでは意味がないので、その作業に加えて、ウクライナ侵攻以降のロシア経済をめぐる急激な情勢変化を可能な限り誌面に盛り込むことに努めました。 その結果、力作のレポートが集まり、過去最高レベルの142ページの大編成となっております。絶望的な情勢の中でも、小誌の誌面の充実だけは図るという矜持を示したつもりです。

 服部個人は、特集の枠内で「欧州市場を失うロシア鉄鋼業」を、枠外では「港湾はウクライナ経済の生命線」を執筆。「セヴァストーポリ攻防戦の慰霊碑」というフォトエッセイも。

 4月20日発行。お申込み・お問い合わせは publication@rotobo.or.jp まで。


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202202

 HP更新しました。マンスリーエッセイ「私が産湯を使ったリアリズムの国際政治学とは」です。ご批判は募集していません。


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m202203

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2022年3月号の中身を、どこよりも早くご紹介。

 今号では「ロシアの地域情勢から見えてくるもの」という特集をお届けいたします。昨年もそうでしたが、なぜかこの時期に地域特集を組むことが多いですね。今回は、やや拡大解釈的に、少しでもローカルな要素のある記事は特集の枠内に位置付け、単にトピックとして取り上げている地域を掘り下げるだけでなく、そこから今のロシアを探ってみようといった狙いを込めています。なお、当会らしく、極東成分の多い地域特集となっております。

 表紙の写真は、コンテナ貨物で溢れ返る極東のウラジオストク港の最新の様子を捉えたもの。

 服部個人は、特集の枠内で「ロシアの天然ガス東方シフトは可能か」というレポートを、枠外では「緊迫するウクライナの経済情勢はいかに」というレポートを執筆。

 2月20日発行予定。


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20220130

 先日のブログですでに触れましたが、日本貿易振興機構・アジア経済研究所に所属し、カザフスタンを中心とする中央アジア研究で活躍してきた岡奈津子さんが、急逝されたとのことです。改めて、HPに「さようなら岡奈津子さん」という小文を掲載しました。


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 中央アジア、特にカザフスタンの研究で活躍し、我が国における第一人者だった岡奈津子さんが急逝されたとのことです。つい1ヵ月ほど前に連絡をとりあった時には変わった様子はなかったので、信じられない思いです。

 岡さんと言えば、中央アジアの民衆のひだに分け入ったような研究スタイルを持ち味とし、特に2019年に上梓された『〈賄賂〉のある暮らし:市場経済化後のカザフスタン』(白水社、2019年)は大きな評価を獲得しました。

 以前当ブログに掲載した紹介文を再掲載させていただきます。心よりご冥福をお祈りいたします。

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 これはとんでもない本が出た。カザフスタンだけでなく、ロシア・ユーラシア諸国にかかわる者全員にとっての、必読書と断言できる。岡奈津子『〈賄賂〉のある暮らし:市場経済化後のカザフスタン』(白水社、2019年)である。Amazonから内容紹介を拝借すれば、以下のとおり。

 ソ連崩壊後、独立して計画経済から市場経済に移行したカザフスタン。国のありかたや人びとの生活はどのような変化を遂げたのだろうか。独立前からカザフ人のあいだにみられる特徴のひとつに「コネ」がある。そして、市場経済移行後に生活のなかに蔓延しているのが、このコネクションを活用して流れる「賄賂」である。経済発展がこれまでの人びとの関係性を変え、社会に大きなひずみが生じているのだ。本書は、市場経済下、警察、教育、医療、ビジネス活動など、あらゆる側面に浸透している「賄賂」を切り口に現在のカザフスタンをみていく。賄賂は多かれ少なかれ世界中の国々でみられる現象だが、独立後のカザフスタンは、それが深刻な社会問題を生み出している典型的な国のひとつである。ここから見えてくるのは、人びとの価値観の変容だけでなく、ほんとうの「豊かさ」を支える社会経済システムとはどのようなものかという問題だ。豊かさを追い求めた、この30年の軌跡。

 この本を読んで、「自分が今まで見てきたつもりでいたカザフスタンは、何だったのか?」と、愕然とさせられた。自分が断片的にでも知っているつもりでいた、公式的な存在としてのカザフスタンという国とは別に、まるでパラレルワールドのように、もう一つのカザフスタンが存在したのだ。そして、どうも、そちらのカザフスタンの方が、本物のようなのである。

 本書は、カザフスタンおよび旧ソ連全般の地域研究を縦糸、政治・経済・社会学的な腐敗論を横糸とし、その両方の関心に見事に応えるものとなっている。カザフという国を知るための本であるのはもちろん(他の旧ソ連諸国のヒントも)、カザフそのものに興味がなくても、腐敗、途上国・新興国の社会、移行経済などについて大いに考えさせられる。2,420円と、この種の本としては手頃な価格でもあり、ぜひご一読をお勧めしたい。


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 今般、産経新聞出版より、一般財団法人国際経済連携推進センター(編)『コロナ禍で変わる地政学 ―グレート・リセットを迫られる日本』が発行されることになり、そこに拙稿「コロナワクチン開発では先行したロシアが抱える3つの弱み」が載録されています。

 1月20日発行。

 10月中旬に執筆したものなので、ロシアの最新情勢とは行きませんが、同国がコロナ危機で露呈した弱点を、ワクチンの問題を通して考察したものです。

 1年余り前に、やはり一般財団法人国際経済連携推進センター(編)『コロナの先の世界 ―国際社会の課題と挑戦』(産経新聞出版、2020年)に、「コロナ危機であらわになったプーチン・ロシアの国家体質」と題する拙稿を掲載していただきましたが、その続編という位置付けになります。


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202112

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2021年12月号の中身を、どこよりも早くご紹介。

 今号では「ロシア経済の新トレンドを読み解く」と題する特集をお届けしております。要するにあまり明確なテーマ性はなく、ロシア経済に関するものなら何でもありという特集ではあるのですが、結果的に、ロシア経済の今を様々な角度から切り取ることができ、有意義な号になったという手応えを感じています。

 服部自身は、特集の枠内で「にわかに政治性を帯びるロシア肥料産業」、枠外では「史上最高の豊作に沸くウクライナ」というレポートを執筆。「輸出量世界第2位のウクライナ産はちみつ」と題するミニコラムも。

 11月20日発行。


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202109

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2021年9-10月号の中身を、どこよりも早くご紹介。

  今号では、「パンデミック下の医療保健・製薬業」と題する特集をお届けしております。医療分野が日ロ経済協力プラン8項目の1つとなり、そこにコロナ危機が重なったことから、私どもロシアNIS貿易会の情報発信でも医療分野に関するものが増えています。小誌ではすでに、2020年7月号で「コロナ危機に負けない」、2020年9-10月号で「ポストコロナの医療・医薬品産業」という特集を試みており、今号はその続編・最新版ということになります。

 服部個人は、「コロナワクチンで勝ち切れなかったロシア」、「プーチンはウクライナ論文で何を語ったのか」というレポートを執筆。「不憫だったモスクワ・オリンピックに思いを馳せる」というミニエッセイも。

 8月20日発行予定。


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m202108

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2021年8月号の中身を、どこよりも早くご紹介。

 今号は、2020年の貿易統計を網羅的にお伝えすることに主眼を置いたロシア貿易特集となっております。2020年の最大のトピックは、新型コロナウイルスのパンデミックと、それがもたらした世界経済の変調だったと思います。ただし、昨今ではタイトルにやたら「コロナ禍」と入れる人が増え、先日所内でもタイトルに「コロナ禍」を入れるのを禁止する布告を出したばかりですので、今号の特集タイトルではあえて「コロナ」を使うのは避け、「激変する環境下のロシアの貿易」といたしました。

 服部個人は、特集の枠内では、「2020年のロシアの貿易統計」、「ロシア・ベラルーシ石油協業の落日」、「ウクライナ・ロシアの貿易戦争は続く」を執筆。枠外でも、「戦略的安定に道筋をつけた米ロ首脳会談」を執筆しています。

 7月20日発行。


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 こんな新刊が出ました。S.アレクシエーヴィチ・鎌倉英也・ 徐京植・沼野恭子『アレクシエーヴィチとの対話: 「小さき人々」の声を求めて』(岩波書店)です。皆様もよろしかったら、ぜひ。


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m202107

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2021年7月号の中身を、どこよりも早くご紹介。今号では、「特集◆今こそあえて石炭を語ろう」をお届けいたします。2011年8月号で「ロシア・NIS諸国の石炭産業」と題する特集を組んで以来、ほぼ10年振りの石炭特集ということになります。昨今では、地球温暖化防止の観点から石炭には厳しい目が向けられており、もちろんそういうことは重々承知の上でというニュアンスを、特集のタイトルに込めました。もしかしたら、これが最後の石炭特集かもしれませんが、ロシア経済および日ロ経済関係に石炭が果たしている役割はかえって高まっており、またそのうちお鉢が回ってくるかもしれません。

 服部個人は、特集の枠内では「悩み深きウクライナの石炭・電力業」を、枠外では「ロシアの非原料・非エネルギー輸出目標の見直し」を執筆しています。

 6月20日発行予定。


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 商売柄、自分の研究分野についての新刊などは常にチェックするようにしている。その際に、安直だが、Amazonの検索で、「本」のジャンルを選び、「ロシア」というキーワードで検索をしてみるというのが、常套手段である。

 ところが、実を言うと、Amazonの検索はこの用途では使いにくく、最近ますます酷くなってきたように感じる。ロシアというキーワードで検索すると、ロシア美女のセクシー写真集の類がやたら数多くヒットする。また、当方は「本」のジャンルで検索しているのに、ロシアのカレンダーくらいまでは許せるとしても、「ロシア産ほっけの開き」の類まで表示されてしまう。最近、さらに困ったことに、「ロシア」というキーワードで、ロシアで発行されたロシア語の本までもが大量に表示されるようになってしまった。そんなこんなで、Amazonの検索は、ちょっとでも関連するあらゆるものを表示するので、「日本で発行されたロシアについての最新書籍を検索したい」というニーズには、甚だ不向きになっていると実感している。

 私が至った結論は、単純な検索という用途には、楽天ブックスの方がはるかに向いているということである。楽天ブックスで「ロシア」と入れて、「新しい順」に設定すれば、ずばり私の知りたい「日本で発行されたロシアについての最新書籍」が秩序立って表示され、大変結構である。

 似たような話だが、今般、私は「地経学」という術語について学びたいと思い、まずはAmazonで書籍検索してみた。私は、そのものズバリ、タイトルに「地学」と入っている本を知りたいのだけれど、Amazonは頭が良すぎるというかお節介というか、むしろ「地学」というタイトルの本を推してくる。中でも、北岡伸一・細谷雄一(編著)『新しい地政学』(東洋経済新報社、2020年)が一押しという雰囲気だった。チェックしてみたところ、この本には田所昌幸「武器としての経済力とその限界ーー経済と地政学」という章もあるので、本全体のタイトルには入っていないが、本の随所で「地経学」という術語の言及もあるのだろうと想像し、電子版を購入してみた。ところが、実際にはこの本には「地経学」という言葉は一箇所も出てこなかった(電子書籍を文字列検索したので、間違いはないだろう)。この本自体はむろん非常に学ぶところの多い有益なもので、買って損はなかったが、Amazonで「地経学」というキーワードで商品検索し、上位に表示された書籍に、実際には「地経学」という言葉が一箇所も出てこないというのは、ちょっと考え物ではないかと思ってしまった。

 それに対し、ここでも、楽天ブックスで検索した方が、本のタイトルに「地経学」と入っているものを素直に並べてくれるので、個人的にはその方が助かる。


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202101

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2021年1月号の中身を、どこよりも早くご紹介。

  雑誌の上ではもう2021年に突入し、新色のオレンジ色の装いも新たにお届けいたします。そして、今号の特集は、「政情不安に揺れるNIS諸国」。小誌としては異色の内容ですが、8月に発生したベラルーシの脱ルカシェンコ運動を皮切りに、秋にかけその他のNIS諸国でも選挙をきっかけにした政治変動が発生、さらにはナゴルノ・カラバフで本物の戦争が勃発するに至って、これはNIS諸国の今後を左右するだけでなく、ロシアの行く末にも大きく影響する現象であり、やはり正面から受け止めて特集を組むべきだと判断しました。

 いつもは表紙をお目にかける程度ですが、今回の「政情不安に揺れるNIS諸国」は渾身の特集ですので、特集記事のタイトルと執筆者を以下のとおりご紹介します。

  • 2020年ベラルーシ大統領選挙の顛末 ―人々は恐がることを止めた―(友繁弥寿志)
  • モルドバ大統領選挙の争点とロシアの影響力(六鹿茂夫)
  • 第2次ナゴルノ・カラバフ紛争 ―凍結された紛争の再燃―(立花優)
  • 2020年ジョージア総選挙 ―コロナ禍・米大統領選・カラバフ戦争の嵐の中で―(前田弘毅)
  • 混迷極めるキルギス第3次革命(中馬瑞貴)
  • ロシアとの関係強化を模索するウズベキスタン(中馬瑞貴)
  • タジキスタンの盤石な政治体制と脆弱な経済(中馬瑞貴)
  • ウクライナで実施された奇妙な国民意識調査(服部倫卓)
  • ロシア国民は周辺国の事件をどう見ているか(服部倫卓)
  • サンタ・ブレモルはルカシェンコの味方か敵か(服部倫卓)
  • ナゴルノカラバフ、見えない未来(小熊宏尚)

 以上です。12月20日発行。


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202011

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2020年11月号を、どこよりも早くご紹介。今号は、「転換期のロシア極東経済」と題する特集号となっております。ここ数年の日ロ経済関係では、9月にウラジオストクで開催される東方経済フォーラムが、1年の最大の山場となっており、小誌でもそれに合わせて11月号でフォーラムと極東経済の特集を組むのが恒例となっていました。今年はフォーラムがなくなってしまいましたが、極東の重要性に変わりはありませんので、今回の11月号は極東特集と相成りました。

 なお、今号より、大橋巌さんの「シリーズ 工業団地探訪」、ミナト国際コンサルティングさんの「HOW TO ビジネス実務」と、2本の新連載がスタートしましたので、ご期待ください。

 服部自身は今号では、特集の枠外で、「ロシアはベラルーシをどう『処分』するのか」、「様変わりするウクライナのエネルギーバランス」と2本のレポートを書いております。

 10月20日発行。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2020年8月号の中身を、いち早くご紹介。今号では、毎年恒例の貿易統計レポートを軸に、「ロシアの貿易の試練と挑戦」と題する特集をお届けしております。

 服部個人は、「2019年のロシアの貿易統計」というメインのレポートのほか、「ロシア肥料産業は外需と内需の両にらみ」、「激化するウクライナとロシアの貿易戦争」、「国内市場の不振を補うロシアの自動車輸出」、「戦勝75周年記念式典から改憲国民投票へ」を執筆。

 7月20日発行予定。


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202007

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2020年7月号の中身を、どこよりも早くご紹介。7月号は、「コロナ危機に負けない」という特集号となっております。

 しばらく前から、月報に掲載する記事で新型コロナウイルスの問題に言及するケースが増えてはいましたが、ついにそれを正面に掲げる特集と相成りました。今年の初め頃には、まさかこんなに気の滅入るテーマの号を作る羽目になるとは、想像だにしませんでした。ただ、単に「感染が増えて大変だ」という話だけでなく、いかにして危機を乗り切り、本来の経済・社会活動を取り戻していくかという視点にこだわったつもりです。

 服部自身は、「ロシア財政・金融政策に変更はあるか」、「ウクライナ労働移民の流れは変わらず」、「奮闘を続ける『ミンスクの台所』」と、短いものを書いただけです。むしろ、月報は今回より印刷の方式が変わるので、それへの対応の方が大変でした。

 6月20日発行予定。


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20200530

 HP更新しました。マンスリーエッセイ「『専門家』を疑え」です。よかったらご笑覧ください。

 コロナ危機で、自宅待機を余儀なくされる人が増え、流行ったものの一つに、「ブックカバーチャレンジ」というものがありました。ただ、私は友達がいないせいか(笑)、誰からもオファーを受けませんでした。そこで、誰にも頼まれてもいないのに、勝手に一冊紹介してみたいと思います。永井陽之助『現代と戦略』(文藝春秋、1985年)です。この名著から、新型コロナウイルス拡大防止策への教訓を引き出してみたいと思います。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2020年6月号の中身をご紹介。毎年6月号は、ロシアではなく、それ以外のNIS諸国が主役となる特集号です。今年は貿易に関するレポートが集まりましたので、「特集◆NIS経済・貿易の最新動向」と題しお届けしております。

 服部自身は、「2019年のロシア・NIS諸国の経済トレンド」というメイン記事の中で、「ロシア・NIS全般:まだら模様の成長と迫り来るコロナ危機」、「ウクライナ:穀物収穫・輸出が顕著に伸びる」、「アルメニア:欧州で最高の7.6%成長を記録」、「ジョージア:試練に直面する観光立国」と、4つのパートを担当。それ以外にも、「ウクライナの鉄鋼輸出はほぼ現状維持」、「予想外の展開をたどった戦勝75周年」というレポートを執筆しています。

 5月20日発行予定。


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 このほど、こんな本を読了した。藤巻健史『日本・破綻寸前 自分のお金はこうして守れ!』(2020年、幻冬舎)である。単行本は2,059円だが、Kindleだと1,158円なので、Kindleで読んだ。というか、私の場合、値段が同じでも、電子書籍を選ぶが。

 Amazonから本の内容をコピーさせていただくと、以下のとおり。

 日本経済は年々悪くなっているのに、日銀はお金のばらまきをやめず、社会保障費なども増加する一方で、日本財政がよくなる兆しはまったくない。「日本の財政が破綻する日(=Xデー)はいつ起きてもおかしくない」と著者。Xデーが起きたとき、政府は守ってくれないし、自分のお金は自分で守るしかない。本書では著者の資産運用法を公開し、読者にも、ハイパーインフレが起きても大丈夫な手法を具体的に伝授。

 私は財政タカ派であり、このブログでも過去に何度か、日本の財政危機に関する書籍を取り上げている。なので、藤巻さんの論旨についても同意するし、本書を読んで改めて危機感を新たにした。

 あまたある日本の財政危機に関する書籍の中で、本書の特徴は、著者が金融マンとして国際金融市場の第一線で活躍した経験があるだけに、その実務家としての経験を踏まえたエピソードなどが非常に興味深い点、またXデーに備えて具体的にどのような資産選択をしたらいいかという指南が語られていることだろう。ただ、個人的にはその指南の方向性はやや上級者というか富裕層向けという感じがして、必ずしも自分のような庶民には当てはまらないかもしれないとは感じた。

 コロナ危機で、日本政府も財政出動を迫られ、その財源問題などが議論の的となっている。本書には、一応その言及もあるものの、問題が本格化する前に上梓されたので、残念ながらコロナ財政出動に関する記述は充分とは言えない。それでも、コロナパニックに直面し、日銀はお金を刷って刷って刷りまくれ、それを国民に配れば万事解決といった無責任な議論も横行する中で、ぜひ読んでおきたい一冊だと思う。


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202005

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2020年5月号の中身をいち早くご紹介。今号では、毎年5月号で恒例となっているロシアの総論特集をお送りしております。世界がコロナウイルスの感染拡大で騒然とする中で、石油価格が下落しても、それでもロシアとしてはエネルギーを武器にこの難局に立ち向かっていかざるをえないだろうということで、「特集◆動揺する世界とエネルギー大国ロシア」と題しお届けする次第です。

 特集にマッチする表紙写真がないかと思って探したものの、手持ちには良いものがなく、ちょっと特集の方向性とは違う、むしろ楽し気なものになってしまいました。以前、自動車関係の見本市で撮影したロスネフチのブースであり、主に自動車オイルをPRしていたものですが、かろうじてエネルギー繋がりということで、ご容赦ください。

 今号は服部自身は脇役で、「足元で急変するロシア経済」、「2019年のウクライナの貿易実績」という短い記事を書いただけ。発行日は4月20日ですが、今号はお届けがちょっと遅れるかもしれません。


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 ツイッター界隈で、ディープラーニング翻訳のDeepLというのが話題になってたので、「使用頻度の高い英和とかはともかく、ロシア語はどうなのかな?」と思い、冷やかしてみた。そしたら、ちゃんとロシア語も使え、しかも予想以上の完成度で、驚かされた。グーグル翻訳を軽々と抜き去っている。

 たとえば、冗談で、以下のような日本語を放り込んでみる。

 私の名前は服部です。もちろんあだ名に決まってます。出身は静岡県って知ってました? 貿易促進団体に勤務しています。私の趣味はサッカー観戦と音楽鑑賞です。行け、ディナモ・キエフ! この翻訳ツール、優れものだな。でも、結局カネをむしりとられるのではないかという心配も、あるとかないとか。

 これを、Google翻訳で訳すと、以下のようになる。

 Меня зовут Хаттори. Конечно, прозвище решено. Знаете ли вы о префектуре Сидзуока? Work Я работаю в организации по продвижению торговли. Мои хобби - смотреть футбол и слушать музыку. Иди, Динамо Киев! Этот инструмент перевода великолепен. Но не стоит беспокоиться, что деньги будут сняты.

 一方、DeepLでは、以下のようになる。

 Меня зовут Хаттори. Это, конечно, прозвище. Ты знаешь, что я из префектуры Сидзуока?  Я работаю в организации по содействию торговле. Мои увлечения - смотреть футбол и слушать музыку. Вперед, Динамо Киев! Этот инструмент перевода отлично подходит. Однако есть опасения, что в конце концов у них могут отобрать деньги или нет.

 どうだろう、全体的にDeepLの方が個々の語句ではなく文脈を捉えて、的確なロシア語にしてくれていることが分かる。たとえば、Googleで「決まってます」を「решено」と単に単語を対応させているだけなのに対し、DeepLはちゃんと文意を捉えて訳している。特にぐっと来るのはディナモ・キエフのくだりで、Googleの「Иди」という直訳に対し、DeepLでは「なるほど、これはスポーツチームの話だな」とAIが読み取って、スポーツの応援でよく使われる「Вперед」にしてくれているわけである。最後はわざと「あるとかないとか」なんて曖昧な日本語を使ってAIの精度を試してみたが、やはりDeepLの方が破綻は少ない。

 うーむ、自動翻訳が、しかも日露ですら、ここまで来ちゃったのか。何人か、仕事を失う知り合いの顔が浮かぶ。


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 こんな新刊のご紹介をいただいたので、取り急ぎこちらでも共有させていただく。稲垣文昭・ 玉井良尚・ 宮脇昇(編)『資源地政学: グローバル・エネルギー競争と戦略的パートナーシップ』(法律文化社、2020年)。

 「地政学的観点から資源をめぐる国際政治動向を学ぶ。「接続性」概念から地政学的経路や障壁を俯瞰したうえで、資源貿易が政治体制や民族問題の構図にどのような影響を与えているのかを考察し、世界で起こっている資源をめぐる争いのダイナミズムを捉える視座を提供する。」という内容。

 余力があれば、後日、中身についてもうちょっと詳しくコメントさせていただきたいと思う。


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 田畑伸一郎・後藤正憲(編著)『北極の人間と社会 ―持続的発展の可能性(スラブ・ユーラシア叢書14)』(北海道大学出版会、2020年)については、先日すでに簡単に取り上げたが、このほど月報用に書籍紹介文を書いたので、それをここで共有する形で改めて紹介させていただく。

 北海道大学出版会から今般、「スラブ・ユーラシア叢書14」として、『北極の人間と社会 ―持続的発展の可能性』が刊行された。

 我が国においては、2015年度から文部科学省の「北極域研究推進プロジェクト(ArCS)」が開始され、国際共同研究を推進するための8つのテーマ(サブプログラム)の一つとしてテーマ7「北極の人間と社会:持続的発展の可能性」が設定された。本書は、主にこのテーマ7に取り組んだ研究者たちがその成果を発表すべく、企画されたものということである。

 本書では、急変する北極域の気候変動と環境変化が、人間社会にどのような影響をもたらすのか、また、人間はそれにどのように対応するべきかを、経済発展、環境と社会、国際関係とガバナンスの視点から検討し、北極域の持続的発展の可能性を探ろうとしている。具体的には、以下のような構成となっている。

序 章 持続的発展を目指して(田畑伸一郎・後藤正憲)
第1部 北極の経済開発
第1章 北極海航路(大塚夏彦)
第2章 石油とガス(田畑伸一郎・本村眞澄)
第3章 漁業(成田大樹・平譯享)
第2部 環境と人間の相互作用
第4章 凍土と文化(後藤正憲・中田篤・飯島慈裕)
第5章 変化と適応(藤岡悠一郎・高倉浩樹・田中利和・S.グリゴリエフ)
第6章 先住民とモニタリング(近藤祉秋)
第3部 北極のガバナンス
第7章 国際関係(大西富士夫)
第8章 北極評議会(稲垣治・幡谷咲子)
第9章 国際法に基づく秩序づくり(柴田明穂)
第10章 開発と先住民族(高橋美野梨)

 『ロシアNIS調査月報』の中心的な読者層である実務家諸氏にとっては、第1部で論じられている北極海航路、石油ガス開発、漁業の各章が、とりわけ直接的な関心事となろう。特に北極海航路を扱った第1章は単独の執筆者によるものでありながら、輸送の需要とコスト、船舶の構造、航行の安全性、環境への影響など、きわめて多面的な分析が施されており、学ぶところが大きい。

 ところで、本書序章の中では、北極研究において直面した自然科学系と人文・社会科学系の研究者同士の相互理解の難しさが吐露されている。ArCSにおいては、それまで自然科学系の独壇場であった北極研究に、人文・社会科学系の研究者が参入してテーマ7が設けられた点が画期的だったのだが、超克すべき両者のギャップは大きかったということだ。

 今般完了したArCSに続いて、本年からはその続編となるプロジェクトが始動する予定と伺っているので、より一層の成果に期待したい。


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202004

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2020年4月号の中身を、いち早くご紹介。今号では、「ロシア極東・シベリア・北極の経済発展」と題する特集をお届けしております。

 小誌ではこれまでも、極東の特集、シベリアの特集、北極の特集、全部やったことがありましたが、その3つをいっぺんにやる欲張りな特集は、もちろんこれが初めてです。今回の特集の地理的範囲は、何とロシアの国土の81%。もちろん、そこにはロシアの人口の21%しか住んでいませんが、地域総生産の27%、鉱工業生産の31%、特に鉱業生産の68%がここで生み出されています。思いのほかバラエティ豊かな記事も集まり、充実した特集になったかと思います。

 服部自身は、「ロシアの新たな北極政策文書」、「ウクライナ内閣は半年しか持たず交代」という短いレポートを執筆したほか、田畑伸一郎・後藤正憲(編著)『北極の人間と社会 ―持続的発展の可能性』の書評を担当。

 3月20日発行予定。


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 櫻井映子(編著)『リトアニアを知るための60章』(2020年、明石書店)が発行されました。

 私も、1つの章だけですが、「第29章 ベラルーシとの関係――『リトアニア大公国』は誰のものか?」を執筆しました。


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 我が国にウクライナという国の「ファン」がどれくらいいらっしゃるかは分からないが、その酔狂たちのバイブルになりそうな本が出版された。平野高志『ウクライナ・ファンブック』(パブリブ、2020年)である。

 パブリブと言えば、最近世界のマニアックな地域に関する新感覚の書籍を、意欲的に出しているところである。本書、224頁とそれなりにボリュームもあり、全編カラー印刷なのに、価格は2,300円+税と、ずいぶん良心的なものになっている。

 ウクライナにお出向きになる際には、当方の編集した『ウクライナを知るための65章』とあわせて(笑)、本書『ウクライナ・ファンブック』もお手に取られると、予習バッチリであろう。


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 師匠の新著が出ましたので、紹介させていただきます。田畑伸一郎・後藤正憲(編著)『北極の人間と社会 ―持続的発展の可能性(スラブ・ユーラシア叢書14)』(北海道大学出版会、2020年)です。正式な発行日はもうちょっと先かな。


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 コロナウイルスの問題、個人的に知見のないことにはなるべく口出ししないようにしているので、当ブログでも特に触れていないが、とにかく、早く収束に向かってほしいものである。

 さて、問題の震源地となってしまった中国の湖北省および武漢市。私はロシアの地理オタク、地域マニアなので、その延長上で、湖北省および武漢市がどんなところなのかというのは、非常に気になる。それで、自宅の本棚を何の気なしに眺めていたら、高橋基人『こんなにちがう中国各省気質』(草思社、2013年)という本が目に留まった。たぶん以前も当ブログで取り上げたことがあったと思うのだが、中国の31地域の特質や注目点を詳しく解説した本であり、私好みの素晴らしい内容なのである。

 そこで、本書で湖北省について解説されている中から、興味深いと思った点を抜粋して箇条書きにしてみる。

  • 湖北省は全国でも群を抜く教育レベルの高さを誇る。大学や教育機関の数は中国のトップレベル。住民は読書好きで、多くの学者も輩出している。
  • ただし、その反面、狡猾、悪賢いなどと指摘されることもある。
  • 気質は謙虚で、内省的で、勇敢。「能ある鷹は爪を隠す」を地で行く。
  • 武漢は、1911年に革命勢力の武装蜂起が初めて成功した都市で、辛亥革命の火の手はここから全国に広がった。
  • 武漢はそれなりの歴史があるが、都市として急発展したのは最近のこと。一昔前まで、在留邦人は、当地で売っている米に砂利が混じっているので、泣きながら砂利を取り除いていたが、それも今は昔。
  • 内陸部開発が国策となる中で、武漢への外資企業の進出が加速、日系企業は2000年代初頭は20社程度だったが、2010年には100社近くに。自動車メーカーに加え、物流会社も拠点。フォックスコンも武漢にアップル製品のEMS工場を設立。
  • 有名人としては、林彪が省南部の黄岡の生まれ。文革の混乱期、毛沢東暗殺を計画したが、失敗するやソ連への亡命を図り、飛行機が燃料切れでモンゴルに墜落、死亡した。

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 これはとんでもない本が出た。カザフスタンだけでなく、ロシア・ユーラシア諸国にかかわる者全員にとっての、必読書と断言できる。岡奈津子『〈賄賂〉のある暮らし:市場経済化後のカザフスタン』(白水社、2019年)である。Amazonから内容紹介を拝借すれば、以下のとおり。

 ソ連崩壊後、独立して計画経済から市場経済に移行したカザフスタン。国のありかたや人びとの生活はどのような変化を遂げたのだろうか。独立前からカザフ人のあいだにみられる特徴のひとつに「コネ」がある。そして、市場経済移行後に生活のなかに蔓延しているのが、このコネクションを活用して流れる「賄賂」である。経済発展がこれまでの人びとの関係性を変え、社会に大きなひずみが生じているのだ。本書は、市場経済下、警察、教育、医療、ビジネス活動など、あらゆる側面に浸透している「賄賂」を切り口に現在のカザフスタンをみていく。賄賂は多かれ少なかれ世界中の国々でみられる現象だが、独立後のカザフスタンは、それが深刻な社会問題を生み出している典型的な国のひとつである。ここから見えてくるのは、人びとの価値観の変容だけでなく、ほんとうの「豊かさ」を支える社会経済システムとはどのようなものかという問題だ。豊かさを追い求めた、この30年の軌跡。

 この本を読んで、「自分が今まで見てきたつもりでいたカザフスタンは、何だったのか?」と、愕然とさせられた。自分が断片的にでも知っているつもりでいた、公式的な存在としてのカザフスタンという国とは別に、まるでパラレルワールドのように、もう一つのカザフスタンが存在したのだ。そして、どうも、そちらのカザフスタンの方が、本物のようなのである。

 本書は、カザフスタンおよび旧ソ連全般の地域研究を縦糸、政治・経済・社会学的な腐敗論を横糸とし、その両方の関心に見事に応えるものとなっている。カザフという国を知るための本であるのはもちろん(他の旧ソ連諸国のヒントも)、カザフそのものに興味がなくても、腐敗、途上国・新興国の社会、移行経済などについて大いに考えさせられる。2,420円と、この種の本としては手頃な価格でもあり、ぜひご一読をお勧めしたい。


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 昨日概要だけ紹介した穆尭芊・徐一睿・岡本信広(編著)『「一帯一路」経済政策論 プラットフォームとしての実像を読み解く』(日本評論社、2019年)。我々ロシア地域の関係者は、やはり新井洋史氏による第6章「東北内陸 ―近くて遠い『借港出海』の進展は?」にとりわけ大きな関心を覚える。

「借港出海」とは、海への出口を持たない内陸国が、近隣国の港を利用して海への出口を確保し貿易を行うことを指す。この第6章で具体的に論じられているのは、中国東北部の吉林省および黒龍江省のケースであり、両省の場合は自国の大連港に出るよりもロシアや北朝鮮の港を借りた方が距離的に近いことから、これまでも様々な輸送ルートが検討・開拓されてきた。

 

 問題は、現在も続く両省による借港出海の模索が、今日の一帯一路政策とどのように関係していくかだろう。一帯一路は、一般的には、中国と欧州を結ぶものとイメージされることが多く、中国東北地方から東に向かう借港出海はそれにはマッチしないのではないかという疑問も湧く。しかし、実際には吉林省および黒龍江省は、以前からの借港出海の試みを、今日では一帯一路の名の下で推進するしたたかさを見せているということである。第6章の締めくくりでは、以下のように論じられており、なるほどと納得させられた。

 歴史的な出自が異なり、一見無関係に見える政策を、黒龍江省や吉林省はいとも簡単に「一帯一路」に結び付け、しかも停滞気味だった状況を打破する契機として活用している。政策主体の工夫次第で、いかなる政策であっても「飲み込む」ことができる「一帯一路」の懐の深さを示す好事例である。


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