本ブログ/HPでも既報のとおり、与党「統一ロシア」は、プーチンが大統領キャンペーン中に発表した一連の選挙綱領論文を政策として実現していくため、「ロードマップ」を策定したと伝えられている。こちらのサイトに、これに関する批判的な論評が掲載されているので、以下のとおり抄訳しておく。
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4月初頭、統一ロシアが、国家発展の「ロードマップ」を提案したことが明らかになった。これは、統一ロシアがプーチンの選挙綱領論文をもとに取りまとめたもので、160項目から成る。同党所属の議員たちは、それらすべてが法制化されると言明している。しかし、それらは漠然とした形で示されていることが多く(「住宅のない軍人の問題を解決する」といった具合)、誰がどのようにそれを実現するのかが不明確である。
統一ロシアと、全ロシア国民戦線は、大統領選後、政権ポストの配分をめぐって、激しい競争を繰り広げている。そのため、両エリートグループとも、プーチンへの忠誠を競い合い、自分たちこそが有能であると誇示しようとしている。全ロシア国民戦線は統一ロシアの攻勢に押され、連敗を重ねている。
プーチン公約の法制化のイニシアティブは、まだ構想にすぎず、きっちりとした法案になっているわけではない。したがって、政治改革と同じく、プーチンのイニシアティブの中身は、大きく変わる可能性がある。
一例を挙げれば、年金改革がある。国民の高齢化を受け、政府としては年金の支払いを縮小する必要があるが、社会の反発を招かないような形でそれをやらなければならない。年金受給開始年齢の段階的引き上げ、仕事を持つ者への年金給付廃止、年金行政の変更など、いくつかの選択肢がある。プーチンが選挙公約で社会保障に重点を置いていたことを考えれば、この問題は最大の焦点の一つである。
もう一つ、焦点となるのが、民族政策である。残念ながら、ロードマップの起草者たちは、新たな省を設けるという、総論的な措置しか打ち出していない。こうした行政的な措置だけで、国の南部や中央部をはじめとしてロシアの諸民族が直面しているイデオロギー的、人口的等々の問題を解決することはできない。教育、社会的上昇、雇用などの問題も避けて通れない。クレムリンはしばしば、ソ連型の民族政策の復活、すなわち民族の混淆や、諸民族の友好といったプロパガンダに傾きがちである。民族問題は、地域閥や腐敗といった問題とも関連しているだけに、厄介である。
さらにもう一つの焦点は、経済・税制である。具体的には民営化、贅沢税の導入などであり、これらは経済危機の第二派が懸念されることを考えれば国にとって安全装置となりうるが、政権側が大企業の社会的責任を問おうとするたびに彼らがゴネることを考えれば、実施可能とは思えない。
これらや、その他の問題に関する具体的な法案の作成には、時間と、有能な専門家の参加を要する。ロシアの経済・社会改革は機が熟しており、熟れすぎてさえいるが、これまでそれを担当してきた人々が今後も担うことになれば、その効果はこれまでと同じである。
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