このブログ/HPでもすでに報告したように、ロシア新政権の下で、極東・東シベリア開発のための公社的な組織が新たに設置されようとしている。それに関し、『コメルサント・ジェーニギ』誌のこちらの記事が、きわめて辛辣な論評を寄せているので、その要旨を以下のとおり整理しておく。
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過去2週間ほど、ロシアの経済政策路線が、加速度的に、喜劇的な様相を深めている。政府内で検討されているシベリア・極東開発国営企業を創設する法案に関しては、現体制およびプーチン個人に忠誠を保ち続けているA.クドリン前副首相・蔵相ですら、「経済発展省が他省庁との調整のために送付した法案を自分の目で見るまでは、信じられなかった」と述べている。
常識で考えれば分かることだ。この法案により、ロシアの領土の60%が連邦法の枠外とされ、行政府の管轄が及ばなくなるのである。新たな国営企業とその各プロジェクトは、前例のない税制優遇、潤沢な財政投入を受ける。それのみならず、地下資源採掘ライセンスが、入札抜きで、「優先的な投資プロジェクト」に交付されることになるのである。土地利用および建設に関する既存の規則および制限は、新国営企業のプロジェクトには、実質的に課せられなくなる。
新国営企業に対する優遇措置を具体的に列挙することは、現時点では意味はない。法案は正式に公表されておらず、各省庁から出てくる情報にも齟齬があるからである。重要なのは、東インド会社、「ダリストロイ」(スターリン時代の極北建設総局)、イワン雷帝時代の直轄地のごとき代物が、21世紀の今日形成されようとしているという事実である。ただ、特に驚くには値しない。政権は、正常なビジネス環境を創出できず、それゆえに「手動統治」に傾き、とりわけ国家コーポレーションの制度を作り上げた。国家コーポレーションは理論上は市場が解決できない諸問題を解決するはずであったが、実際には天下りの官僚OBに巨額の給料を払い、公開的な手続きを迂回して財政資金を配分する都合の良い手段となった。
これらの開発諸制度から派生し、特に地域レベルで盛んになっているのが、産業およびイノベーションのテクノパークである。それが成功しているところでは、その主たる目的が、投資家・生産者が連邦のばかげた行政的障壁を克服できるようにしてあげる点にあるということを、地元行政ははっきりと明言している。しかし、多くの場合テクノパークもまやかしで、流動性のない不動産を購入する手段になってしまっていることが多い。
すでにスコルコヴォのプロジェクトが愚行の象徴となっているが、今や極東・東シベリア開発というより大きなスケールで、それが繰り返されようとしている。しかも、極東そのものにとっても、幸運や繁栄はもたらさない。
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