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 こちらの記事が、ロシアの攻撃による大オデーサ港の輸出停止で、ウクライナの食料輸出が滞っており、ウクライナ農業の資金繰りから次期作付けにまで波及しつつあることを論じている。以下で記事を抄訳しておく。

 ロシアの攻撃によって大オデーサ港(オデーサ、チョルノモルシク、ピウデンヌィの総称)からの農産物輸出が停止してから約1カ月半が経過した。政府はドナウ川と鉄道への貨物振替を進めたが、代替できたのは一部にとどまる。9月最初の20日間の輸出は潜在的な輸送量の44%まで回復したものの、8月は30%だった。

 輸送ルートが長く高価になった一方、国内の農産物買付価格は下落している。収穫が続いて倉庫が埋まるなか、農家には秋播き用の種子、肥料、燃料を購入する資金が必要となっている。秋の作付けだけで約2,000億フリヴニャ、半年後の春にはさらに3,000億フリヴニャ以上が必要になる。

 本来、その相当部分を現在の収穫物の販売によって調達するはずだった。資金や貯蔵能力に余裕がなければ価格回復まで販売を待つことも難しい。現在の輸出制約が続けば、冬作物の作付面積は100万ha以上減少し、とりわけ小麦が大きな影響を受ける可能性がある。

 大オデーサ3港からの穀物積出量は、7月の221万tから8月には19万4,000tへ激減した。同じ期間にドナウ川港湾の積出量は19万8,000tから67万5,000tへ増加したが、大オデーサで失われた積出量の4分の1弱しか補えなかった。8月の農産物輸出通関量全体も7月の367万tから215万tへ減少し、特に穀物が98万8,000tまで落ち込んだ。逆に油糧種子は8万8,500tから32万9,500tへ増えた。

 代替ルートの中心はドナウ川と鉄道である。現在の輸送能力は必要量の44%程度で、月間約500万tを輸出する必要があるのに対し、約200万tしか運べない。条件が良くても代替ルートで処理できるのは約250万t、必要量の半分程度である。ルーマニア方面への輸送は急増しており、主要国境通過地点の農産物輸送量は7月の12.5万tから8月には71.7万tとなった。イズマイル経由は9.9万tから43.1万t、レニ経由は0.3万tから13.3万tへ増えた。ポーランド、ハンガリー方面も36.4万tから59.2万tへ増加した。

 ルーマニアのコンスタンツァ港へはモルドバ経由でもウクライナ産穀物が運ばれている。8月17日から9月5日までに、一つの鉄道路線だけで小麦、大麦、菜種約3.5万t、約500貨車が輸送された。しかし代替ルートで輸出できているのは、穀物では潜在輸出量の35%にすぎない。油糧種子と植物油では66%に達する。トン当たり価格の高い商品ほど追加輸送費を吸収しやすいためである。菜種なら近隣のEU市場へ輸出できるが、北アフリカ向け穀物の場合には、ドナウ川あるいはポーランド経由でバルト海まで運んだ後、さらに海上輸送が必要となる。9月最初の21日間の輸出計画達成率は、油糧種子75%、植物油55%、ミール41%、穀物38%だった。

 輸出封鎖によって世界市場価格とウクライナ国内価格の連動が切れた。国外では穀物価格が上昇する一方、ウクライナ国内の買付価格は下落した。9月初めにはその価格差が、小麦で1t136ドル、大麦100ドル、トウモロコシ67ドルに達した。小麦の国内指標価格は7月初めから9月10日までに35%下落した。ポーランド・グダニスクまでの輸送費は1t90~110ドルで、農場が西部国境から離れていればさらに5~10ドル増える。イズマイル~コンスタンツァ経由では、積み替えとルーマニアからの海上運賃を合わせて125~135ドルに達する。

 エジプトの買い手が小麦1tに300ドルを支払う場合、大オデーサ港が機能していた時にはオデーサからの海上運賃は約20ドルだった。しかし現在ではドナウ川からエジプトまでの海上輸送部分だけで100ドル近くになる。そこから港までの国内輸送、積み替え、保険、トレーダーの経費などを差し引くと、農家に提示できる価格は1t約130ドルまで低下する。輸送費そのものはトレーダーが支払うが、そのコストは農家への買付価格に転嫁される。小麦1tの生産費が7,500~9,000フリヴニャなのに対し、販売価格は最高でも6,000フリヴニャ程度で、損失が1t4,000フリヴニャに達する場合もある。それでもヒマワリ種子など新たな収穫物を入れる倉庫を空けるため、赤字を承知で小麦を売らざるを得ない農家がある。特に脆弱なのは、ドナウ川や西部国境から遠い小規模農家と一部の中規模農家である。

 ドナウ川でも水先案内人不足、低水位、船舶の待機列が問題となっており、船舶の停泊コストは1日1万ドルに達する場合がある。ルーマニアのターミナルは自国や第三国の貨物も扱っており、船舶の待機が貨車やエレベーターの滞留を引き起こし、ウクライナ国内の貯蔵施設が新しい収穫物を受け入れられないという連鎖も生じている。

 政府が設定する農産物の最低輸出価格も問題を複雑化させている。市場価格に応じて毎月改定されるが、9月には一部商品で実際に外国の買い手が提示する価格を上回った。トウモロコシの最低輸出価格は1t195ドルだったのに対し、ドナウ川港での提示価格は170ドルだった。ヒマワリ油も最低価格1,350ドルに対して市場価格は1,125ドル、ヒマワリ種子も最低価格671ドルに対してブルガリア、ルーマニアの買い手は最大570ドルしか提示しなかった。政府は10~12月の最低価格算定に引き下げ係数を導入する方向で調整している。

 大豆と菜種にはさらに10%の輸出関税がかかる。生産者自身が輸出する場合には一定の条件で免除されるが、トレーダーに販売すれば関税がトレーダーのコストとなり、買付価格に反映される。農業団体は、関税を撤廃すれば、トレーダーが節約分を農家に還元する限り、買付価格を最大10%引き上げられるとみている。最高会議には油糧種子の輸出関税を一時停止する2つの法案が提出されている。

 一方、油脂加工業界は撤廃に強く反対している。輸送能力が不足している以上、海外に輸出すべきなのは油脂やミールであり、原料となる種子は国内加工工場に残すべきだと主張する。2026年の油糧種子収穫量は2,000万t、そのうち1,570万tが国内で加工される見通しである。関税を撤廃すれば農家には新たな販売先が生まれるが、国内加工業者は輸出業者との原料獲得競争にさらされ、一部工場が操業できなくなる可能性がある。

 輸出制約、高額な物流費、国内価格の低下、最低輸出価格制度が重なり、秋播きを前に農家の手元資金が不足している。秋の農作業には約2,000億フリヴニャ、春にはさらに3,000億フリヴニャ以上が必要となる。政府は融資によって資金不足を補おうとしている。「5-7-9%」制度では年利10%で融資を受けられ、1企業当たりの上限も9,000万フリヴニャに引き上げられた。穀物を担保として評価する際の掛け目も0.4から0.75へ引き上げられ、融資期間も12カ月から18カ月へ延長された。しかし港湾問題の発生後に農業部門が調達した融資は210億フリヴニャ、そのうち「5-7-9%」によるものは63億フリヴニャにすぎず、秋の農作業だけで必要な金額にも遠く及ばない。銀行側も価格下落と換金の難しさから、穀物を担保に取ることに消極的である。

 融資を受ければ当面の種子や肥料などを購入できるが、春には穀物販売収入から返済しなければならない。輸出が正常化せず国内価格も低迷すれば、問題を先送りするだけになる。肥料1tは約4万フリヴニャであり、それを購入するためには、現在の5,000~6,000フリヴニャという価格では小麦を7~8t売らなければならない。このため肥料や種子への投入を削減する農家や、一部の農地を作付けしない農家が出る可能性がある。

 冬作物の作付面積は100万ha以上減少する可能性があり、最大の影響を受けるのは小麦である。2026年の平均単収4.95t/haで計算すれば、100万haは約500万tの小麦に相当する。2025年の小麦収穫量が2,300万tだったことから、年間収穫量の約5分の1に相当する規模となる。さらに春には1,600万haの春播き作物に3,000億フリヴニャ以上が必要になる。海港の操業が回復したとしても、穀物輸出能力は月450万t程度で、必要な約600万tを下回る。現在の収穫物を正常に輸出して販売収入に変えられる状態が戻らない限り、融資は農家に「時間を買う」だけにとどまる。


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