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 こちらの記事が、ロシアのアルミ産業部門の巨人であるルサール社をめぐる最近の動きを伝えている。2026年に表面化した連邦連邦反独占局との価格形成をめぐる対立、輸出市場のアジアシフト、国内販売価格の問題、原料部門再編の懸案などが取り上げられている。記事の要旨は以下のとおり。

 ルサールは2026年上半期に4億1,900万ドルの純利益を計上し、前年同期の8,700万ドルの赤字から黒字転換した。売上高も10.7%増の83.4億ドルとなった。背景にはホルムズ海峡封鎖によるアルミ価格上昇があり、平均価格は前年同期比23.6%高の1t当たり3,227ドルとなった。一方、販売量は前年比10%減少し、生産量は4.5%増加した。なお2025年通年では4億5,500万ドルの純損失だった。

 ルサール発足時の2007年、ロシア連邦反独占局(FAS)は国内価格をロンドン金属取引所(LME)の価格に、欧州市場の現物価格を反映する「ロッテルダム・プレミアム」を加味して決める方式を認めていた。ところが2022年以降、ロシア産アルミの輸出先は欧州からアジア、とりわけ中国へ大きくシフトした。ルサールの売上高に占めるアジアの比率は2022年の23.3%から2025年には67.4%へ上昇し、EUは23%から7.3%へ低下した。輸出そのものが売上高に占める比率は両年とも74%で変わっておらず、「輸出依存度は変わらないが、仕向地が欧州からアジアへ劇的に変わった」という構図である。

 FASは、主要輸出市場がすでにアジアになった以上、欧州市場を基準とするプレミアムを国内価格に組み込むのは不合理だと主張。国内需要家への販売価格が外国顧客向けを上回らないよう、契約条件の変更を要求した。しかしルサールは応じず、FASは2026年7月に反独占法違反事件として正式に調査を開始した。

 実際、FASによれば国内価格は輸出価格を、2025年11月に4.9%、12月に6.4%、2026年1月に4.2%、2月には10%上回っていた。戦略研究センターの調査でも、国内需要家は外国顧客より平均3.4~12.7%高い価格を支払っているとの結果が出た。

 FASが検討しているのは、アジアと欧州への実際の輸出比率を反映した加重平均輸出パリティ価格である。たとえば輸出の58%がアジア向けなら、国内価格の58%についてもアジア市場価格を基準にし、さらに物流費・関税を控除するという考え方である。

 ルサールはFASの警告に従わず、逆にモスクワ仲裁裁判所に提訴し、現在の価格計算方式は合法だと主張している。裁判でルサールが勝訴すればFASはすでに開始した事件を取り下げざるを得なくなる可能性がある。他方、FAS側が勝訴しても、それだけで反独占法違反そのものが確定するわけではない。警告の適法性をめぐる裁判と、実際に競争制限が存在したかを審査するFASの手続きは別だからである。競争制限が認定された場合、制裁金は原則として問題となった市場での売上高の1~15%などとされる。ルサールの2025年のロシア国内向け売上高は38.6億ドルで、試算では最悪の場合、制裁金は7,700万ドル程度に達する可能性がある。

 FASと産業商務省は8月31日、ルサールに対して生産するアルミの最低10%を取引所で販売することを義務付けた。国内市場向けが生産量のおよそ20%なので、その約半分を取引所経由にする計算となる。狙いは国内価格形成の透明性向上である。興味深いことに、9月8日のサンクトペテルブルグ取引所での取引価格は1t当たり37万500ルーブル(4,298.6ドル)で、同日のLME価格3,325ドルを25.5%上回った。したがって、取引所取引を導入しただけで国内価格が国際価格並みに下がるわけではないことも示されている。

 もう一つの大きな問題が、ロシア国内のボーキサイト・アルミナ生産である。ルサールはミシュスチン首相に書簡を送り、国内原料基盤を近代化する過程で、一部のボーキサイト・アルミナ設備を休止する意向を示した。同社によれば、これらの事業は年間8億ドルの損失を生んでおり、原料部門の再建には18億ドルの投資が必要となる。その間は輸入ボーキサイトを使用する方針で、輸送・港湾料金の優遇措置として年間約7,000万ドルの支援を政府に求めている。また、工場休止によって影響を受ける地域・自治体への支援も求めている。対象とされるのは、セヴェロウラリスク・ボーキサイト鉱山、ボゴスロフスク・アルミ工場、ウラル・アルミ工場、ピカリョヴォ・アルミナ工場の4事業所。セヴェロウラリスクはルサールのボーキサイト消費量の9%、3つのアルミナ工場は同社のアルミナ生産の30.7%を担っている。

 これに対し、スヴェルドロフスク州知事は工場停止を認めない姿勢を示し、レニングラード州側も驚きを表明した。専門家からは、4事業所は単なる不採算工場ではなく、採掘、鉄道輸送、ネフェリン精鉱処理、建材生産などを結ぶ一体的な産業システムであり、閉鎖すればロシア国内の原料基盤そのものが大きく損なわれるとの指摘が出ている。

 一方、ルサールの提案そのものが政府支援を引き出すための交渉戦術ではないかという見方もある。実際に国内原料設備を閉鎖すれば輸入アルミナへの依存が高まり、国際価格上昇時にはルサール自身が不利になるため、実際の全面的な休止は考えにくいという指摘である。


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