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 ロシアにとり、近年で最もスケールの大きな石油開発プロジェクトが、国営ロスネフチが進める「ヴォストークオイル」であった。もともとは欧州・アジア双方を想定した巨大輸出プロジェクトだったが、ウクライナ侵攻後の市場再編によって、事実上、中国を中心とするアジア向けプロジェクトとしての性格が一段と強まっている。今般、そのヴォストークオイルが稼働を開始したというニュースが、こちらの記事で伝えられているので、以下抄訳しておく。

 9月5日、ロスネフチはタイムィル半島で進める「ヴォストークオイル」プロジェクトの幹線石油パイプライン「ヴァンーコル~パイヤハ~ブフタ・セーヴェル」を稼働させた。最初の原油をタンカー「ワレンチン・ピクリ」に積み込む許可は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がビデオ回線を通じて出した。

 現地のブフタ・セーヴェル港にいたロスネフチのイーゴリ・セーチン社長が大統領に報告したところによると、全長790kmの新たな石油パイプラインは、ヴァンーコル・クラスターの油田群およびパイヤハ油田と、同港の海上ターミナルを結ぶものである。このうち414kmは2本並列のパイプラインとして敷設されている。また、エニセイ川の河床下を通る6kmの区間は深さ約50mに敷設され、パイプは河床面から最大8mの深さに埋設されている。幹線パイプラインの設計輸送能力は年間1億tである。

 セーチン社長はまた、プロジェクトの操業開始により、2027年後半には早くも3,000万tの原油を需要家向けに出荷できるようになり、2030年には5,000万tに増加すると述べた。さらに、市況が良好であれば、年間供給量を1億tまで引き上げることが可能だとしている。これに対しプーチン大統領は、「『ヴォストークオイル』プロジェクトの実現、そして誇張抜きに世界的規模と言える新たな石油・ガス産地の開発に向け、非常に重要な一歩が踏み出された」と強調した。

 ロスネフチは、ロシア大統領の指示に基づき「ヴォストークオイル」プロジェクトを進めている。同プロジェクトは、硫黄分0.01~0.1%の低硫黄原油70億tを資源基盤とする新たな石油・ガス産地の開発事業である。セーチン社長によれば、プロジェクトのライフサイクルは100年間を想定しており、追加探鉱によって埋蔵量が増加すれば、その期間は数倍に延びる可能性がある。各油田では、計画されている1万2,000坑のうち、すでに2,000坑以上の坑井が掘削されている。掘削にはロシア製の北極圏向け掘削リグ「タイムィル」が使用されており、最大6,000mの坑井を掘削することができる。

 セーチン社長によると、ブフタ・セヴェル港の石油ターミナルは世界最北の石油ターミナルである。施設には、石油積み出し用埠頭、2つの貨物埠頭、港湾作業船用埠頭のほか、それぞれ3万tの容量を持つ貯蔵タンク14基が設置されている。全面的な整備が完了した段階では、タンクは102基まで増設される予定である。また、湾は防波堤によって保護されており、その建設のため、深さ80~100mまで打ち込む杭が2,000本以上設置された。埠頭付近の水深は18mあり、載貨重量12万tまでのタンカーを受け入れることができる。

 セーチン社長によれば、同プロジェクトへの累計投資額は4兆ルーブルに達しており、使用される設備はすべてロシア国内で生産されている。「このプロジェクトに投資される1ルーブルごとに、国内で生産される商品・サービスへの需要が9倍の乗数効果を伴って増加する」と同社長は述べた。

 セーチン社長はさらに、プロジェクトによる相乗効果は関連産業にも及んでいると説明した。プロジェクトへの電力供給のため、最大3.5GWの独自の電力供給システムが整備されており、15の地域電力供給網、16カ所の発電所、総延長9,000kmの送電線が含まれる。また、設備容量50MWの風力発電所も建設され、将来的には200MWまで拡大する計画である。

 さらに、プロジェクト拠点への輸送を確保するため、全長3,500mの滑走路を備えた新たなセーヴェルヌィ空港が建設されている。現在、プロジェクトの各施設では5万人以上の人員と、1万6,000台以上の機械・車両が稼働している。


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