
こちらの記事が、ロシアにおける外資系企業の動向について伝えているので、以下記事を要約しておく。上図のとおり、外資企業の件数は大きく減っているわけだが、これは必ずしもロシア市場からの撤退だけによるものではない。ここには脱オフショア化・所有構造の組み替えがかなり含まれており、特に2015~2021年の減少はウクライナ侵攻後の外資撤退とは別の現象である。
今回示す統計は、SPARK-Interfaxが法人登記、税務当局、統計局の情報を集計したもので、外国法人の持分が合計50%を超えるロシア法人を対象としている。外国人個人が所有する企業については、所有者の国籍判定に多数の誤りが確認されたため対象外とされた。したがって、ここでいう「外国企業」は外国資本のロシアでの活動すべてを網羅するものではない。
2025年のロシアにおける外国企業の売上高は合計10.32兆ルーブルで、そのうち欧州企業が5.3兆ルーブル、51%を占め、制裁下でも依然として最大の勢力となっている。外国資本が50%を超える企業数でも欧州系は43%を占め、特にドイツ、フランス、オランダ企業が中核を形成している。これに対してアジア企業は売上高2.3兆ルーブル(22%)、企業数13%で、中国だけで1.2兆ルーブルを占めた。中東系は11%で、トルコとUAEが中心である。一方、米国企業は196社、売上高875億ルーブル(0.8%)にまで縮小している。
外国資本の存在は長期的には大幅に縮小している。ロシアに外国法人の共同所有者が存在する企業は、2015年の11万8,456社から2026年上半期には2万1,234社へと、10年間で5分の1以下になった。ただし近年は2万1,000~2万3,000社程度で下げ止まる傾向がみられる。これは単純な外国資本の撤退だけではなく、かつて広く利用されていたオフショア法人を介した持株・資金移動・節税の仕組みが消滅していることによる「構造的再編」という側面が大きい。
外国企業の活動は卸売業、不動産、IT、専門サービスに集中している。なかでも卸売業は外国系企業の30.2%を占め、売上高では4.03兆ルーブル、全体の約40%に達する。外国企業グループがロシア法人を通じて調達、流通、商品フローの管理を行う構造を反映したものである。製造業では食品(9,090億ルーブル)、建材(2,017億ルーブル)、化学(1,964億ルーブル)、金属加工(1,574億ルーブル)の存在感が大きい。また外国企業は地域的に集中しており、モスクワ市・モスクワ州・サンクトペテルブルグに73%以上の企業が登録され、売上高では77%以上を占める。
今後については、西側企業の減少は続くものの、その速度は緩やかになり、代わって中国、トルコ、インド、UAEなどアジア・中東企業の比重が上昇すると予想されている。ただし外国企業の進出形態そのものも変化しており、従来型の直接所有から、現地生産、共同プロジェクト、流通・供給を中心とする形態への移行が進んでいる。
もっとも、企業数や新規案件では中国をはじめとするアジア勢が欧州勢を上回っていくとしても、売上高で欧州企業を追い越すには時間がかかるとみられている。残存する欧州企業は大規模かつ資本集約的な産業に多いため、一社当たりの売上規模が大きい。中国企業は相対的に貿易・物流などの低マージン部門に多く、本格的な現地生産への移行が欧州との差を縮める条件となる。自動車、電子機器、設備などで西側企業から中国などへの代替が進めば、今後3~5年でアジア企業の売上高が欧州企業を上回る可能性がある。
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