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 繰り返しのご案内になりますが、9月9日(水)に第59回スラブ・ユーラシア研究センター公開講演会として「鉄は国家なり:戦争が試すロシア・ウクライナ鉄鋼業の底力」をお届けするので、よろしかったらぜひ登録を。オンラインでご視聴いただけます。

 それで、最近、当ブログで関連情報が増えているように、直近で黒海・アゾフ海の輸送麻痺がロシアの産業を苦しめており、鉄鋼業もその代表格である。そのあたりの影響を可視化するために、「モルツェントル」というロシアの調査会社の資料に基づき、上掲のようなグラフを作成してみた。2025年にロシアの代表的な輸出品目がどの海域の港から積み出されたかという比率を示したものである。

 なお、言うまでもなく、すべての輸出品が海運で運ばれるわけではなく、陸送や空輸もあれば、ロシアの場合はパイプラインもある。2025年に運輸省幹部が述べたところによると、同年の時点で、ロシアの輸出の82%が海運によって担われていた由である(これはおそらく重量ベースの数字であろう)。というわけで、すべてではないが、港の積出データを見れば、ロシアの数量面での大まかな輸出動向はだいたい掴めることになる。黒海・アゾフ海が焦点になっているので、上図では同海への依存度が高い順に並べた。以下は寸評。

  • 穀物が圧倒的に黒海に偏重しているのは、周知の事実。主力産地がロシア南部だし、輸出先もトルコ・中近東・北アフリカなので、黒海・アゾフ海から運び出すのが合理的。「液状食品」は、大部分が植物油と見られるが、穀物と似た構造を持つ。
  • 「鉱石」は、重量ベースで言えば、大部分が鉄鉱石であろう。正直言うと、鉄鉱石、鉄鋼がここまで黒海に依存しているというのは、個人的に初めて認識した。
  • 原油・石油製品は、黒海よりもバルト海の方が比率が大きい。ただ、ロシアの輸出に占める重要性が圧倒的に大きいだけに、黒海麻痺の影響はその分大きくなる。
  • 液体化学品は、今はアンモニアが落ち込んでいるはずなので、メタノールが主流か。
  • 非鉄金属は、重量的に言えばアルミニウムが圧倒的。工場はだいたいシベリアにあり、極東港湾が最大の窓口になる。
  • 個人的には北極域研究がテーマの一つなので、北極海の比率が高い品目にはときめく。鉱石はムルマンスク州、非鉄金属はクラスノヤルスク地方のノリリスクニッケル社やムルマンスク州、木材類はアルハンゲリスク州あたりが出どころで、言うまでもなく液化ガス(その大部分はいわゆるLNG)はヤマルLNGの賜物であろう。
  • 石炭は、主要産地が西シベリアのケメロヴォ州で、それをシベ鉄でせっせと運び、極東港湾から輸出というのが、ロシアの生業。
  • 肥料については、前回の講演「ロシア経済の“勝ち組”肥料産業」で語り尽くしたので、そちらをご参照。

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