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 しばらく前に、「戦争と制裁下で再編されるロシアの企業城下町」『ロシアNIS調査月報』(2026年5月号)というレポートを書いたように、このテーマは個人的な関心事の一つである。そうした中、こちらの記事が、ロシアのモノゴーラド(企業城下町)の最近のトレンドについて伝えている。記事は、ロシアの企業城下町が、かつてのような「衰退をどう食い止めるか」という段階から、国・地域行政府・基幹企業が共同して、都市そのものを長期的に再設計する段階へ移りつつある、というかなり前向きな内容となっている(タイトルも「第2の息吹:当局と投資家の努力でモノゴーラドはいかに変わるか」というポジティブなもの)。成功例だけを選んだかなり「明るい」記事であり、人口流出、炭鉱産業の苦境、財政依存など負の側面はほぼ扱われていないので注意は要するが、ともあれ記事の要点を以下のとおりまとめておく。

 現在の企業城下町政策では、単に基幹企業を維持して雇用を守るだけでなく、道路・住宅・上下水道などのインフラ、学校・医療、公共空間、若者の教育・職業訓練まで含めた総合的な都市再生が重視されている。連邦政府は、重点的な「拠点居住地(опорные населенные пункты)」や閉鎖都市(ЗАТО)についてマスタープランを策定し、国家プロジェクト「生活のためのインフラ」を通じて公共インフラ整備を支援している。また、建設省の都市環境整備コンテストを通じて、地方都市が連邦予算を獲得する仕組みもある。これに地域行政府と大企業が加わる、「連邦政府+地域行政府+企業」の三者協力が基本モデルになっている。以下は具体例である。

 クズバスの炭鉱都市 レニンスククズネツキー、ポルィサエヴォ、キセリョフスク、プロコピエフスク、ベロヴォなどでは、SUEKとメリニチェンコ財団が中心となっている。都市開発マスタープランや公園・広場整備の計画づくりを企業側が支援し、それを利用して約7.5億ルーブルの連邦資金を獲得。単なる公園整備にとどまらず、炭鉱都市から若者が流出するのを防ぐことが明確な課題になっている。「Профклассы.ФМ」というプログラムでは、高校生に数学・物理・情報・化学を重点的に学ばせながら職業資格も取得させ、SUEKの事業所で有給実習まで行っている。

 チェレポヴェツ ここでは当然ながらセヴェルスターリが中心。道路、公共空間、社会施設などの都市インフラ整備に企業が体系的に関与。2026年だけでも州予算から都市整備に105億ルーブル、さらに市制250周年に向け15億ルーブルが追加され、橋梁、河岸、劇場、集合住宅のエレベーターなど、合計439事業が進められている。

 ニジネカムスク 石油化学都市ニジネカムスクではシブール社が中心。都市環境指数は2024年に大きく改善しており、シブールは960人規模の学校建設に80億ルーブル超、ネフチェヒミク公園改修などにも資金を投入。学校では工学・自然科学教育を強化する予定で、ここでも都市政策と将来の産業人材育成が一体化。

 クラスノヤルスク地方の炭鉱都市 ボロジノ、ナザロヴォ、シャルィポヴォでもSUEK・メリニチェンコ財団が活動。ボロジノは「拠点居住地」に指定されており、2030年までに生活の質を30%改善するという国家目標の対象。地方知事も、こうした都市再生は企業抜きには不可能であり、「行政・企業・住民」の三者対話が必要だと発言。

 サロフ 核産業の閉鎖都市サロフではロスアトムが中心。2027~2030年の社会インフラ開発計画では、学校2校、博物館、スポーツ施設、プール、劇場改修、大規模住宅開発などを予定。2035年までに市内就業者を3,000人増加させることも目標。

 ノリリスク ノリリスクは最も大規模な例で、2021年から2035年までの都市再生計画に1,200億ルーブルが投じられ、そのうち813億ルーブルをノルニッケルが負担。住宅更新、公共空間、スポーツ・社会施設、1日1,000人を診療できる新しい診療所などを整備。

 極東のワニノ、チェグドムィン ここでもメリニチェンコ財団がマスタープラン策定を支援し、連邦政府の都市環境整備コンテストなどを利用して、公園、広場、文化会館周辺などの整備を推進。ハバロフスク地方では2022年以降、38件の応募のうち18件が採択され、計18億ルーブルの連邦補助金を獲得。


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