
こちらに見るとおり、このほどプーチン・ロシア大統領がP.ザルビンというジャーナリストによるインタビューに応じ、8月23日に公開された。かなりの部分が「ウクライナによるロシア後方への攻撃強化 → ロシアによる報復の対象をウクライナの軍需産業だけでなく、物流・輸出産業など経済基盤へ拡大」という論理の説明に割かれている。また後半では、ウクライナ側が仲介者を通じて何らかの打開策を探っていると明言しつつ、「エキゾチックな提案」の中身は伏せている。以下、プーチンの発言要旨をまとめておく。
「統一ロシア」と国内政治:議会に議席を持つすべての政党は、国家的・愛国的立場をとり、国民と祖国を支え、国家が直面する最重要課題の解決に協力している。「統一ロシア」の党綱領は、今後数年間の党、さらには国家の課題を方向付ける重要かつ本格的な文書である。もっとも、党員を含めて党綱領を一字一句すべて読んでいる人は多くないだろう。「統一ロシア」の重要な特徴は、ポピュリズムに走らないことである。選挙では、どの政治勢力にも、有権者の関心や支持を得るため魅力的な目標を掲げ、その実現を約束したくなる誘惑がある。しかし、そうした公約は財源や実現可能性、結果として生じる影響などについて十分な専門的分析を行わずに提示されることもある。「統一ロシア」はそうした誘惑を避け、専門的かつ責任をもって行動している。
ウクライナへの大規模攻撃を強化した理由:キーウをはじめとするウクライナの都市や港湾などへの攻撃は効果を上げており、前線で戦うロシア兵の戦闘任務遂行を助けている。こうした攻撃によって、ウクライナ側が前線に装備や弾薬を送り、人員をローテーションする能力が低下する。また、軍需産業の企業が兵器を生産・改良し、戦闘を直接支援する能力も制約される。その結果は前線での戦闘にも明確に表れている。
ロシアの攻撃強化はウクライナ側への「報復」:現在起きていることは、キーウ政権とその西側の支援者が仕掛けた新たな冒険の結果である。彼らは今回もロシアに「戦略的敗北」を与えようとし、40日間でロシアの民間施設や物流インフラに大規模なミサイル・無人機攻撃を加えることを企てた。ロシア経済のいくつかの産業部門を破壊し、国民の団結とロシア社会の結束を損ない、最終的にはロシアを崩壊させることがその目的だった。この40日間は8月5日に終了した。攻撃によってロシア側には経済的損害が生じ、民間人にも犠牲者が出た。一人の人間を失うことも、その家族や近親者だけでなく国全体にとって悲劇である。第二次世界大戦期のナチスと同様、現在の相手もこうした犯罪行為を続けている。
ウクライナ側の「40日間」の攻撃の結果:しかし、最終的な結果は相手が期待したものとは正反対だった。ロシアとの対決に何ら転換は生じず、キーウ政権とその「主人」は優位を獲得できなかったし、今後も獲得できない。この新たなエスカレーションは、戦場の実情やウクライナ軍、社会、国家の状態についての客観的分析ではなく、PRや政治的野心によって進められたものである。
ウクライナの軍需産業・経済インフラへの攻撃:このエスカレーションへの回答として、ロシアはウクライナの軍需産業への攻撃を強化しており、キーウもその対象となっている。また、相手がロシアの民間産業や物流施設を攻撃し、ロシア経済に損害を与えることを公然と目標に掲げた以上、ロシアもそれに応じる。キーウ政権自身がこの「箱」を開けたのであり、今度はウクライナ経済の最も敏感な部門への攻撃を受けることになる。もともとウクライナ経済は非常に苦しい状態にあり、とりわけ主要な輸出収入をもたらす生産・輸出部門への打撃は大きなものになる。ロシアの物流を妨害しようとするならば、相手側の物流に対する報復も直ちに行われる。しかもロシア軍による攻撃は、相手側の攻撃よりもはるかに大きな打撃と破壊をもたらす。一つ一つの措置について語るつもりはないが、攻撃には必ず回答する。
前線の戦況:ウクライナによるロシア後方への攻撃は、前線の状況には何の影響も与えていない。それどころか、ロシア軍はすべての方面で攻勢を継続しているだけでなく、前進のテンポを高めている。ロシア軍は「特別軍事作戦」の目標を完全に達成するための任務を着実に遂行している。
ロシア国内の防空・対ドローン態勢:同時に、ロシアは防空システムをさらに改善し、その能力を増強しなければならない。軍・治安機関と民間官庁との連携を改善する必要もある。この分野では国営企業だけでなく、民間企業の能力も活用することが特に重要である。
選挙への妨害と情報・心理戦:下院選挙をはじめとする各種選挙を控え、相手はロシア国民を威嚇し、選挙を妨害しようとしている。しかし、それを許すことはない。こうした行動はロシア社会に対する情報・心理的な働きかけでもあるが、この試みも失敗する運命にある。ロシア国家とその正統性は今後も強化される。
ロシアの報復とウクライナ側の苦境:ロシアによる今回の報復はキーウ政権にとって非常に大きな打撃となっており、いくつかの重要分野では状況が危機的な水準にまで達している。だからこそキーウ当局は現在、ロシアもその意見を尊重する仲介者を通じ、自らが作り出したこの困難な状況から抜け出す道を探っている。キーウ政権は状況がさらに戦略的に悪化することを食い止めようとしており、そうした動きはすでに見え始めている。
「エキゾチックな」提案と交渉の可能性:仲介者を通じて提示されているものの中には、「エキゾチックな性格」を持ち、ロシアには受け入れられない提案もある。ロシアは常に交渉する用意があるが、それは現地で現実に形成されている状況を基礎としなければならない。「エキゾチックな提案」の具体的内容については、現在は何らかの合意の可能性を探る段階にあるため、詳細を明らかにするのは適切ではない。似たような提案は以前にも出されていたが、現在の状況の中では別の形で提示されている。今後何らかの合意の基礎となり得るかどうかについて、現段階で先走って語るべきではない。
ウクライナ港湾への攻撃と世界の食料供給:ロシアによるウクライナ港湾への攻撃について、国連などでは穀物輸出が阻害され、世界が飢餓の危機に直面するといった主張がなされている。しかし、そもそもキーウ政権がロシアの民間企業への攻撃を始め、ロシア経済を破壊するという目標を公然と掲げた。自ら「瓶から魔神を放った」以上、それに対する回答を受けることになる。農産物などの輸出はウクライナの主要な輸出収入源の一つでもある。
ロシアの穀物輸出余力:ウクライナの穀物輸出が減少しても、世界的な食料不足が生じることはない。ロシアには大きな輸出余力があり、直近の報告では、少なくとも6,000万t程度の穀物を輸出できる。これは非常に大きな余力である。ロシア自身にも収穫などをめぐる問題はあるが、それらは解決していく。したがって、世界市場で穀物が不足することにはならない。
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