
ウクライナのドローン攻撃でロシアの製油所が被害を受け、ロシアの燃料不足が焦点となった。ただ、実は製油所というものは、たとえ攻撃を受けなくても、計画に沿って定期的な修繕が実施されるものであり、その間は生産を停止する。こちらの記事が、ベラルーシのナフタン製油所の定期修繕が及ぼす影響を中心に、ロシア燃料市場の見通しについて伝えているので、以下抄訳しておく。
ロシアにおける秋の燃料需要のピークは、国内の大規模製油所や、ロシアに積極的に燃料を供給しているベラルーシの2製油所のうち1つが計画修理に入る時期と重なる可能性がある。ベラルーシからの出荷減少はインドからの輸入によって補うことができるものの、それはおそらく大手石油会社のガソリンスタンド向けに振り向けられることになる。一方、専門家によれば、初夏に見られた消費者の買い急ぎは完全に収まっている。
燃料不足の新たな波は、大規模なロシア企業およびベラルーシのナフタン製油所での計画修理により、9月に生じる可能性があると、専門家は指摘する。ナフタン製油所はベラルーシにある2つの製油所のうちの1つであり、その処理能力はモズィリ製油所と同じく年間1,200万tである。
ベラルーシは、ロシアの製油所の生産減少分を積極的に補っている。7月に同国はロシア向け燃料出荷で過去最高を記録し、ガソリン21.2万t、ディーゼル燃料16.2万tを供給した。
しかし、8月初めにはベラルーシ産燃料の出荷量が減少し始めた。7月20日から8月12日までにロシアで販売されたベラルーシ産ガソリンの鉄道輸送分は2万1,000tで、6月22日から7月17日までの16万5,000tを下回った。ディーゼル燃料でも同様の動きが見られ、同期間の鉄道輸送分の販売量は、それぞれ11万5,900tから8,500tへと減少した。市場参加者は、8月にロシア国内のガソリン生産状況が改善することを期待し、ベラルーシ産燃料の購入を減らしたという。
ベラルーシのモズィリとナフタンは、合わせて年間約350万tを生産することができ、そのうち年間200万t強が輸出に向けられている。したがって、各製油所の月平均の輸出余力は8万t強となる。一方、ロシア国内の自動車用ガソリン需要は年間約4,000万t(月間330万t)である。
ナフタンの定期修繕がまず影響を及ぼすのは、同製油所に依存してきたヴォルガ地域の消費者になるという。これによりトレーダーや独立系ガソリンスタンドが調達できる燃料が減少する。同製油所はロシア国内に自社のガソリンスタンド網を持たず、そのガソリンのかなりの部分がトレーダーを通じて販売されてきたからである。
ナフタンに加え、9月にはTAIFなどロシアの大規模製油所も定期修繕に入る。さらなるリスクとなっているのが製油所への攻撃である。これは依然として予測不能な要因であり、9~10月にただでさえ供給が限られる状況に重なる可能性がある。
8月のベラルーシからの燃料出荷量の減少は、インドからの海上輸送によって部分的に補われる可能性がある。しかし、こうした燃料は取引所市場を経由せず、垂直統合型石油会社のガソリンスタンドに供給される可能性が高い。インドのナヤラ・エナジー製のガソリンは、最初の6万tが8月初めにムルマンスクに到着した。ロシアの燃料輸入量は月間合計40万tに達する可能性がある。
その一方で、ロシアの燃料小売価格は上昇を続けている。燃料エネルギー産業中央管制局(CDU TEK)のデータによると、年初から7月12日までに、ロシア全国のガソリンスタンドにおけるAI-92およびAI-95ガソリンの小売価格は7.4%上昇し、1リットル当たりそれぞれ67.03ルーブル、72.14ルーブルとなった。ディーゼル燃料は同じ期間に12.1%値上がりし、1リットル当たり86.85ルーブルとなった。
その際に、大手垂直統合型石油会社と独立系ガソリンスタンドとの間では、価格上昇率に数倍もの開きが生じた。垂直統合型石油会社では年初から7月半ばまでに、AI-92とAI-95の小売価格がそれぞれ4.98%、4.82%上昇した。独立系事業者では上昇率がその8~10倍に達し、AI-92は39.56%、AI-95は44.63%上昇した。
9月と10月は伝統的に石油製品の需要がピークを迎える時期である。この時期には経済活動が急激に活発化し、それによってあらゆる種類の燃料の消費が同時に増加する。その一方で、定期修繕を取りやめることはできず、当局は市場の需給バランスを確保するという難しい課題に直面する。しかし、初夏に見られた消費者のパニックは完全に収まり、消費者が新たな状況に適応した結果、石油製品の二次市場では卸売価格が低下した。
ある専門家は、9~10月の基本シナリオは、地域間の不均衡を残しながら、変動を伴いつつ安定化するというものであると見る。9月には買い急ぎによる需要が徐々に低下し、それが安定化の基盤となる。ただし、精製能力の不足、物流上の制約、輸入への依存という構造的問題は残ると、同氏は指摘する。同氏によれば、今後の展開を左右する主要な要因は、ロシアの製油所の復旧速度、輸入量、ベラルーシの製油所の操業の安定性、そして輸出に関する決定となる。
ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします