
こちらの記事が、ウクライナによるノヴォロシースク周辺への攻撃がカザフスタン原油の輸出まで阻害していることを受け、米国がウクライナ側から一定の「攻撃除外」の約束を取り付けたことを伝えている。記事の要旨を以下のとおり整理しておく。
米政府当局者によれば、ウクライナは、カザフスタン原油の輸出に不可欠なCPC(Caspian Pipeline Consortium)の黒海側インフラと、一定の条件を満たす非ロシア系タンカーを攻撃対象としないことで合意した。ウクライナ側は商船会社との連絡窓口も設け、安全な航行のため船舶情報をやり取りする仕組みを整えるとしている。これは米政府高官とウクライナ指導部との協議を受けた措置。
背景には、最近のノヴォロシースクのCPCターミナル周辺へのドローン攻撃がある。CPCはカザフスタンにとって代替困難な主要輸出ルートで、通常は世界の原油供給量の約2%を扱っている。とりわけ欧州の製油所にとっては重要な供給源。ところがウクライナがロシアの石油港湾への攻撃を強化する中、CPCターミナルに寄港する船舶も攻撃を受け、船主が寄港を避けるなど、積み出しに支障が生じた。
今回の取り決めで攻撃除外の対象となる船舶には明確な条件がある。すなわち、①ウクライナの制裁対象でない、②ロシア産原油その他のロシア貨物を輸送していない、③ロシアの個人・企業が所有していない船舶である。CPCインフラそのものについても、ウクライナは攻撃を控えるとされている。
ただし、これで輸送が完全に正常化するかは不透明。過去にも船会社がウクライナ側に「攻撃してはならない船舶」のリストを提供したにもかかわらず、実際にはその一部が攻撃された例があったため、船主の警戒感は強く残っている。また、ノヴォロシースク周辺でドローン警報が出ればロシア当局が積み出し作業自体を停止するため、CPCを直接攻撃しなくても輸送への影響は残る。
実際、7月20日の週のドローン攻撃を受け、米企業がチャーターした商船はCPCターミナルでの積み込みを停止した。7月27日に再開したものの、その2日後には同ターミナルで積み込み中の商船が再びドローン攻撃を受けている。この混乱により、8月のCPC Blend輸出量は通常より約3分の1減少する可能性がある。
さらに興味深いのが海運市場への波及。ロシア港への寄港リスクに加えて攻撃リスクが高まった結果、CPC原油を地中海まで運ぶタンカーの用船料収入は、8月7日時点で1日40万ドル超と、この航路として過去最高に達した。
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