
こちらのインタビュー記事で、経済専門家のI.リプシツ氏が、ロシア経済の現状と展望につき語っている。ロシア経済は個々の危機ではなく、多数の問題が累積することで「システム疲労」を起こしつつあり、それに対応するため国家は1930年代ソ連型の統制体制へと向かっているといった内容である。以下で発言要旨を整理しておく。
ガソリン不足は、寄せ集め輸入でしのいでいる状況である。モロッコからAI-92ガソリン3万tを輸入したが、これは大口供給国が見つからず、どこからでも少量ずつ調達していることを示している。ベラルーシからの供給は限定的だし、カザフスタンも慎重姿勢だし、アゼルバイジャンは協力に消極的だし、中国はロシア向け自動車燃料輸出を禁止している。ロシア企業が所有するインドの製油所へ割安で原油を送り、そこで精製したガソリンを割高で買い戻して国内不足を補っているのが現実。これは、何とか冬を迎えるための必死の応急措置だ。
製油所攻撃は「一撃必殺」ではなく「システム疲労」を生む。ロシア経済を一発で崩壊させる攻撃など存在しない。しかし、製油所攻撃、制裁、物流障害、人手不足などが積み重なると、機械工学でいう金属疲労のように、ある日突然、誰も予想しなかった箇所でシステム全体が壊れる可能性がある。
現在のロシアをソ連末期と比較すると、ソ連も「ある一つの経済ショック」で崩壊したのではなく、多数の問題が蓄積し、社会全体が疲弊した結果、「何かを変えよう」という空気が生まれた本当の転換点は、「体制を修正しようとしたゴルバチョフ」ではなく、「体制そのものを壊そうとしたエリツィン」だった。
ワイルドベリーズ攻撃は、キルギス企業にまで被害を与えている。かつてロシア市場は魅力的だったが、現在ではロシア経済は有毒なパートナーとなった。近隣諸国は、ロシア市場への依存を減らし、新たな販路を探すべきだろう。
カザフスタンは、原油輸出をノヴォロシースク経由のCPCパイプラインに依存しているが、もし同港への攻撃が続けば、カザフスタンGDPが20%減少する可能性すらある。
2026年夏が一つの分岐点となり、ロシアは「1930年代ソ連」の方向へ進み始めた。その特徴として、指令型経済、国家統制、テロ的支配、国民への監視強化が挙げられる。モスクワ州での動員・戒厳令準備もその流れの一部と位置付けられる。
パヴェル・ドゥーロフを「テロ支援者」と位置付けたのは、政権が「敵の包囲網」という物語を意図的に構築しているもの。以前は「外国エージェント」が敵だったが、現在は出国したロシア人、ドゥーロフ、新経済の象徴的人物まで敵として描き、「国家は敵に包囲されている」という認識を国民に植え付けることで、団結、統制、Maxメッセンジャーへの移行などを正当化している。
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