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 こちらの記事が、ロシアの北極・凍結海域向け船舶需要と、実際の造船能力とのギャップについて論じていて興味深いので、以下要点をまとめておく。

 ロシアの中央海運研究所は、2030年までにロシア企業には少なくとも52隻の砕氷・耐氷船が追加で必要になるとの試算をまとめた。対象となるのは、北極海航路やバルト海など凍結海域で進む大型プロジェクトであり、需要は以下のように見積もられている。総載貨重量(デッドウェイト)は170万t超になるという。

  • Arc7級原油タンカー(12万DWT)10隻以上 
  • Arc7級LNG船(17.4万㎥)5隻以上 
  • Arc7級LPG船3隻 
  • Arc7級ガスコンデンセートタンカー2隻 
  • Arc7級大型コンテナ船5隻 
  • Arc7級バルカー5隻 
  • Arc5級一般貨物船3隻 
  • Arc5級石油製品タンカー1隻 
  • Ice2級LNG船10隻 
  • Ice2級LPG船5隻

 想定される発注者には、ロスネフチ、ノヴァテク(Arctic LNG 2)、ロスアトム(北方補給・北極海航路輸送)、ルスヒムアリヤンス、ガスプロム・ドブィチャ・タンベイ、AEON、バイムスキー鉱山などが含まれる。さらに、ガスプロムネフチのノヴォポルト油田、ルクオイルのヴァランデイ基地で運航されている2010年代建造のシャトルタンカーも更新時期を迎える。

 現状の耐氷船隊についてみると、2026年5月時点でロシア商船隊は、商船:1,459隻、総デッドウェイト:約2,240万tとなっている。このうち高い耐氷性能を持つ船は、Arc4~Arc6:221隻、Arc7:16隻しか存在しない。つまり、最高クラスのArc7船は極めて少ない。

 過去10年間でロシアは246隻の商船を建造した。2030年までにさらに113隻が建造予定だが、その大半は河川・海洋兼用船、補助船、原子力砕氷船であり、大型Arc7商船はほとんど含まれていない。中央海運研究所は、問題は造船所の能力だけではなく、大型耐氷船向け機関・推進装置など必要機器をロシア国内で生産できないことを最大の制約としている。推進装置については中国製の利用も選択肢としているが、制裁圧力が緩和されることを前提としている。

 InfolineのM.ブルミストロフは、2030年までに50隻建造するのはロシアの造船能力では不可能とみる。大型船を建造できる実質的な造船所は極東のズヴェズダ造船所しかなく、同造船所も既に北極海航路向け26隻の受注を抱えている。そのため、Arc7だけはロシア国内建造、Arc4・Arc5の一般船は中国建造、あるいは中古船購入という役割分担が現実的である。さらに、ムルマンスクとカムチャッカの積替えハブを活用し、Arc7船から通常船へ積み替えることで必要船腹を減らせる。それでも、少なくとも2035年頃までは船不足がロシア北極開発最大の制約になると、ブルミストロフ予測する。

 サンクトペテルブルグの専門家A.ドミトリエフは、解決策として、中国造船所への発注、ロシア設計+中国建造、中古船購入、複数造船所によるブロック建造(セクション生産)を提案する。ただし最後の案には、工場間物流の高度な整備が不可欠になるという。


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