
ロシア国産のリージョナルジェット機としてデビューしながら、販売不振や制裁で一頓挫したのが、SSJ-100(スホーイスーパージェット)だった。現在はエンジン等を国産に切り替え、SJ-100として出直そうとしているところである。最新のこちらの記事が、関連情報を伝えているので、以下要旨をまとめておく。
ロシアの航空機メーカーを束ねる統一航空機コーポレーション(OAK)は、ロシア国内で運航中のSSJ-100のうち約50機(全保有機数の約3分の1)を対象に、仏露共同開発エンジンSaM146を、ロシア製PD-8へ換装(リモーター化)する構想をまとめた。作業開始は2029年末頃を想定しており、それまでの間は既存のSaM146の寿命延長を図りながら運航を継続する方針である。
換装費用は1機当たり約23億ルーブル、総額約1,150億ルーブルと試算されている。これは旧SSJ-100の販売価格にほぼ匹敵する一方、新型SJ-100を新造するコスト(約55億ルーブル)よりはかなり安い。費用の半分は産業・商業省の支援で賄い、残りは運輸省予算や航空会社・機体所有者の負担とする案が検討されている。
背景には、2022年の制裁でフランスSafranがSaM146エンジンの保守・部品供給から撤退したことがある。その結果、ロシア国内では既存機の維持が大きな課題となった。現在ロシア国内には約160機のSSJ-100が残っており、その約半数を航空会社「ロシア」が保有しているほか、Red Wings、アジムート航空、ヤマル航空などが運航している。
一方で、この計画の経済合理性については評価が分かれている。肯定派は、「新造機に50~70億ルーブルを投じるよりも、約20億ルーブルで既存機を延命した方が財政負担は小さい」と主張する。慎重派は、「エンジンを交換しても機体そのものは古く、残存耐用年数は短い。新型SJ-100と市場で競合するだけで、長期的には非効率だ」と指摘する。
また、今後の機体寿命についても不透明である。頻繁な運航を控えれば寿命を延ばせる可能性がある一方、エアインテークや風防ガラスなど代替の利かない部品が不足すれば、想定より早く退役する可能性もある。
そのため、業界では「SaM146の寿命延長」と「PD-8への換装」は対立する選択肢ではなく、前者によって2029年頃まで運航を維持し、その後に後者へ移行する補完的な戦略と見る向きも多い。
さらに、PD-8の量産能力については以前より悲観論が後退している。SJ-100の生産計画自体が大幅に縮小され、2030年までの需要見通しも142機から60機程度へ下方修正されたため、PD-8エンジンを既存SSJ-100の換装にも振り向けられる余地が生じてきたという。もっとも、SJ-100については現時点で確定受注はまだなく、航空会社側の需要見込みも40~50機程度とされている。
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