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 有名な論客のプロコペンコ氏による最新のこちらのコラムは、際限のない戦費の拡大により、ロシアの財政規律が蝕まれていることを論じている。以下、主要部分を抄訳しておく。

 西側では、プーチン大統領の弱体化の兆候を、本来注目すべきところではなく、別のところに求めることに慣れてしまっている。たとえば、支配エリート層の大きな分裂や、社会の雰囲気が悪化する中での支持率低下などである。確かにプーチン体制はそのような問題にも直面しているが、それに対する耐性は依然として強い。

 本当に重要な意味を持つ浸食は、もっと目立たない。それはあまりにも日常的な現象として進行しているからだ。戦争のニーズは、すでに長い間、財政規律を徐々に蝕んできた。そして今では、それと同じように静かに、予算編成の手続きや議会による監視機能までもが脇へ追いやられつつある。

 6月、ロシア下院はわずか72時間で、大きな議論もないまま、財務省に対し、予算法を改正することも議会で再承認を得ることもなく、予算支出を増やし、法律で定められた政府債務の上限を超えて借り入れを行う権限を与えた。財務省は、このような手続きの簡素化について、「状況の悪化には毎月や毎四半期ではなく、毎日対応しなければならない」ためだと説明している。莫大な費用を要する戦争が5年目に入った今、もともと形骸化していた議会でさえ障害物となり、取り除いてしまう方が手っ取り早い存在になったのである。

 こうした権限緩和の主な目的は、歳入の流入時期にばらつきがある一方で支出が先行することによって生じる資金繰りのギャップを埋めることにある。これにより財務省は、2026年にGDP比1.6%と見込まれている財政赤字を機動的にファイナンスできるようになる。

 政府がこうした措置を急いだ事情は理解できる。2026年1~5月の連邦予算赤字は6兆ルーブル、GDP比2.6%に達した。これは前年同期の2倍であり、2026年通年で予定されていた3兆8,000億ルーブルの赤字額をすでに上回っている。かつてこのような事態に備える安全弁であった国民福祉基金の流動資産は約3.4兆ルーブルまで減少し、戦前の水準と比べれば見る影もない。戦費調達のために付加価値税はすでに引き上げられた。中央銀行の政策金利は14.25%に据え置かれており、中銀はすでに「政府の借り入れが増えれば増えるほど、高金利をより長期間維持せざるを得ない」と警告している。

 今回の制度変更によって、財務省は支出や政府債務を状況に応じて柔軟に見直しやすくなる。しかし、その利便性の代償はロシア経済にとって決して小さくない。マクロ経済学的に見れば、国家予算は経済主体の期待を支える錨のような役割を果たす。ロシアで財政ルールが導入されたのも、経済をより安定的かつ予測可能なものにするためだった。歳出を石油価格の変動から切り離し、すべての経済主体に共通の基準点を与えることで、為替相場の変動や、それがインフレ、財政赤字、政府借入額に及ぼす影響を和らげようという狙いがあったのである。

 これらの指標が安定していることは重要だ。企業だけでなく、中央銀行もまた、財政支出が生み出す需要の大きさを見極めながら政策金利を調整しているからである。ところが、財政政策の透明性が失われ、外部からの正式な監視も受けないままリアルタイムで変更されるようになれば、中央銀行は最悪の事態を前提に政策を運営せざるを得ず、その結果、金利はより高く、より長く維持されることになる。

 もちろん、議会が予算編成過程から身を引いたからといって、直ちに無制限の紙幣増発が始まるわけではない。財務省が追加で借り入れられる額は、統一国庫口座にすでに積み上がっている資金残高の範囲内に制限される。実態としては、国が自ら保有する資金を担保とした短期的な技術的オーバードラフトに近い。しかし、その口座にある資金も現在は潤沢ではない。ルーブル高に加え、ウクライナによる石油インフラへの攻撃が、中東戦争を背景とした原油価格上昇の恩恵をかなり相殺してしまったからである。その結果、ロシアの石油・ガス関連歳入は、ようやく2025年初頭の水準に追いつく程度にとどまっている。

 こうした手続き簡素化の最大のリスクは別のところにある。それは、財政赤字を一段と拡大させるような歳出増加がどこまで進むかという点である。その赤字は、最終的には借金による、そしてインフレを伴う形での資金調達を必要とする。国際的な基準から見れば、ロシアの政府債務残高は依然としてGDP比20%未満と低い水準にある。しかし、高い政策金利の下では、その債務を維持・返済していくコストはますます重くなっているのである。

 こうした手続きの簡素化は、財政政策の予見可能性にも深刻な打撃を与えている。すでに夏も半ばを迎えているにもかかわらず、ロシアでは企業も国民も、今年度の国家予算が最終的にどのような支出になるのかすら把握できていない。ましてや来年度予算のおおよその姿など知る由もない。その結果、ロシアの国家予算は経済活動の羅針盤としての役割を失い、部外者には見せることを想定していない単なる「歳入・歳出の一覧表」へと変質してしまった。

 ほぼ20年にわたり、財政規律はクレムリンが最も誇ってきた政策の一つだった。低い政府債務、概ね均衡の取れた財政、安定化基金、そして国際的にも高く評価された経済チーム、こうした基盤があったからこそ、ロシア経済は制裁という大きな衝撃にも耐えることができたのである。しかし、いまやその規律は解体されつつある。

 戦争の代償は今なお膨らみ続けている。数か月前、アントン・シルアノフ財務相は政府宛ての書簡で、2026年末までに軍および治安機関には追加で2兆ルーブルが必要になる可能性があると警告した。その相当部分は、戦死者や負傷者に対する補償費用である。

 戦争の代償は先送りすることはできても、永遠に回避することはできない。今年返済期限を迎えるはずだった地方政府向けの財政融資は、返済期限が2030年まで延期され、その結果生じた余力は戦争関連支出に充てられることになった。ロシア国民はすでに、戦争の代償を支払っている。新たな国債発行によって押し上げられたインフレと、異常なまでに高い金利という形で、その負担を負わされているのである。


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