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 こちらの記事が、ロシア政府が燃料不足に対応するため、ガソリン・ディーゼル燃料の環境・品質基準を引き下げようとしているということを伝えている。以下、記事を抄訳しておく。

 ロシア政府が、国内市場への燃料供給を確保するため、今後1年間、ガソリンおよびディーゼル燃料について環境基準を最大で「ユーロ2」まで引き下げた製品の生産を認める方向で検討していることが明らかになった。さらに、そのような規格のガソリンの輸入も認められる可能性がある。アナリストらは、この措置によってナフサを高度な精製工程を経ずにガソリン原料として利用できるようになり、ガソリン供給量が月間数十万t規模で増加すると見ている。一方で、こうした燃料は最新の自動車にとって安全性の面で問題を生じる恐れがある。

 政府は2027年7月までの時限措置として、ユーロ2、ユーロ3、ユーロ4規格のガソリンおよびディーゼル燃料の生産・流通を認めることを検討している。ガソリン中のメタノール含有量は3%以下に制限される。また、こうした規格のガソリンについては、ユーラシア経済連合(EAEU)の技術規則への適合を求めずに輸入を認める案も盛り込まれている。

 政府は2025年秋にも、一部の製油所に対し、国内市場向けにユーロ3水準のガソリン・ディーゼル燃料の生産を認めていた。この特例は、石油原料加工事業者として登録証を保有する製油所に適用され、新たな高度精製設備の導入に関する協定を締結している製油所なども対象となっていた。

 現行の技術規則では、ユーロ5規格のガソリン・ディーゼル燃料の硫黄含有量は1kg当たり10mg以下と定められているのに対し、ユーロ2では500mgまで認められている。また、ユーロ2ガソリンではベンゼン含有量もより高く認められ、ディーゼル燃料では着火性を示すセタン価の基準も引き下げられる(詳細は上掲表参照)。ロシアでは2013年以降、ユーロ2規格燃料の販売は禁止されていた。

 燃料市場は5月末以降、石油製品の供給減少を背景に急速に逼迫した。このため、ガソリンスタンドでの価格上昇が進み、多くの地域でガソリンやディーゼル燃料の不足が発生した。複数のガソリンスタンド・チェーンは顧客への販売数量に上限を設けている。Kplerが6月18日に公表したレポートでは、市場関係者の話として、過去3か月間にロシア国内のガソリン在庫が数十万t減少したと指摘している。アナリストらによれば、現在の状況は2025年7~9月に見られた燃料不足とよく似ているという。

 プーチン大統領は6月28日に燃料市場に関する会議で、主要製油所はすべて最大能力で稼働しており、中小製油所の能力も総動員し、定期修理期間は短縮、計画修理は延期されていると述べた。また、エネルギー省のデータとして、ガソリン在庫は前年同期比4%減の170万tまで低下したことを明らかにした。

 石油業界関係者は、ユーロ3まで基準を緩和しただけでは、高オクタン価ガソリンの供給拡大には十分ではなかった可能性が高いと語った。NEFT Researchの広報部長ドミトリー・プロコフィエフ氏は、決定的な違いは硫黄含有量の基準と製造工程の複雑さにあると説明する。同氏によれば、ユーロ2であればナフサを高度精製せずに直接ガソリン原料として利用できるほか、高品質燃料を製造できない設備も活用できるため、生産工程を大幅に簡略化できる。その結果、ガソリン生産は月間数十万t規模で増加する可能性があり、さらに安価な燃料の輸入余地も広がるという。ただし、それでも失われた供給量を完全に補うことは難しいとの見方を示している。Open Oil Marketのセルゲイ・テレシキン社長も、環境基準の緩和によって、特定の精製設備が停止した場合でも燃料生産への影響を小さくできると指摘する。

 一方で、自動車への影響は、環境基準を引き下げた燃料がどの程度大量に流通するかによって左右されるという。プロコフィエフ氏は、現代の多くの自動車にとってユーロ2燃料の使用は安全ではない可能性があると警告する。しかし地方では依然として低品質燃料を前提に設計された車両が多く使われているため、政府は燃料の品質を犠牲にしてでも、物理的な供給量を確保することを優先したとみられるとしている。

 燃料市場安定化策の一環として、政府は7月31日まで市場参加者すべてに対するガソリン輸出を禁止しており、さらにディーゼル燃料についても製油所を対象に輸出規制を拡大する可能性がある。また、7月1日から3か月間、取引所で販売すべきガソリンの最低比率は15%から10%へ引き下げられるほか、EAEU域内へのガソリン輸入に対するゼロ関税措置も延長される見通しである。

 さらに下院は第3読会で法案を可決し、混合方式で製造された自動車用ガソリンについても製油所が還付型物品税を受けられるようにするとともに、EAEU加盟国や関税同盟域外で生産された燃料について価格調整補助金の算定方法を定めた。

 Kplerは、燃料品質基準の引き下げや、ベラルーシ、アゼルバイジャン、中央アジア諸国、インド、トルコなどからの輸入拡大に加え、ロシア政府は政府間協定に基づくガソリン輸出を禁止したり、ガソリンスタンド価格に対する統制を緩和したりする可能性もあると分析している。ただし、価格統制の緩和については9月の選挙を前に実施される可能性は低いとの見方を示している。


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