197

 こちらの記事で、ズベルバンクのエコノミストであるA.イサコフ氏が、ロシア経済を取り巻く諸問題に関しインタビューに答えているので、以下発言要旨を整理しておく。

 2026年前半にロシアで生じた景気減速は、季節要因や暖冬だけでは説明できない。真因は高金利による金融引き締めにある。特に名目政策金利ではなく実質金利が問題。インフレ率が急速に低下したため、政策金利は多少下がっても実質金利はむしろ上昇し、企業にとって借入コストは非常に高い状態が続いた。

 第1四半期に投資の大幅な減少が生じた。原因は、高金利、強いルーブル、利払い負担増、輸入品との競争激化、コストを価格転嫁できない、という悪循環。企業は借金を減らして現金を積み増し、投資を先送りしている。

 増税より高金利の影響の方が大きい。2025年の法人税引き上げは、影響はあるが主因ではない。 もし税制変更が主因なら、消費が先に落ちるはずだが、実際には消費、実質賃金は比較的堅調で、落ちているのは、利益、投資、企業マインドであるため、金融政策の影響の方が大きいと言える。

 ロシア経済は二極化の状態にある。調子が良いのは消費、小売、サービス、実質賃金で、一方、 悪いのは、建設、輸出産業、鉱業、民間製造業、投資。つまり、半分は悪いが半分はまだ強いので、リセッションとは言えない。

 強すぎるルーブルが最大の問題。現在の実質為替レートは2011~12年並みに高い。これでは、輸入品との競争が激化し、民間製造業が育たず、輸出企業が苦しい。

 現在の財政ルールは、超過石油収入を外貨、金で積み立てている。これは10~15年前には合理的だったが、現在は役割を終えつつある。そこで、新しい財政ルールを提案したい。それは、準備資産をルーブルだけで保有することだ。つまり、財務省は外貨を買わず、代わりにルーブル建て資産、マネーマーケット、国債などで運用する。そうすれば、運用利回りが上がり、財政運営がシンプルになり、為替市場への介入を中央銀行へ一本化できる。

 この制度なら、財務省の外貨売買を気にする必要がなくなるので、中銀はより大胆に利下げできる。すでに現在でも、インフレ率は目標近辺まで下がっているため、利下げ余地は大きい。

 市場では赤字拡大が話題だが、これは大きな問題ではない。今年も財政赤字はGDP比約3%程度で、昨年と大差ないため、財政スタンス自体は概ね中立になっている。

 長期成長率を、従来の1.5%から、2~2.5%へ引き上げることが可能。その要因は、AI導入による生産性向上、医薬品開発、小売、事務作業、予測能力の改善。2027年以降は、市場予想以上の成長も可能。

 中東危機後も、原油市場は以前より頑健になった。ただし、中国などの備蓄積み増し需要から、2026年後半~2027年には需給が引き締まり、Brentは75~80ドル程度で推移すると予想される。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ