
正直私は知らなかったのだが、ウクライナ出身で現在は英在住のアリョーナ・フリウコという女性の政治評論家がいるそうである。こちらの記事で、同氏がロシア・ウクライナ戦争とそれをめぐる諸問題についてのインタビューに答えているので、以下発言要旨を整理しておく。
ウクライナによる製油所・石油インフラ攻撃は、すでにロシアの石油収入に目に見える打撃を与えている。2026年5月だけでロシアの石油収入は計画比7.1億ドル減少し、月間計画を10%下回った。 モスクワやサンクトペテルブルグ周辺にまで及ぶ長距離攻撃能力は、ロシアの戦争遂行能力を徐々に削いでいる。
米イラン間の緊張が収まれば、ワシントンの関心は再びウクライナに向かうだろう。ホルムズ海峡正常化で原油価格が下落すれば、ロシアの戦費調達能力も低下する。ただ、最近の米国は親ウクライナ的でも中立的でもなく、むしろロシア寄りの姿勢すら見せている。
ロシア軍は戦場で戦術的に劣勢にあり、春季攻勢は事実上失敗した。Starlink利用制限やウクライナの中距離攻撃能力がロシア軍の計画を狂わせた。ロシアは地上戦で成果が出ないため、民間人へのテロ攻撃を強化してウクライナの士気をくじこうとしている。
ウクライナの弱点は防空能力である。パトリオット迎撃ミサイルの供給国は限られており、米国在庫も中東情勢で消耗している。ウクライナには将来的に、自国製の「安価なパトリオット」を開発できる可能性がある。
ロシアのエリート層には、戦争への満足感はない。しかし、軍需経済から利益を得ており、体制転覆に向かうほどの不満もない。反戦感情は徐々に育つだろうが、独裁国家なので時間がかかる。いずれ異論が形成されるのは不可避だが、いつ誰かがプーチンを排除するかは分からない。
ウクライナは防衛している側であり、戦争を止めるかどうかを決める立場ではない。戦争を終わらせられる唯一の主体は侵略者であるロシア。欧州は当初米国任せだったが、米国の後退により主導的役割を果たそうとしている。欧州が米国のように領土放棄をウクライナに迫るべきではない。
戦争後、制裁解除やエネルギー収入回復が進めば、ロシアがさらに大胆になる可能性がある。ロシアの目的はバルト三国占領そのものよりも、「NATOは実際には機能しない」ことを証明することかもしれない。NATO諸国はロシアとの直接戦争を恐れており、その弱さをクレムリンは試そうとしている。NATOが機能しないと示されれば、中国も勢いづき、第三次世界大戦の危険が高まる恐れがある。
ベラルーシのルカシェンコがゼレンスキーに融和的な姿勢を見せたのは、自立した指導者としての立場を演出しようとしているため。ウクライナによる攻撃を恐れている面もある。しかし、こうした東西間のバランス外交は従来からの常套手段であり、信用すべきではない。
考えられる停戦の姿は、東部に厳格な停戦ラインを設ける、英仏を中心とする西側部隊をウクライナに駐留させる、強力に武装したウクライナを維持する、ロシアの脅威は次世代にも続くと覚悟するというもので、「公正で永続的な平和」は現状の西側指導者の下では困難。
プーチン・ゼレンスキー会談が動き出すのは、プーチンが行き詰まった時。プーチンが軍事的にこれ以上得るものがなくなり、欧米を揺さぶる余地も失われ、ウクライナ優勢が長期間続く、そのような状況になって初めてプーチンはゼレンスキーとの直接会談に応じるだろう。また、今年の冬はウクライナのインフラが傷んでいるため厳しい季節になるが、ロシア側にとっても厳しい冬になる。
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