191

 結局、6月19日に開催されたロシア中央銀行の政策決定会合の結果、政策金利は0.25ポイント引き下げられ、14.25%に設定された。本日22日から適用される。病気を理由にしばらく公の場に現れなかったE.ナビウリナ総裁が久し振りに登場し、会合後の会見に加わった。

 とはいえ、ナビウリナ総裁の長期不在は、当然様々な憶測を呼んだ。今回は、政策決定会合の前の6月16日付の記事になるが、T.ルィバコヴァという論者によるこちらの記事の要旨を以下のとおりまとめておく。

 ナビウリナ総裁は、ペテルブルグ国際経済フォーラムや、プーチン大統領との経済会議を欠席したため、プーチンとの対立、早期辞任、自宅軟禁や拘束など様々な噂が流れた。中銀は「重い風邪」と説明し、6月19日の政策金利会合後の記者会見で復帰すると発表した。

 重要なのは、本人の健康状態ではなく、「鉄の女」として高金利でインフレ抑制を行ってきたナビウリナの時代が終わりつつあることである。当のプーチンが「インフレが低下したので利下げできる」と発言した。

 ナビウリナが築いてきたマクロ経済の規律が破壊されつつある。新たな予算法改正によって、政府は予算法を改正せずに歳出を増やせることとなり、軍事支出の詳細を公表しなくてもよく、国内債務増加の制限が事実上なくなり、地域への低利融資や債務返済猶予が認められ、地域予算を住宅・公共サービスではなく「特別軍事作戦」に回せるなど、戦争遂行のために財政規律が緩められた。

 軍需部門は優遇融資や前払いを受けるため、高金利の影響を受けにくい。民間部門だけが高金利の負担を負い、結果として人・資金が軍需部門へ流れた。すでにその移転が完了したため、これからは利下げして民間部門から税収を吸い上げ、戦争資金を確保する段階に移った。

 今後予想されるのは、インフレ加速、スタグフレーション、ルーブル下落、現金利用への規制、失業増加である。

 ナビウリナが国や国民を守るために体制内に残っているというのは疑わしく、結局はプーチンの意向に従わざるを得ない。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ