こちらの記事が、ロシアの穀物生産・輸出動向について伝えているので、以下ざっと抄訳しておく。なお、以下に見るとおり、ロシアの穀物収穫・輸出に関しては7月始まり・翌年6月終わりの年度が一般的に用いられる。
ロシアの2026/27年度の穀物(小麦、トウモロコシ、大麦)の収穫量は、前年並みの1億4,400万tとなる可能性が高く、輸出余力は6,200万t(前年比3.3%増)に達し、ロシアは穀物貿易で世界トップ3の地位を維持するとともに、小麦貿易では引き続き首位を保つ見通しである。エイレル社の専門家N.コヴァリョフ氏が指摘した。同氏は、ロシア産穀物の輸出価格が前年比10%上昇して1t当たり256ドルになると想定しており、主な価格上昇は新シーズン後半に生じると予測している。
コヴァリョフによれば、2025/26年度はロシアの農家と輸出業者にとって厳しいシーズンとなった。収穫量は前年比11%増と記録的水準に近かったものの、国南部の主要輸出地域であるクラスノダル地方、ロストフ州、スタヴロポリ地方では収量が低かった。ただし、これら地域の現在の作柄は非常に良好であり、前年並みの収穫量を維持しつつ、生産の地域的偏在が緩和されると見込まれる。
コヴァリョフによれば、前シーズンの国内小麦価格は、高水準の在庫とルーブル高を背景に前年比15%下落し、1t当たり1万3,166ルーブルとなった。一方、2026/27年度には3%の上昇を予想している。しかし、それは農家のコスト上昇を補う程度であり、生産の収益性改善にはつながらないと見られる。
2025/26年度にロシアは小麦輸出(4,600万t)で世界首位を維持し、穀物輸出全体でも6,000万tで世界トップ3に入った。ロシアの世界小麦輸出に占めるシェアは約20%である。100カ国以上がロシア産穀物を輸入しており、主要な小麦輸入国はエジプト、トルコ、バングラデシュ、イラン。ロシアの戦略的優位性としては、生産コストの低さと安価な肥料が挙げられる。
国際市場では、2025/26年度は穀物の豊作と需給バランスの改善が特徴となった。世界の穀物生産量は前年比6%増の23億1,000万tとなった。特に米国ではトウモロコシ生産が前年比5,400万t増加し、EUとアルゼンチンでも小麦収穫量が合計4,000万t増加したことが大きく寄与した。穀物在庫は依然として世界消費量の26%と適度な水準にあり、過去10年間の平均である30%を下回っている。2026/27年度の世界穀物生産量は22億7,000万t(前年比2%減)と予測される。
主要輸出地域における国際穀物価格は前シーズンの低水準にとどまっており、FOBノヴォロシースクは1t当たり234ドル、米国メキシコ湾岸のFOBガルフは241ドルとなっている。コヴァリョフは、これは2022~2023年の価格高騰からの正常化や豊作だけでなく、主要輸出国間の激しい競争と、小麦およびトウモロコシ価格の下落を見込んだ投機的な動きによるものだとみている。同氏は新シーズンの価格を、FOBノヴォロシースクで256ドル、FOBガルフで265ドルと予測している。
一方で、世界の生産者や穀物商社の経営は悪化しており、とりわけEUの一部地域、東欧、米国中西部、カナダでは景気循環上の底に近づいている。生産者は作付面積を縮小し、肥料使用量を減らし、農業機械の更新を先送りしている。
穀物価格と原油価格には歴史的に高い相関関係があり、中東紛争は従来型の穀物供給危機ではなく、肥料供給と農家が利用するエネルギー価格の上昇という形でショックをもたらしている。コヴァリョフによれば、これらの費用は世界の農家の生産コストのうち、それぞれ40%と10%を占めている。さらに、中東諸国は世界の穀物需要の20%を占める重要な輸入地域でもあるという。同氏は、肥料使用量の減少による影響は1~2シーズン後に顕在化すると予想しており、最も影響を受けやすい作物として、1ヘクタール当たり平均400キログラムの肥料を投入するトウモロコシ、次いで同200キログラムの小麦を挙げている。
ロシア統計局によれば、「新領土」を除くロシアの2025年の穀物収穫量は1億4,120万tで、このうち小麦が9,110万tであった。6月末の農業省拡大会議でO.ルト農相は、2025年の穀物収穫量は1億4,460万tと、ロシア史上3番目の豊作になり、このうち小麦は9,380万tであったと報告した。農相は2025/26年度の穀物輸出量を6,000万tと見積もっており、そのうち5,000万tが小麦である。農業省は2026/27年度の収穫量および輸出見通しをまだ公表していない。
農業市場情勢研究所のD.ルィリコ所長は、新シーズンのロシアの穀物生産量を暫定的に1億4,200万t、このうち小麦を9,150万tと予測している。同氏は2026/27年度の輸出余力を、穀物全体で6,920万t、小麦で4,750万tと見積もっている。プロゼルノのV.ペトリチェンコ社長は、新領土を除くロシアの新シーズンの穀物収穫量を1億3,740万t、このうち小麦を8,930万tと予測している。
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