
ホルムズ海峡危機に出口が見えたことで、ロシアへの影響はどうかということに関し、昨日は『ロシア新聞』の記事をご紹介したが、『ヴェードモスチ』にも分析記事が出たので、本日はそれを以下のとおり抄訳してお伝えする。
ホルムズ海峡の封鎖解除が見込まれることは、ルーブル安要因となり得ると専門家らはみている。ただし、その影響が現れるまでには1.5~2カ月の遅れがあり、急激な変動は予想されない。為替相場は他の要因と相まって、早ければ秋には1ドル=85ルーブル方向へ動き始めると予測されている。
アナリストらによれば、ロシアの輸出企業は依然として、春季の原油高によって得られた多額の外貨収入を市場に供給し続けている。外国資本の流入が制限されているため、国内為替市場は主として目先の外貨需給に左右されており、そのため現時点では影響は確認されていないという。中銀データによれば、年初の為替レートは1ドル=76~78ルーブルの範囲にあったが、3月には84.84ルーブルまで急上昇した。その後、ドルはルーブルに対して下落し始め、4月末には74.9ルーブル、5月末には71ルーブルとなり、6月17日時点でロシア中央銀行は72.14ルーブルの公式レートを設定している。
原油価格の下落による外貨供給減少の効果が顕在化するのは、早くても8月以降になるという予想がある。夏の終わりには、石油・ガス部門以外の輸出企業による外貨売却が減少し、財務省による外貨購入の累積効果も現れ始める。下半期に季節的な外貨需要が高まることや、金融政策のさらなる緩和に伴い、ルーブルは徐々に下落していくとの指摘もある。
足元のルーブル高を支えている要因には、資源価格の高止まり、輸入代金支払いや資本流出のための外貨需要の低さ、そして高金利を挙げている。厳格な金融政策は消費と投資の需要を抑制し、輸入需要を低下させるとともに、ルーブルに対する投機的取引の妙味を減少させている。輸出企業にとっては、当面の支出を賄うためにルーブル建てで借り入れるよりも、外貨収入を売却する方が有利である。
専門家らは、ホルムズ海峡の航行が再開された後も、原油価格が急落するとは予想していない。エコノミストらによれば、航路の完全な復旧には1~2カ月を要する見込みである。専門家のポタヴィンは、たとえホルムズ海峡の通航再開が6月後半に始まったとしても、ペルシャ湾岸諸国が増産するまでには年末近くまで時間がかかるとしている。別の専門家のフョードロフによれば、紛争中に備蓄を大きく取り崩した輸入国が石油備蓄を再び積み増す必要性も、市場を下支えする追加要因となり得る。
こうした背景から、フョードロフは2026年第3四半期のブレント原油平均価格見通しを1バレル80ドル、第4四半期を70ドルに据え置いている。ポタヴィンは、海峡の封鎖解除後もブレント価格は1バレル75~85ドルの範囲にとどまる可能性が高いとみている。ソフコムバンクは、第3四半期のブレント原油平均スポット価格を88ドル、ウラル原油平均価格を68ドルと予想している。第4四半期の見通しは、ブレント80ドル、ウラル62ドルである。別の専門家のコーキンは、航行が完全かつ迅速に回復した場合には、ブレント価格が短期的に65~70ドルまで下落する可能性を否定していない。ただし、より可能性が高いシナリオは段階的な海峡封鎖解除であり、その場合にはブレント価格は数カ月にわたり75~80ドルの範囲を維持すると同氏は指摘している。
和平合意の報道を受けて、原油価格は下落し始めた。ロンドンICE取引所におけるブレント原油8月限先物価格は、6月16日の取引で1バレル80ドルを下回り、これは2026年3月3日以来初めてのことであった。この1年間の瞬間的なピークは、紛争開始直後の3月31日に記録され、ブレント価格は1バレル118.57ドルに達した。これは2022年6月以来の高値であった。その後相場は下落に転じ、6月1日時点でブレント先物価格は92.02ドルとなっていた。
影響はロシア産原油価格にも及んだ。経済発展省のデータによれば、2026年2月のウラルス原油平均価格は1バレル44.59ドルであったが、3月には77ドルへ上昇し、4月には94.87ドルに達した。その後、5月には86.52ドルへ低下している。NRA格付けサービスのクリセンコ専務によれば、和平の報道を受け、積出港におけるロシア産ウラル原油は、他の国際指標原油に対して1バレル20ドル超のディスカウントで取引されている。さらに、米国が現在の制裁緩和を延長しなければ、この価格差は一段と拡大する可能性があるという。専門家のヴァシリエフは、ウラルのブレントに対するディスカウント幅は、第3四半期に1バレル20ドル、第4四半期に18ドルになると予想している。
ヴァシリエフは、石油・ガス収入の大幅な不足は予想されず、仮に財政赤字が拡大したとしても、当局は追加的な連邦国債の発行や財務省の積立残高を活用することで補うことが可能だと考えている。
専門家のスミルノヴァによれば、原油価格の下落は予算にとってリスク要因となるものの、年末時点でウラル価格が財政ルール上の基準価格である1バレル59ドルを下回ることはないとみられる。ウラ原油価格は1カ月で約30%下落したが、石油・ガス収入の規模は世界の原油価格だけでなく、輸出量、ロシア産原油のディスカウント幅、そしてルーブル相場にも左右されると、ポタヴィンは指摘している。
前出のクリセンコは、石油・ガス収入計画の達成に対するリスクはすでに部分的に現実化していると述べた。というのも、2026年予算は1ドル=92ルーブルを前提として編成されていたからである。同氏は、海峡再開後にロシア産原油価格が1バレル60~65ドルの水準に戻り、なおかつ現在のルーブル高水準が維持される場合、石油・ガス歳入計画を達成することは極めて困難になると警告した。
スミルノヴァは、ロシア産原油の年間平均価格が1バレル75~80ドルとなれば、基礎的な石油・ガス収入だけでなく追加的な石油・ガス収入も確保できる可能性があるとみている。一方で、石油・ガス収入に関する主要な財政リスクは2027~2028年に集中していると彼女は警告する。情勢が正常化するにつれて原油価格が1バレル50~55ドル、あるいはそれ以下に下落する可能性があるためである。また、財政ルール上の基準価格を1バレル50ドルに引き下げる見直しが行われれば、こうしたリスクを部分的に緩和できる可能性があるという。
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