
KGB上がりの、うだつの上がらねぇ大統領に巡ってきた幸運だったが、短けぇ夢だったな、とプーチンが言ったかどうかは知らないが、米国とイランの合意達成で、ホルムズ海峡危機は解消される可能性が出てきた。それによるロシアの石油輸出への影響が気になるところなので、ロシア政府機関紙のこちらの記事の内容を以下のとおり抄訳しておく。
米国とイランの停戦、およびホルムズ海峡の航行再開は、世界の石油市場の緊張を和らげることになるだろう。しかし、原油価格が急落することはない。海峡の機雷除去、生産の回復、そしてペルシャ湾諸国からの石油輸出再開には時間がかかるためである。
停戦の報道を受けて原油価格は1バレル当たり5%下落した。しかし、昨年末のブレント原油価格が1バレル約60ドルだったことを思い起こせば、現在の83ドルという水準は市場に安心感を与えるものではない。実需の面では依然として原油不足の状態が続いている。
多くの予測が一致しているのは、この地域で原油生産を直ちに増やすことは不可能だという点である。国際エネルギー機関(IEA)は、ペルシャ湾諸国の生産量が夏の終わりまで戦前水準を日量1,010万バレル下回ると見ており、市場が完全に回復するのは早くても2027年半ばになると予測している。
加えて、当事者が合意を本当に履行するのかについても大きな疑念が残る。もし6月19日にイランと米国が軍事行動の停止および海峡の自由航行再開に関する覚書に署名したとしても、それは和平条件を巡る60日間の交渉の開始を意味するにすぎない。米国から何らかの確固たる保証を得ない限り、イランが直ちに積極的な機雷除去を始めるとは考えにくい。テヘランにはワシントンの約束を信用しない十分な理由がある。米国はこれまでもイランとの合意を繰り返し破ってきたからである。したがって、少なくとも今後60日間はホルムズ海峡における正常な(戦前並みの)航行は回復しないことになる。
大半の予測では、原油価格は引き続き比較的高い水準を維持すると見られている。米エネルギー省は、ブレント価格が年末までに1バレル70ドル程度まで低下すると予想している。ゴールドマン・サックスは年間平均価格が90ドル前後になると見込んでいる。フィッチは価格の緩やかな低下を予測しており、2026年のブレント平均価格は約87ドルになると見ている。
ただし、より急激な値下がりを予想する見方もある。エネルギー専門家のK.ロジオノフ氏は、ブレント価格はすでに80ドルに向けて下落しており、今週中にも70ドルを下回る可能性があると述べた。2026年3月に価格が急速に100ドルを超えた際と同様、市場は実際の供給動向ではなくニュースに反応するが、今度はそれが価格下落要因として作用するという。
同氏は、中東で「供給競争」が始まると予想している。サウジアラビア、イラク、クウェート、UAEは、OPECプラス協定の緩和を背景に、年末までに戦前以上の供給量を市場に戻す可能性がある。また、米国によるイラン産原油輸出への制裁緩和あるいは全面解除も供給拡大を後押しするだろう。そうなれば、すでにUAEの離脱によって「風前の灯火」となっているOPECプラス協定にとどめを刺すことになる、と同氏は考えている。
ロジオノフ氏によれば、米国とイランの合意は石油市場における地政学的プレミアムを縮小させる。その結果、2026年後半にはロシア産ウラル原油の価格は1バレル60ドルを下回ることになるという。
なお、こちらの記事が、ロシアの輸出するウラルおよびESPO原油が、ブレントに対してどれだけ値引きされており、それが今後どうなると予想されるかということを伝えている。そこに出ていたグラフが便利だったので、以下のとおりシェアさせていただく。ただし、記事は6月10日付なので、まだ米国・イラン合意が成立する前に出された見通しということになる。
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