135

 こちらのレポートが、ロシア市場に新規参入する外国ブランドが急減していることを伝えているので、以下抄訳しておく。

 コンサルティング会社CORE.XPが発表したレポートによると、年初からこれまでのところ、ロシア市場に新たに参入した外国ブランドは一つもないということである。

 ロシア市場への外国ブランド新規参入数は、2019年:29、2020年:23、2021年:16、2022年:16、2023年:24、2024年:24、2025年:12と推移してきた。今年のように、5月時点でいまだにゼロというのは、前例のないことである。

 2025年1~5月には、スペインのジュエリーブランドPdpaola、ベラルーシのアパレルブランドMua、イタリアのKappaなど、少なくとも9社の海外ブランドがロシア国内で実店舗を開設した。

 ロシアで事業を継続しているものの新規出店を行っていないブランドとしては、イタリアの家電メーカーDe’Longhi、Pdpaola、Mua、靴小売業者のDoucal’s、Beau Today、Emiliano Zapato、さらにトルコ系コーヒーチェーンColombia Coffeeなどが挙げられる。一方、2025~2026年にかけて店舗網の拡大を続けたのは、イタリアのスポーツブランドKappa、トルコの家電メーカーBeko、中国の家具ブランドJinkailaiのみであったという。

 専門家は、「現在、外国企業はロシア市場への投資に慎重になっている」と述べる。CORE.XPは、その背景としてマクロ経済環境の悪化と消費需要の冷え込みを挙げている。実際、ロシア統計局によれば、2026年第1四半期の消費者信頼感指数は前期比1ポイント低下し、マイナス12%となった。

 また、Focus Technologiesの調査・コンサルティング部門責任者M.ヴァシリエフ氏は、ショッピングモールへの来客数減少も指摘する。同氏の試算では、2026年1~4月のショッピングセンター来訪者数は前年同期比で約2%減少した。2025年通年でも前年比約3%の減少となっている。市場は依然としてコロナ前の水準を回復しておらず、2025年のロシア全体のショッピングモール来客数は、2019年と比較して25~26%も少ない水準にとどまっていた。

 国際ブランドの活動低下のもう一つの要因として、中東情勢が挙げられる。商業不動産・小売業専門家協会の専門家N.ケルメドチエヴァ氏によれば、ドバイが長らく海外からロシア向け商品の物流拠点として中心的な役割を果たしてきた。両国間の貿易額は過去5年間で3倍に増加し、100億ドルに迫った。しかし、イラン、米国、イスラエル間の対立激化により、従来の航空輸送ルートが混乱した。その結果、輸送コストの上昇、商品の到着遅延、そして価格上昇圧力が生じている。例えば、個人顧客向け配送サービスの料金は、軍事的緊張が高まって以降、30~50%上昇したという。

 もっとも、例外もある。それが美容分野であると同氏は指摘する。特に韓国系化粧品ブランドは、卸売供給や現地法人を通じて引き続きロシア市場へ参入している。化粧品分野は季節変動の影響をほとんど受けないためである。同氏は、年末までに少なくとも10の新たな美容ブランドがロシア市場に登場すると予想している。

 一方、Focus TechnologiesのM.ヴァシリエフ氏は、この数年でロシア市場の構造そのものが大きく変化したと指摘する。同氏によれば、西側企業の撤退によって空いた市場の多くは、すでにロシア企業や新興の国内プロジェクト、あるいは友好国企業によって埋められている。また、ショッピングモールの集客力は、もはや世界的ブランドの有無よりも、テナント構成の巧拙によって左右されるようになっているという。具体的には、レストラン、娯楽施設、各種サービスが充実しているか、来訪者が快適に時間を過ごせる空間になっているかが重要になっている。ただし同氏は、高級モールや広域集客型の大型モールにとっては、依然として著名な海外ブランドの存在が、施設のブランドイメージ向上や顧客誘引の重要な要素であることも認めている。

 他方で、商業不動産会社Nikoliersの商業不動産部門ディレクター、Yu.クズネツォヴァ氏によれば、2026年には少なくとも7つの国際ブランドがロシア市場から撤退した。その中には、トルコのLes BenjaminsやKaraca Home、カザフスタンのGaissinaなどが含まれる。さらに、残留している外国ブランドも、高い税負担や高金利環境の下で慎重な戦略を取っている。すなわち、新規出店ではなく、マーケットプレイス、現地販売代理店、あるいは長期的な投資を必要としないニッチ市場向けの販売形態を通じて事業を展開しているという。

 クズネツォヴァ氏は、2026年中にロシア市場へ参入する新規海外ブランドは最大でも10程度にとどまり、ロシア国内ブランドを含めても、新規ブランド総数は30を超えないだろうと予測している。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ