GW読書シリーズ。2年ほど前に出たものだけど、個人的にはこのほどようやく読むことのできた、小宮山功一朗・小泉悠『サイバースペースの地政学』 (ハヤカワ新書、2024年)である。例によって紹介文を引用させてもらうと、
「千葉や北海道に、なぜ巨大データセンターが続々建つのか?」
「世界のインターネットは574本の海底ケーブルに依存!?」
「ロシア秘密海中工作部隊の真の狙いとは?」
「日本が守るべきサイバー世界の要衝とは?」
インターネット上に広がる「サイバー空間」とはそもそもいかなるもので、世界はどのように繋がっているのか? その手触りを求めてサイバーセキュリティと軍事のプロが向かった先は、千葉に林立する巨大データセンター、日本サイバー史の重要地点・長崎、人知れず活躍する海底ケーブル船、北の大地のAIデータ拠点、そしてロシアの隣国エストニア。情報インフラと安全保障の要でありながら実態の見えにくいサイバー空間の「可視化」に、気鋭の研究者二人が大胆に挑んだ渾身の現場ルポ。
読んでみたところ、この本は割と企画色が強く、小宮山さんの方が本来の専門であるサイバー関係の基本的なところを解説し、小泉さんが今日のロシア・ウクライナ戦争にも引き付け軍事面の生々しい動きを論じるという分担になっている。大胆な組み合わせであるが、破綻することなく、上手く補完し合っている。内容的には、事前に想像していたよりも、サイバー関係のハードというか物理的な側面にかなり重点を置いた本であり、データセンター、ケーブルおよびその敷設船などに関する記述が詳しい。
個人的には、北海道で働いていながら、札幌の自宅と研究室以外の場所にほとんど出没していないという反省があるのだが、それだけに札幌市からほど近い石狩市のデータセンターの様子がレポートされている点が、とりわけ印象的だった。サイバースペースにおける「距離」という問題に関し、これまで考えたことがなかったので、その点の学びが大きかった。
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