ロシア語圏のインターネット空間のことを、「ルネット」と呼ぶ。こちらの記事は、そのルネットにおけるデジタル経済の市場概要につき、最新の動向を伝えているので、以下抄訳しておく。
2025年のロシア・インターネット経済(ルネット経済)は38.3兆ルーブルに達した。ロシア電子コミュニケーション協会(RAEC)の調査で明らかにされたもので、前年の結果を30%上回った。牽引したのは電子商取引であり、この市場のプレーヤーは年間で23.2兆ルーブル(全体の60%)を稼ぎ、前年比40%増となった。
また、35%(13.7兆ルーブル)は情報通信技術(ICT)部門が占め、前年比12%増となった。残り(1兆5,700億ルーブル)は広告・プロモーション分野で、こちらは前年比27.6%の伸びである。
RAECによればICT部門のデータは暫定値であるが、内訳はソフトウェア開発やコンサルティングなどのサービス(7.6兆ルーブル)、コンピュータ・電子・光学機器の製造(3兆ルーブル)、通信事業(1.7兆ルーブル)、IT関連事業(1.4兆ルーブル)などとなっている。
分野別では、2025年にソフトウェア分野は前年比22.5%増の1.5兆ルーブル、ITサービスは13.6%増の1.4兆ルーブル、ハードウェア産業は17.2%増の9,707億ルーブル、AI関連機器は24.6%増の1,121億ルーブルとなった。一方、ネットワーク機器とデータストレージ分野はそれぞれ2,196億ルーブルと1,753億ルーブルで、ほぼ横ばいと評価されている。
同調査によると、ルネットの企業規模トップ5は、ヤンデックス(2026年2月時点でフォーブス推計243億ドル)、Ozon(134億ドル)、RWB(126億ドル)、Avito(55億ドル)、Cloud.ru(31億ドル)である。トップ10にはこのほか、MWS、VK、カスペルスキー研究所、СКБ Контур、hh.ruが名を連ねる。これら企業の総評価額は47%増の910億ドルに達した。
12歳以上のインターネット利用者数は2025年に100万人増加し1億500万人となり、ロシア人口の86%に相当する。また、電子商取引の利用者数はロシア連邦税務局のデータによれば7.4%増の2億8,000万人となった(訳注:ロシアの総人口よりも多く、原因は不明だが、1人の市民が複数アカウントを有しているような場合に重複カウントされているのかもしれない)。さらに、ロスコムナゾールのデータでは、稼働中のSIMカード数は20%増の3億1,700万枚に達した。
一方で、違法(海賊版)メディアの消費は合法的なものの2倍に達している。これはインターネット動画協会のA.ブィルジン会長が述べたもので、もし違法消費が合法市場に転換されれば、オンライン動画・音楽・ゲーム・電子書籍などのデジタルコンテンツ配信業者の収益は、2025年の実績2,900億ルーブルに加えて5,000億ルーブル増加し、現在の約3倍規模になり得るという。
ただしこの試算は仮説に基づくものであり、違法サイト自体の広告収入(F6によれば3,440万ドル)とは別である。現在、違法サイトの主な広告主は海外のオンラインカジノやブックメーカーであり、これらはロシアのインターネット広告統一登録簿にも含まれず、3%課徴金も支払われていないため、ルネット経済やロシアの金融圏には含めにくいとされる。
モスクワ大学の専門家T.ヴォローニン氏は、これらの数値は現在のマクロ経済環境を反映した妥当なものと評価する。地政学的状況の結果、国内資本が主に国内に滞留するようになり、それがヤンデックスやOzon、RWBといったロシアIT大手の企業価値の大幅上昇につながったという。また、デジタル主権を重視する政策や、外国製ソフトウェアの迅速な代替の必要性が、ITおよびクラウド分野への安定した投資流入を生み出しているとも指摘した。
物流分析会社Data InsightのS.セムコ氏によれば、2025年のロシアのオンライン取引は83億件、金額にして13.4兆ルーブルに達した。マーケットプレイスは注文数の81%、販売額の62%を占めている。また、「Infolineアナリティカ」のM.ブルミストロフ氏によると、実物商品のオンライン販売額は24.5%増の14.1兆ルーブルとなった。さらに、越境電子商取引も39.4%増の4,600億ルーブルと大きく伸びたという。
ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
