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 普段、「おっ、これは!」と思って本を買っても、すぐには読む時間がなく、「とりあえずツンドク」になりがちである。ゴールデンウィークの季節となったので、この連休中にはなるべく多くの本を本棚からサルベージし、読んでおきたいと思っているわけである。そんなわけでGW読書シリーズと銘打って、実際に読んだ本を紹介していきたい。

 まず、浜由樹子『ネオ・ユーラシア主義:「混迷の大国」ロシアの思想』(河出新書、2025年)を取り上げたい。1年ほど前の本ではあるが、個人的にこのほど読了し重要作と認識したので、紹介させていただく。

 ウクライナ侵攻におけるプーチン・ロシアの思想的根拠として注目を集めた「ネオ・ユーラシア主義」。その見立ては正しいのか。大国の戸惑いを反映する思想の実相を、第一人者が解き明かす。
 「我々は誰なのか」「ロシアとは何なのか」——ソ連崩壊を契機として、ロシアのアイデンティティを問い直す思想潮流「ネオ・ユーラシア主義」が立ち現れた。ロシア・ウクライナ戦争の陰には、プーチンに強い霊感を与えたこのイデオロギーの存在がある……という見立ては正しいのか? ドゥーギンをはじめ、多様な論客が名を連ねる思想の実相とは? 見取り図を第一人者が描出する。

 ところで、この本を読みながら、思い出したことがある。先日NHK-BSで放送されたフランス制作のドキュメンタリー番組「プーチン大統領が狙う“5つの海” -覇権拡大への戦略-」のことである。普段、NHKは良質な番組を届けてくれ、私なども学ぶことが多いが、ことこの「プーチンの5つの海」に関しては感心しなかった。「プーチン政権が長年追い求める“5つの海”構想からロシアの地政学戦略を読み解く。大統領が独自の論理を披露するアーカイブ映像や専門家のインタビューを交えながら黒海・アゾフ海・カスピ海・バルト海・北極海でのロシアの軍事活動や開発計画を解説。プーチン大統領の領土的野心の源は何なのか。ロシアの覇権拡大の意思と目的を解き明かす調査報道」と言うのだが(なお、番組では北極海ではなく白海とされていたはずである)、「5つの海」というありもしないグランドストラテジーを見立て、ロシアに関連して起きた紛争を無理やりそれにこじつけるという内容であった。ロシアがあちこちで問題行動を起こしていることは事実だが、それは往々にして異なる文脈で生じてきた状況への場当たり的な対応の積み重ねであり、何かご立派な経典のようなものがありそれを一貫して実践しているかのようにプーチン・ロシアを捉えたら、ある意味で「買いかぶり過ぎ」であろう。そのような誇大妄想を抱けば、ロシアの実像も見誤るし、我々諸外国の対応も見当違いなものになってしまう。

 本書『ネオ・ユーラシア主義:「混迷の大国」ロシアの思想』も、一脈通じる警鐘を鳴らしている。「アレクサンドル・ドゥーギン氏はプーチンの影のメンターであり、そのネオ・ユーラシア主義がプーチンをウクライナ侵攻へと向かわせた」といった週刊誌・ワイドショー的俗説を退けることに、本書は向けられている。そのために、1920年代の元祖ユーラシア主義から説き起こし、現代のアレクサンドル・ドゥーギン、アレクサンドル・パナーリンらの思想を検証して、プーチン体制との関係を冷静に分析したのが、本書ということになる。

 本書のより詳しい書評は別のところに書くことにしたので、今日のところはこのへんで。


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