昨日の話の続きである。今年度うちの大学院で修士課程に入ってきた皆さんのために、研究と論文執筆の方法を手ほどきする講義を担当していて、学生の皆さんに研究対象地域を学ぶのに有益な基礎的な文献を整理し伝えてあげようという話である。その一環として、ユーラシアブックレット/文庫のことを紹介してあげたいと考えた。実にバラエティ豊かなタイトルが出ているので、学生さんの研究テーマがどんなものでも、関係するものが1、2点くらいはあるのではないか。

 ここで改めておさらいをするなら、「ユーラシアブックレット」は、2000年から2015年まで、「政治・経済・社会・歴史から文化・芸術・スポーツなどにまで及ぶ幅広い分野にわたって、ユーラシア諸国についての信頼できる知識や情報をわかりやすく伝えること」をモットーとして、200号にわたって刊行された。しかし、残念ながら、発行元の東洋書店の倒産により、終止符が打たれた。私の聞いている話では、ユーラシアブックレットは好調だったものの、本業と言うべき医療関係の書籍などの採算が厳しく、経営が行き詰ったようだ。

 ユーラシアブックレットは、なかなか便利なフォーマットだった。我々の業界では、このシリーズで初めて本を出したという人も多かったのではないか。そんなわけで、惜しむ声も多く、結局、NPO法人ユーラシア研究所が、その精神を引き継ぎ、2015年から「ユーラシア文庫」を刊行することになり(発行元は群像社)、現在に至っている。ただし、刊行のペースはだいぶ落ちた印象である。

 それで、学生の皆さんに、ユーラシアブックレットから具体的にどんなタイトルが出ているかを整理して見せてあげたかったのだけど、さすがに東洋書店が倒産してしまったこともあり、一覧表をまとめるのに苦労した。主にこちらの情報に依拠しながら、ユーラシアブックレット全200タイトルの一覧表を作成した。まず、No.1から50までを見てみよう。こうやって見ると、旧ソ連・東欧時代からの重鎮がいらっしゃる一方、今も一線で活躍する研究者のデビュー作的なものも散見され、興味が尽きない。良く見ると、サッカーW杯日韓大会で日本とロシアが激突した年に、大平陽一『ロシア・サッカー物語』があざとく出てたんだなあ。いいなぁ、売れたのかなぁ。

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 次に、No.51から100まで。ここで服部倫卓先生登場。実を言うと、岩下明裕さんが、当時出した本に書ききれなかったこぼれ話をブックレットにしたという話を聞いて、私も『不思議の国ベラルーシ』に書ききれなかった話を『歴史の狭間のベラルーシ』にしたのだった。そんな企画全部受け入れてるから倒産すんだよなどと言っても後の祭り。

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 次に、No.101から105まで。個人的には、蓮見雄『琥珀の都カリーニングラード:ロシア・EU協力の試金石』、嵐田浩吉『オデッサ:黒海に現れたコスモポリス』あたりが思い出深いかな。

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 そして、No.151~200までだが、これで終わってしまった。キリの良い200まで出そうという出版社の心意気だったのか。今をときめく小泉悠さんも、これが処女作? 服部倫卓先生が再び登場し、『ウクライナ・ベラルーシ・モルドバ経済図説』を上梓しているが、その直後に表紙がカラー化され、地団太を踏んだ思い出がある。なお、2011年に出た本なので、印税(ユーラシアブックレットはちゃんと印税があった)は全額被災地に寄付しました。

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 そして、ユーラシア研究所に管轄が移ってからのラインナップが、以下のとおり。今後も本シリーズの末長い発展をお祈りします。

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