
ロシアの石炭産業は、採炭量という観点から見れば、上図のとおりウクライナ侵攻後も微減程度となっている。しかし、収益が非常に厳しいという現実を、こちらの記事が伝えているので、以下で記事の主要点をまとめておく。
エネルギー省のD.イスラモフ次官がこのほど記者団に明らかにしたところによると、ロシアの石炭産業の損失は、現在の不利な市場環境が続いた場合、2026年には前年に比べて41%増加し、5,760億ルーブルに達する可能性がある。この予測は、市場環境、すなわち石炭の輸出価格、ドル為替レート、政策金利が2025年第4四半期の水準にとどまることを前提としている。エネルギー省および国際機関の見通しでは、石炭価格の本格的な上昇は2026年末、もしくは2027年になってようやく始まる。中東での武力衝突は世界の石炭市場において価格のわずかな上昇をもたらしたものの、ロシア企業には恩恵を及ぼしていない。逆に、石油製品価格が上昇し、船舶燃料の価格を押し上げ、その結果として海上運賃の急騰を招いている。
ロシア統計局によれば、2025年の石炭産業の純損失は4,080億ルーブルで、前年の3.6倍に達した(下図参照)。

イスラモフ次官によると、赤字企業の数が急速に増えている。現在、62のロシアの石炭企業が「レッドゾーン」にあり、そのうち20社が採掘を停止している。さらにその中の14社は、操業の休止または清算を決定した。石炭産業の債務(買掛債務)は1.5兆ルーブルを超えた。その一方で、多くの企業が政府支援として、鉱物資源採掘税および社会保険料の支払い猶予を受けている。具体的には、138社が支払い猶予を受けており、これらの企業で国内石炭生産の約90%を占めているという。これらの支払いに関する未払い額は、3月1日時点で約660億ルーブルに達していた。これらの資金が企業の手元に残ったことで、企業は流動性を高め、運転資金を維持することができた。対ロシア制裁のもとで、またそれに伴う物流や決済の複雑化により、企業は輸出した石炭の代金をすぐには受け取れない状況にある。ロシア石炭産業における赤字企業の割合は下図のとおりとなっている。

ロシア政府の広報は3月24日、ロシア石炭産業の企業に対する支援措置の期限を延長したと発表した。これに関する政令は3月20日にミハイル・ミシュスチン首相が署名した。鉱物資源採掘税および社会保険料の支払い猶予は、2026年4月30日まで有効となる。さらに分割払いも認められており、企業は2026年5月から11月末までの期間、毎月均等に分割して未払い額を返済することができる。石炭企業への支援措置は、プーチン大統領の指示に基づき、政府が2025年6月に導入した。支払い猶予は2025年6月1日から適用されている。当初は2025年11月30日までの措置とされていたが、その後12月に2026年2月28日まで延長されていた。
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