トヨタ自動車は、サンクトペテルブルグの工場で現地生産を行っていたが、当然のことながら、ロシアによるウクライナ侵攻を受け工場を売却し撤退している。その旧トヨタ工場で、ロシア独自ブランドの「アウルス」車を生産する計画が進んでいるということを、こちらの記事が伝えているので、その中身をざっと紹介する。
記事によると、今年のサンクトペテルブルグ国際経済フォーラムでは、大きな目玉となる新発表が予定されている。会場では新型のAurus車が披露される予定で、同車はまもなくシュシャリにある旧トヨタ工場で組立が開始される見込みだ。生産開始は2026年前半に予定されており、2022年にトヨタが撤退した後、北都に自動車産業が象徴的に復活することになる。
生産されるのは、ロシアのプレミアムブランドにおける基幹モデルである「Senat」である。ラインナップにはセダン2種とSUV1種が含まれる予定。専門家によれば、これらの車両はプレミアム市場において、撤退したトヨタ・カムリ、メルセデスEクラス、ジェネシスG90の代替となることが期待されている。このプロジェクトはD.マントゥロフ第一副首相が自ら監督しており、ロシア自動車産業にとっての戦略的重要性が強調されている。
もっとも、この立ち上げに至る道のりは平坦ではなかった。当初は、中国の自動車メーカーである紅旗(FAWの高級ブランド)を技術パートナーとして招き、生産体制の構築を支援してもらう計画だった。しかし交渉は決裂した。関係筋によれば、中国側はロシアブランドに関わる制裁リスクを理由に「手を引いた」とされる。現在は、友好国の別のパートナーとの交渉が進められているが、その名称はまだ公表されていない。
シュシャリ工場は2007年に稼働を開始し、年間最大8万台のカムリやRAV4を生産していたが、トヨタ撤退後、象徴的な1ルーブルで国営企業「NAMI」に譲渡され、買い戻し権は付されていない。その後、株式の63.5%を保有するAurus社が同工場の管理を引き継いだ。これにより、旧トヨタの資産は、国産プレミアム車開発の中核拠点へと転換されることになる。
現在、Aurusの主な生産はタタルスタン共和国の特別経済区「アラブガ」(年産能力最大5,000台)に集中しており、VIP用に装甲リムジン化されたバージョンはモスクワで組み立てられている。サンクトペテルブルグ工場の稼働により生産量の大幅な拡大が可能になるが、専門家によれば、年間1万~2万台以上を生産しなければ採算は見込めないという。これは、外国メーカー撤退後に生じたプレミアム市場の空白を埋めるために必要な規模でもある。
新型Senatの公式価格はまだ発表されていないが、おおよその水準は明らかである。現行のSUV「Komendant」は約3,370万ルーブル、セダン「Senat」は約5,000万ルーブルで販売されている。ただし、サンクトペテルブルグでの生産向けには、企業向けや政府機関での利用を想定し、より手頃な仕様が用意される可能性が高い。詳細は、同フォーラムでの初公開時に明らかになる見込みである。
以上が記事のあらましであった。日本のトヨタ関係者の皆さんにとっては、話題にもしてほしくないところだろうが、個人的にはどうしても気になるので、ご容赦を。
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