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 こちらの記事が、ロシアの労働市場が売り手市場から買い手市場へじわりとシフトし始め、また副業が盛んになっていることを伝えているので、以下要旨をまとめておく。

 記録的な求人増はすでに解消された。2026年初頭、SuperJobのデータによると、公開求人の数は平均で12%減少し、一方で求職者数は2025年と比べて22%増加した。こうしたバランスが見られるのは2022年以来初めてだという。労働市場のバランスは徐々に買い手市場に移行している。

 労働市場の変化は一様ではない。依然として人手が強く求められている分野もある。医療・製薬分野では人材需要はほとんど減少しなかったが(前年比で求人は−1%)、一方で求職数は7%増加している。教育分野でも似た状況で、求人は2%減に留まったが、求職は10%増加している。一部の業界では、需要と供給のギャップが顕著に拡大している。ITおよび通信分野では求人が13%減少し、求職は11%増加した。特に不況に直面している業界では、需要の減少が目立つ。運輸・物流分野では人材需要が15%減少し、求職者数は27%増加した。自動車輸送業界にとって2025年は非常に厳しい年であり、コストの上昇に対して運賃や受注量が減少したため、多くの企業が市場から撤退を余儀なくされた。建設・不動産分野では、求人が13%減少し、求職は22%増加した。これは優遇ローンの廃止で住宅建設が鈍化しているためだ。

 SuperJob広報のN.イリチェンコによると、労働力の供給が需要よりも速いペースで増加する新たなトレンドが生じている。しかし、労働市場が完全に転換したと結論づけるのは、時期尚早と考えられる。ロシアが人口減少の谷から抜け出し始めるのは、統計局の予測によると、2030年代の初めごろになる。最も楽観的なシナリオでも、人口減少が増加に転じるのは2030年になってからであり、そのため、熟練かつ意欲的な人材をめぐる競争は今後も続く。ロシアにおける失業率の急激な低下は2022年に始まり、その年には歴史的低水準の3.7%まで低下した。2025年には、ロシアはG20で最も失業率が低い国となった。2025年12月には、ロシアの失業率は過去最低の2.2%に達し、2024年と比べて0.1ポイント低下した。2022年以降、人々は戦闘地域や防衛産業へと流出しており、さらに移民政策の厳格化によって外国人労働者も減少している。「大規模な人材不足の問題を主要なリスクの一つとして挙げる企業の割合は依然として高い」と、2025年9月に発表された当局のレポート「トレンドが語るもの」には記されている。

 HRMarketingの代表であり、民間雇用エージェンシー協会のCEOであるN.シチェルバコヴァは、2026年以降の労働市場では相反するトレンドが見られると指摘する。求人は減少し、求職は増加しているので、一見すると雇用主にとって状況は楽になるはずだが、人材不足は依然として解消されていない。オフィス職の分野では確かに徐々に雇用主優位の市場へと移行しており、求職側の競争は激化している。現在、企業は組織構造の最適化を進めており、人員削減が行われ、業務は他の従業員に再配分されている。こうした削減は民間企業に限らず、3月初めにはモスクワ市長S.ソビャーニンが市役所および一部の関連機関の職員を15%削減する決定を発表した。

 一方で、労働者や熟練専門職も市場を注視しているが、その目的は異なり、彼らは深刻な人材不足の中でより有利な条件を求めている。溶接工、旋盤工、フライス盤工、CNCオペレーター、電気工事士などは、やむを得ずではなく、より良い条件を見つけるために転職を試みている。彼らの受動的な求職活動もまた雇用主へのシグナルであり、市場は過熱しており、人材をめぐる競争が必要になる。同時に、特に工業や製造業における現場労働者の需要は依然として高く、さらに増加し続けている。熟練労働者の不足は実体経済にとって最大の課題である。このトレンドは、求人サイトhh.ruの給与ランキングによっても裏付けられている。トップ20は、現場労働職、IT分野、そして経営層によってほぼ均等に占められている。例えば第3位には溶接工が入り、今年2月には約29万ルーブルの給与が提示されており、2025年2月と比べて45%増加した。比較すると、ランキング首位の開発チームリーダーの中央値給与は今年2月で30万3800ルーブル(2025年比+22%)、販売責任者は30万ルーブル(同+50%)となっている。他のブルーカラー職では、 設備・設置作業員が12位に入り、中央値給与は1年で80%増の19万8600ルーブルとなった。15位には配達員が入り、この分野の需要は引き続き増加しており、中央値給与は35%増の18万4900ルーブルに達している。

 もう一つのトレンドは、パートタイムやプロジェクトベースの雇用の求人が増加していることである。SuperJobのデータによると、副業・兼業・短時間勤務の求人は増加しており、2026年2月は2025年2月と比べて11%増、さらに2年前(2024年2月)と比べると41%増となっている。2026年1月の時点では、副業を探している、または一時的な雇用に応じる意思のある人の履歴書数は、2025年の同時期と比べて11%増加した。副業は主に会計・財務、営業、リモート顧客サポート、受注対応、配送、医療(医師、看護師、検査技師)といった分野で求められている。会計や財務では、特定の会計業務の担当や報告書作成、複数の小規模企業のアウトソーシング対応などが挙げられる。医療分野では、追加シフトやコンサルテーション、複数のクリニックでの勤務など、兼業が一般的になっている。プラットフォーム型の働き方の発展により、雇用主側からの厳しい条件なしに、単発の仕事を見つけやすくななった。一方で、パートタイム就労の人気の主な理由は収入不足にある。ロシアの平均賃金は2025年に13.5%上昇したが、実質賃金の伸びはわずか4.4%にとどまった。HRエージェンシーのA.チハチョフによると、主な仕事があっても、もはや一つの収入源だけでは不十分な人が多くなっている。副業は、支出増加や会社の不安定さ、昇進の停滞に備える個人的な保険として捉えられることが増えている。SuperJobのデータでは、すでに23%のロシアの就業者が副業を持っており、さらに52%が追加収入を得たいと考えている。これは一時的な現象ではなく、国民的な行動モデルになりつつある。求人の減少と求職の増加という状況は、副業需要のさらなる拡大を引き起こす。人々は単一の雇用主に依存しないために、より積極的に働き方を分散させるようになるという。


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