
ロシアには社会主義時代の名残で数多くの企業城下町があり、ロシア語では「モノゴーラド」と呼ばれるが、リーマンショックの時にそれらの街で社会・経済情勢が緊迫化したことを踏まえ、企業城下町の具体的なリストを制定して対策を講じている。私は以前はロシアの地域経済の研究に力を入れていたので、その問題に関する論文を書いたこともあった。そして、こちらに見るとおり、今般2026年3月11日付ロシア政府指令No.469により、企業城下町のリストに新たに26の自治体が加えられ、他方で指定を外された自治体もあり、その結果、合計数が264になったということである。今回の追加の眼目は、ロシア連邦への編入を主張しているウクライナ東部・南部の4地域の自治体を加えることにあったようだ。
まずは、今回の動きを伝えるこちらの記事の要旨をまとめておく。
ロシア政府は、単一産業型自治体の一覧を更新し、ドンバスおよび「ノヴォロシア」の地域を含む264のモノゴーラドを同リストに含めた。ロシア経済発展省の広報によれば、「新しい版では264のモノゴーラドが確定された。既定の基準に合致する24の新たな自治体がリストに追加される一方、70の自治体は単一産業型という特徴を失った。これは実施された支援措置の効果による部分もある。新しい版のリストには、同国の新領土にある9つの自治体も含まれている。すなわち、ドネツク人民共和国およびルガンスク人民共和国、さらにザポロジエ州の都市区および自治体区である」とされている。なお、モノゴーラドのリストから除外されたとしても、それが国家支援の停止を意味するわけではないと指摘されている。そうした地域も、一般的な条件のもとで連邦および地域の開発プログラムに引き続き参加することができる。
大統領アカデミー応用経済研究所のD.ゼムリャンスキー空間分析・地域診断研究センター所長は、「今回のリスト更新は前向きに評価できる。前回、体系的な更新が行われたのは2014年で、すでに10年以上前である。その間に産業構造と地域構造は大きく変化した。ただし、今回の変更は決して大規模なものとは言えない。モノゴーラドの大部分はその地位を維持している。近年は規模こそ大きくないものの、支援の重点は徐々に、状況が最も困難で、これまで産業別など他の支援措置を利用できなかった小規模なモノゴーラドへと移りつつある。前向きな点としては、地方自治制度の新しい組織形態の現実に合わせてリストが整理されたことが挙げられる。今回の更新により、支援手段を自治体の実際の構造や現在の経済状況により正確に対応させることが可能になる」とコメントした。
これまでモノゴーラド支援は主にVEB.RF(ロシア対外経済銀行)を通じて行われてきた。2022年に同開発機関へ関連機能が移管されて以来、24のプロジェクトに対して資金支援が行われた。具体的には、15のモノゴーラドにおける17プロジェクトが、総額45.1億ルーブルの優遇融資を受けた。また、6つのモノゴーラドにおける7プロジェクトについては、総額15.9億ルーブルのインフラ建設共同出資に関する協定が締結された。これらのプロジェクトの実施により、モノゴーラドでは1万667人の雇用が創出され、339.9億ルーブルの投資が呼び込まれた。2025年末以降、モノゴーラドへの金融支援措置は中小企業公社(Корпорация МСП)およびMСП銀行を通じて実施されている。さらに、中小企業支援措置が優先的に適用される26のモノゴーラドの特別リストも作成された。
以下では、リストの中から、「新領土」にかかわるものを抜き出してみる。ロシアの政策の話なので、ロシア語読みでご容赦いただく。
1.カテゴリー1(とりわけ深刻な社会・経済状況のモノゴーラド):DNRエナキエヴォ、DNRマリウポリ、DNRトレズ、DNRシャフチョルスク、ザポロジエ州エネルゴダル、LNRアルチェフスク、LNRロヴェニキ、LNRクラスノドン
2.カテゴリー2(社会・経済状況悪化のリスクがあるモノゴーラド):DNRスネジノエ
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