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 個人的に、これまであまり考えたことがなかったけれど、中東産油国は電力料金が安いので、それを利用したアルミニウム精錬産業がかなり立地しているようだ。したがって、中東危機が深刻化すると、石油・ガスだけでなく、アルミのサプライチェーンにも影響が出てくるらしい。ブルームバーグのこちらの記事は、困った日本の自動車産業が、ロシアのアルミ大手ルサールに接近しているということを伝えている。以下記事のあらましを紹介する。

 記事によると、中東紛争によるアルミニウム取引の混乱を受け、日本の自動車部品メーカー数社が、ロシアのルサールとの協議に入っていることが、事情に詳しい関係者への取材で分かった。自動車産業でホイール、エンジンブロック、シリンダーヘッドなどの部品に使用されるアルミニウムを含む合金である一次鋳造用合金の購入に向けた交渉が、約1週間前から進められているという。関係者の一人は、いくつかの取引が近くまとまる可能性があるとした。韓国の自動車部品メーカー数社もルサールと協議を行っている。また、日本および韓国の企業は、インドやその他のアジアの生産者からの調達も含め、複数の選択肢を検討しているという。

 ルサールのアルミニウム製品自体は特定の制裁の対象にはなっていないが、日本企業を含む一部の買い手は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、自主的に購入を避けてきた。今回の動きは、そうした姿勢からの予想外の変化を示しており、中東の混乱が商品市場全体に与えている影響の大きさを浮き彫りにしている。同地域は世界のアルミニウム生産の約10%を占めている。

 中東のいくつかの工場は、PFAとして知られる合金の主要供給元となっている。UAEとバーレーンは湾岸地域における2大アルミ生産国であり、エミレーツ・グローバル・アルミニウムとアルミニウム・バーレーンは、日本や韓国への主要輸出企業である。今回の戦争はホルムズ海峡を通る輸送に混乱をもたらし、エネルギーだけでなくバルク貨物の輸送にも影響を与えている。米国とイスラエルによるイランへの攻撃が始まって以来、アルミニウム・バーレーンは不可抗力を宣言し、エミレーツ・グローバル・アルミニウムも一部の積み出しを遅らせている。

 関係者によると、日本企業が最終的にルサールから購入するかどうかを決定するには、商業面だけでなく地政学的な評価も必要になるという。また、緊急に必要な供給を確保するため、生産者側は長期契約を求める可能性が高いとも付け加えた。日本向けに供給している一部のサプライヤーはすでに、戦争開始以降の出荷を差し控えており、より高い価格で販売する機会をうかがっている。リオ・ティント・グループは先週、第2四半期の一次アルミニウムの日本向け供給を巡る交渉を停止し、当初提示していた1トン当たり250ドルのプレミアム提示を撤回した。


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