
ロシア連邦政府は毎年春頃に連邦議会の下院で前年の政府の活動を報告することになっている。例年、4月か3月に行われることが多かったのだが、今年はなぜか随分前倒しとなり、こちらのページに見るとおり、2月25日の開催となった。ロシアの経済情勢は日増しに悪化しているので、ボロが出ないうちに、早めに済ませておこうという計算なのか。ともあれ、25日のM.ミシュスチン首相の報告の中から、個人的に興味のある分野の発言を、以下のとおりまとめておく。
- 政府は現在マイクロエレクトロニクス分野に積極的に取り組んでいる。とりわけ、複雑で研究集約型のこの産業のバランスの取れた発展を確保するため、主要なマイクロエレクトロニクス資産の統合を進めている。本日までに12の技術ラインを近代化し、さらに7つを新設する計画。電子機械工学のプログラムを復活させ、現在もその改善を進めている。これにより、マイクロエレクトロニクス分野で使用される設備、材料、設計ツールの約70%を国産化(輸入代替)できる見込み。そこにはパワーエレクトロニクスを含め、多くの多様な分野がある。ここにいるG.クラースニコフ氏(ロシア科学アカデミーのトップ)は最高の専門家であり、最も有能な指導者の一人で、政府が電子産業発展への投資方針を定めるうえでも大きな助けとなっている。さらに、2021年から2025年にかけて、無線電子工学およびマイクロエレクトロニクスの発展に約5,000億ルーブルを投じた。今後3年間でさらに約2,500億ルーブルを拠出する予定。また、関連する調達法の枠内で外国製電子機器の購入制限を導入し、フォワード契約を推進し、偽造品対策として電子製品のマーキング制度も整備した。そして、独自の目標も設定している。2030年までに、半導体チップ製造用ウェハーの生産能力を8倍以上に増強することを目標としている。これは野心的かつ重要な目標であり、無線電子製品の生産額を6.3兆ルーブルまで増やす計画だ。これにより国内需要の約70%を賄い、さらに防衛分野では90%以上を確保することを目指している。これは大統領からも課された課題の一つである。
- 政府は農村に対して継続的かつ体系的な支援を行っている。2025年には我が国の農業および関連部門(APK)は5%の確かな成長を示した。2025年の耕種部門の生産量は9%増加した。穀物収穫量は1億4,200万tであり、これはロシア史上3番目の規模である。過去7年間、穀物収穫量は毎年1億2,000万tを上回っており、見事な成果だ。牛乳生産量は3,400万tを超え、前年比で0.5%増加した。産業の状況を注視し、必要があれば追加資源を割り当てている。とりわけ2025年には、当初計上されていた5,320億ルーブルに加え、さらに1,330億ルーブルを追加した。今年に関しては約5,420億ルーブルが計上されている。生産者が自前の播種用種子および種畜資源を確保できるよう、我々は農業科学に特別な注意を払っている。主要作物については、すでにほぼ70%を国産種子で賄っている状況である。
- (中央銀行が買い取るデジタル・ルーブル建ての特別債券を発行し、それによって戦略的産業における生産能力の拡大および労働生産性の向上を資金面で支えるという公正ロシア党のV.ガルトゥング議員の提案を受け)発生している財政赤字をどのように補填するかという選択についてであるが、昨日我々は大統領の下で、E.ナビウリナ中銀総裁をはじめ多くの幹部とともに、深夜まで非常に多くのアプローチを議論した。国家にとって最良の解決策をいかに選択するかについて、大統領と長時間にわたり討議を行った。財政赤字の資金調達方法を選択するとなれば、当然ながら金融政策に関わることになる。その意味で、中銀と方針を調整する必要がある。本質的に言えば、あなたが提案しているものもまた増刷(マネーの創出)にほかならない。増刷である以上、その性質上、インフレリスクと直接結びついている。我々はこの一年間、中央銀行と協力してそのリスクを克服してきた。さらに、それは経済に対して将来的に否定的な影響をもたらす可能性もある。それを回避するために、我々はこの作業を調整しつつ、国家予算の赤字をどのように資金調達するかについて引き続き検討していく考えである。
- 移民政策では、試験およびロシア語要件を大幅に強化した。学校就学のための子どもへのテストも導入した。また、移民に対する医療検査に関する関連法案も支持した。危険な疾病の発見期限は現在14日以内となっているが、この問題は我々の会合で貴殿が提起したものである。その後の強制送還手続きは5日以内である。さらに、2025年には、管理対象者登録簿が稼働した。これはロシア国内に不法滞在している者を対象とするものであり、2月6日時点で約84万人である。彼らには一定の権利制限が課された。すなわち、移動、車両運転、取引、婚姻、銀行サービスなどである。2025年には、その結果措置としてすでに7.2万人が強制送還された。生体認証に関する実験については、統一生体認証システムをロシア中央銀行とともに改善している。すでに950万人の外国人が生体認証を提出している。さらに、モスクワの空港およびオレンブルク州の自動車検問所「マシュタコヴォ」を通じて、約5万人強の移民の入国を阻止した。また、この経験を拡大する予定である。通信契約締結の際には、すでに390万人の外国人が統一生体認証システムを通じて本人確認を行っている。これはこの分野の秩序確立に資する極めて重要な方向である。また、国家機関間の情報交換および移民に関するあらゆる情報を統合するためのデジタル・プロファイルも構築される予定である。現在、この秩序を内務省と政府が整えている。そして、関連法の採択が極めて重要である。先週、移民からの税収を完全に確保するため、追加の前払い個人所得税、内務省と連邦税務庁との電子的データ交換、移民の所得情報および納税状況に関する諸提案などを国家院に提出した。さらに、外国人労働者の組織的なターゲット採用メカニズムも発展させている。これは主として国外、すなわち外国人労働者の居住国において実施されることが望ましい。そこには指紋登録、試験、医療検査といった義務的手続きが含まれる。そのうえで当該移民を特定の雇用主に紐づけることにより、より透明性の高い管理体制を構築し、追加的要件を課すことが可能となる。
- 住宅ローンの優遇制度に関しては、幼い子供のいる家庭向けの「ファミリーローン」が2018年から実施されており、現在では国民にとって最も利用されている制度となっている。2025年には、各種ローンム全体に占めるその割合は90%に達した。最も需要が高い制度であることは明らかである。本プログラムの開始以来、185万世帯が住居条件を改善した。これが成果である。現在同ローンの金利は6%である。大統領の指示に基づき、人口動態および家族政策実施評議会の結果を受けて、政府は国家評議会の各委員会とともに、本プログラムの条件見直しについてさまざまな選択肢を検討している。とりわけ、子どもの人数に応じた差別化金利の導入も検討対象である。ロシア中央銀行とともに、必要な原資がどの程度確保可能であるかについても検討したい。期限は6月とされている。住宅ローンは即座に実行できるものではない。我々は必ず実現可能性についても協議する予定である。しかし全体として、このアプローチを支持するものである。
- 強い経済を有する国家の成功的発展にとって、国家の防衛力および安全保障の強化が決定的要因であることは疑いない。そのため政府は、特別軍事作戦に従事している国家の軍隊に対し、必要な武器、装備、財政資源を確保している。特に需要の高い装備品の供給は数十%増加した。2025年は「祖国防衛者の年」であった。これは、歴史のさまざまな時期に祖国のために戦った人々の功績を記念するものであり、また現在ロシアの利益を守っている特別軍事作戦参加者を称えるものである。戦闘員およびその家族への支援は、大統領が強調しているとおり、国家および社会全体の最重要課題であり、義務であり、責任である。尊敬する議員諸氏においても、その履行に常に特別の注意を払ってきた。諸氏の尽力により、数十に及ぶ提案が支持され、法律として成立した。それらはすべて、我々の英雄とその家族を支える包括的な支援体系を構成している。政府の2025年活動報告に関連して述べる。退役軍人が健康を回復できるよう条件を整備した。現在、彼らは優先的にあらゆる医療および療養・保養治療、必要な医療機器の提供を受けることができる。戦争退役軍人病院の近代化も進めている。夏にはオムスクの病院を訪問したが、そこでは最新の診断方法が導入されている。また現在、社会基金の12のセンターのいずれにおいても、特別軍事作戦参加者は包括的リハビリテーションを受けることができる。移動費も補償される。必要であれば、治療申請から退院までの全過程において職員が付き添う。すでに数千人の戦闘員がこの制度を利用している。軍人および志願兵については、服務期間中の職場を保持する措置を講じた。また、社会契約を締結することで自ら事業を開始することも可能とした。新たな職業に挑戦し、追加的専門資格を取得し、技能向上を図るためのあらゆる条件も整備されている。すでに数千人の特別軍事作戦参加者およびその家族がこの教育を受けた。彼らが民間生活においても自信を持てることが極めて重要である。もちろん、これらの支援は「祖国防衛者の年」に限定されるものではない。今後も継続される。我々の英雄は名誉をもってロシアの利益と主権を守っている。我々は彼らおよびその家族を決して放置することなく、引き続き支援していくものである。
- 半数を超える地域が、予算貸付に関する債務の3分の2を免除する機会を活用した。これによって生じた余剰資源は、公共インフラ網や公共交通機関の更新に充てられた。これらの資金の一部および他の財源からの数百億ルーブルが、極東地域の25都市におけるマスタープランの実施に向けられた。そこに住む数百万人の住民のために快適な生活環境を創出することが目的である。しかも、何を近代化し、何を建設するかは、住民自身が決定しているのである。
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