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 ウクライナでの戦車損耗が激しいロシアながら、唯一の戦車生産工場であるウラル鉄道車両工場(UVZ)では新車の生産能力は限定されている。そこで、保管場に置かれていたソ連時代の旧戦車を引っ張り出してきて、修理とアップデートを施してウクライナの戦線に大量に送り出していることが知られている。しかし、膨大に存在した旧戦車のストックも、永遠に続くわけではない。ウクライナ側で報じられたこちらの記事が、ロシアの同オペレーションが苦しくなってきていることを伝えているので、以下抄訳しておく。

 UVZでは、旧式戦車T-72Aの近代化が開始された。軍事専門家たちは、ロシアはより新しいT-72Bの在庫を使い果たしたとしている。

 装甲車両研究者のA.タラセンコは、ロシアのテレビのプロパガンダ報道の中でT-72Aを確認した。工場からの映像では、砲塔に「レリクト」爆発反応装甲を装備した戦車が映されていた。履帯上部のフェンダー部分には、燃料タンクの代わりに防護モジュールが装着されていた。

 専門家の評価によれば、UVZは2026~2027年の間、T-72Aの修理によって生産能力を維持できるという。一方で、オムスクの工場は2026年中にもソ連製T-80B(BV)の在庫を使い果たす見込み。ロシアが新型戦車の大量生産体制を確立できるかどうかは、依然として不透明である。

 Frontelligence Insightのアナリストらは、2025年秋時点でロシアが10年間で800両以上のT-72をT-72B3M水準に修理・近代化する計画を立てていたと指摘している。この数字は、倉庫や工場に残っている在庫数と一致している。

 UVZの文書に基づき、アナリストらは計画を精査した。それによると、2036年までにT-72B3M仕様で828両を完成させる計画で、活動のピークは2028年になる。2027年から2029年の間に498両が修理または近代化される予定である。

 OSINT研究者のJompyも、これらの数字がT-72の保管在庫と一致していることを確認した。在庫の3分の2は1979~1985年製の旧式T-72Aである。その一部はすでに工場へ送られている。

 T-72AをT-72B3Mへ完全近代化するのは容易ではない。電子機器、足回り、装填装置、車体および砲塔の装甲パッケージの交換が必要となる。近代化は行われず修復のみ施され、T-72B3規格の爆発反応装甲を装備したT-72Aは、2024年に前線でロシア軍が使用しているのが確認されている。

 昨年、UVZには数百両分のT-72A車体が集められた。アナリストらは、それらを戦闘用に修復するか、「ターミネーター」や重装甲兵員輸送車のようなプラットフォームに再利用する可能性があると推測していた。

 2026年初頭までに、比較的新しいT-72およびT-80の在庫は枯渇した。修理可能な車両はすべて保管状態から引き出された。ロシア軍にとって最後の大きな供給源はT-62である。

 2025年秋、ロシア軍は初めて初期型のT-72「ウラル」およびT-72Aを引き出した。これらの在庫は状態が悪かったため、これまで手を付けられていなかった。


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