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 ロシアの貿易統計、軍需生産、制裁逃れなどを考える上で非常に気になる情報がこちらで伝えられていたので、以下で抄訳しておく。

 The Insiderが調べたところ、2025年のロシアの税関データには、180のカテゴリーに分類される技術的に複雑な商品(主にエレクトロニクスおよび工業生産分野)の供給に関する情報が欠落している。輸入業者がその活動を停止していないことを考慮すると、供給に関するデータが税関データベースに登録されなくなっただけだと考えられる。このように、当局は「グレー」な輸入に関する情報を隠蔽し、特に軍需産業にとって極めて重要な商品の供給業者に対する新たな制裁を回避しようとしている。こうした不正行為の代償として、国家の管理・計画に問題が生じる可能性がある。なぜなら、ロシア統計局のデータの信頼性が低下するからだ。

 ロシア当局は、社会的に重要なデータを隠す方法をずっと前から学んできた。たとえば、EGRUL(統一国家法人登録簿)は「戦略的に重要な」企業の所有者に関する情報のアクセスを閉鎖し、Rosreestr(ロシア連邦不動産登録局)は汚職者の財産に関する情報のアクセスを閉鎖し、ロシア国立図書館は盗作が発覚することを恐れた一部の役人の学位論文へのアクセスを数年前から閉鎖している。ロシア政府が、国家統計の信頼性に大きな影響を与えるデータを直接削除し始めたのは、今回が初めてと思われる。The Insiderが明らかにしたところによると、2025年、ロシア税関は、中央データベースからかなりの数の商品カテゴリーを削除した。

 以前、The Insiderは、例えばイランから供給される「シャヘド」が「ボート」と表示されていたことを報じたが、そのような事例はむしろ例外的だった。しかし今では、商品は名称変更も他のカテゴリーへの再分類も行われず、単に表示されなくなるだけとなっている。

 これは、以前はマイクロチップなど非常に狭い品揃えを専門としていた企業の財務諸表の分析から明らかになっている。他の商品(例えば、マイクロチップを「マッチ」や「釘」として登録するなどの方法)で大きな売上高を計上する代わりに、これらの企業は税関のレーダーから完全に姿を消してしまった。しかし、連邦税務局のデータによると、これらの企業が閉鎖、事業停止、または大幅な売上減少の兆候は見られない。

 2024年には、機械製造、電子機器、冶金などの分野で、制裁対象製品が220億ドル相当ロシアに輸入された。その内訳が冒頭の図である。

 これらの商品は、民需と軍需の両方で使われてる。だが、The Insiderが再三明らかにしてきたように、今の状況では、一見平和的な商品も戦争に使われている。例えば、「リチウムイオン電池」は、主にドローンに使われるので、重要な軍事商品である。The Insiderの一連の報道が明らかにしたように、加工センターや旋盤も、何よりまず軍需関連企業から需要がある。

 2025年には、EUと米国が制限を課したこれらの業界における主要輸入品の構造が変化した。2025年の輸入統計からは、コンピュータ機器、ルーター、集積回路、ビデオカメラ、無線部品、周波数発生器、レーダー機器、航法装置、電気モーター、集積回路製造装置、その他多くの電子機器が完全に姿を消した。また、掘削機、工業用炉、その他一部の機器など、合計約180品目が消えた。これらの供給は現在ゼロということになっている。どれもEUまたは米国の決定によりロシアへの供給が制限されている品目だ。2025年の最初の3か月だけで、ロシアには制裁対象商品が57億ドル以上輸入された。

 ロシア税関の月次報告書の分析により、これらの通関コードが2024年末から統計に反映されなくなったことが判明した。さらに、The Insiderは3つの重要な特徴に注目した。第1に、これらの変化は同時に発生した。第2に、特定の種類の商品を輸入していた企業、特に高度に専門化された企業は、市場で積極的に活動を続けていた。そして第3に、2025年のこれらの種類の商品の取引は、厳密にゼロである。これらすべてを総合すると、税関分野における大規模な「登録の改ざん」があったと結論づけられる。

 以前チップの供給に従事していた高度に専門化された企業の輸入売上高を比較してみると、もし彼らが単に商品の表示を変更しただけだった場合(税関職員の許可または直接の指示により)、売上高はおおむね同水準を維持していただろう(これらの商品の消費が劇的に減少したわけではないことを考慮すると)。

 どうやら、これらの通関コードが付いた商品の通関書類が記入されると、その情報は税関の中央サーバーには保存されないようだ。一方、データベース内の他の品目の商品は、引き続き正常に表示されている。

 この工作は、実体経済セクターにおける経済活動を合理的に分析し予測することを不可能にする可能性がある。したがって、間接的に、このような「対抗制裁」政策によって、統計局、国民経済を研究する学術機関、および計画と分析を担当する政府部門が被害を受けることになる。


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