
昨年の12月25日に出たものだが、2026年のロシア経済を展望したこちらの論説が目に留まったので(ロシア版フォーブス編集部M.ペレヴォシチコヴァ署名)、以下で抄訳しておく。長いので上下2回に分けて紹介し、本日は前編。
2026年にロシア経済が直面し得る主要な課題としては、経済活動の制御不能な減速、より高いインフレ率、それに伴う政策金利の上昇、さらにより大規模な財政赤字が挙げられる。
過去2年間のロシア経済を高熱に苦しむ人にたとえるならば、2025年には回復の兆しを見せ始めたと言える。年末時点のインフレ率は、中央銀行の予測レンジの下限を大きく下回る可能性がある。労働市場の人手不足も、もはやそれほど深刻には見えない。供給拡大の余地が需要の伸びに追いつかずに生じていた経済の過熱は、すでにピークを越えた。
もっとも、過熱状態からの脱却は別の問題を伴う可能性がある。すなわち、経済の痛みを伴う減速、2026年にインフレ率およびそれに伴う金利が予測を上回った場合の特定産業の問題、さらには財政赤字拡大の可能性である。加えて、地政学や制裁に関連する、ロシア経済にとってすでに常態化したリスクも依然として消えてはいない。
Forbesは、2026年にロシア経済が直面する主な課題について、マクロ経済学者たちに意見を聞いた。調査対象となったマクロ経済学者の多くは、2026年のロシア経済にとって最大のリスクは過度な減速にあると見ている。経済発展省の9月予測によれば、2025年のロシアのGDP成長率は1.0%、2026年は1.3%とされている。春時点の予測(それぞれ2.5%、2.4%)と比べると、大幅な下方修正である。ロシアのGDP成長率の鈍化は、2026年の主要な課題の一つだと、ロシア国民経済・公共行政アカデミー応用経済研究所の構造研究ラボ上級研究員V.エレムキンは指摘する。
しかも、その困難は複数の方向で同時に生じる可能性がある。第1に、自己資金および借入資金の不足、さらに一部産業におけるプロジェクトの先行き不透明感により、投資活動が顕著に冷え込むと予想される。企業の税負担は増加し、総需要の減速を背景に市場利益は低下し、高金利のために借入資金は引き続き調達しにくい状況が続く、と彼は列挙する。経済発展省の予測では、2026年の固定資本投資は、基礎シナリオで0.5%、保守的シナリオでは1.3%減少する見込みだ。
第2に、家計所得の伸びが鈍化し、ローン貸付も抑制されたままとなるため、需要も減速する。財政余力が限られているため、政府支出による景気刺激も弱まると、エレムキンは続ける。消費需要が大きく経済を支えてきた中で、その需要が弱まること、さらに財政支出の制限や財政再建が進むことを背景に、「制御不能な」経済冷却のリスクは確かに存在すると、ロシア科学アカデミー国民経済予測研究所所長のA.シロフも同意する。
一方で、経済活動を刺激する余地は限られると、モスクワ大学経済学部経済政策研究センター所長のO.ブクレミシェフは指摘する。財政面の余力は、おそらく想定よりも小さく、経済成長を加速させるための追加的な予算資金は確保できないだろう。他方、金融政策も高い確率で、経済が減速から回復するには過度に引き締め的なものとなる。こうして「ロシア経済が深刻な危機に陥るリスクがある」と、ブクレミシェフは論じる。
2026年の大きな焦点の一つは、増税や各種負担金の引き上げがインフレにどのような影響を与えるかである。中央銀行は、付加価値税を20%から22%に引き上げた場合、2026年のインフレ率を0.8ポイント押し上げると見積もっており、その影響は2025年末から2026年初頭に集中するとしている。同時に、中銀は、自らの予測が主に2019年の前回VAT引き上げ時の経験に基づいていることも認めている。当時はインフレ率もインフレ期待も低かった。2026年からの税金や物品税の引き上げはインフレ圧力を生み出す可能性があり、中銀が利下げを渋る姿勢は引き続き経済全体に悪影響を及ぼすだろうと、エレムキンは指摘する。ただし、急激な利下げはインフレの急騰やルーブル安など、二次的な影響を引き起こしかねないとも彼は付け加える。
「現在、中銀が想定している政策金利の軌道は13〜15%だ。しかし、予測に反してインフレが迅速に鈍化しなければ、金利はさらに高くなる可能性がある。これはロシア経済の複数の産業にとって深刻な問題となり、大規模な債務リスケ、あるいは倒産の増加につながりかねない」と、ロシア経済大学院のO.シバノフ教授は警告する。
現時点では、企業部門の不良債権はわずかに増えているにすぎない。2025年最初の3四半期で、その比率は0.2ポイント増の4%にとどまり、主に中小企業向け融資によるものだ。しかし、信用負担の問題はこのセグメントに限られない。状況は産業によって大きく異なり、不良債権の増加が特に目立つのは、鉄鋼業、鉱業、建設業、自動車産業である。最大規模の非金融企業89社のうち、すでに17社は債務を十分に返済できていない。銀行融資に依存する資本集約型で低利益率の産業が特に打撃を受けていると、コンサルティング会社「テクノロジー・オブ・トラスト」のA.ヴィノグラドフは述べる。まさにこれらの分野で、債務再編や局所的な倒産が顕著に増加する可能性があり、困難に直面する産業では統合も高い確率で進むだろう。
厳しい貸付条件の継続は、2026年に企業が直面し得る問題の一部にすぎない。税制や料金負担の変更もまた、負の変化を引き起こす可能性がある。すなわち、企業コストの上昇や利益率の低下が中小企業の財務を悪化させ、一部の事業が地下経済に流れる要因となり得ると、エレムキンは指摘している。
(続く)
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