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 私は無類のグラフ好き(?)で、なおかつロシアの鉄鋼業を研究テーマの一つとしている。そんな私にとって見逃せない、ロシア鉄鋼業の現状と見通しについて論じたこちらの記事が目に留まった。9月16日掲載と、少々古くなってしまったが、グラフを上掲のとおり転載させていただくとともに、以下で記事を抄訳しておく。

 なお、グラフはロシアの鉄鋼生産量を示したもので、2025年以降はコンサル会社「B1」による予測となっている。凡例は、下から、赤:горячекатаный прокат:熱間圧延鋼材、オレンジ:сортовой прокат:形鋼、ベージュ:оцинкованная сталь:亜鉛めっき鋼、薄緑:холоднокатаный прокат:冷間圧延鋼材、緑:прокат с полимерным покрытием:ポリマー被覆鋼板、グレー:その他となっている。

 B1社によると、ロシアの鉄鋼生産は2026年から徐々に増加し、2035年には7,800万tに達し、2024年の生産量を8%上回ると予測されている。今年の鉄鋼生産量は11%減の6,400万tとなる見通しだ。

 2026年以降は生産は回復し、同年の生産量は7,000万t(2025年比+9%)に達する見込み。その後、成長はより緩やかになり、2027年には7,100万t(前年比+1%)、2028年には7,200万t(+1%)となり2024年の水準を回復、2029年には7,300万t(+1%)に増加する。2032年には生産量は2021年の過去最高値である7,600万tに達し、2033年にはそれを上回り7,700万tとなる見込み。

 成長の主な原動力は、国内需要の増加になる。B1の予測によると、2035年には国内の鉄鋼消費量は4,900万tとなり、2024年の4,500万tから9%増となる。建設部門、自動車生産、その他の機械製造、石油・ガス産業における金属消費の漸進的な増加によって可能となる。

 住宅建設は、政府支援と優遇住宅ローンのおかげで、2035年までには2024年の水準に戻る見込み。ロシアでは住宅供給量が、2023年は過去最高を記録したが、2024年には前年比2.7%減の1億700万平方メートル強だった。ロシア統計局のデータによると、2025年1~7月の住宅供給量は前年同期比4%減の5,960万平方メートル、7月単月では13.8%減の740万平方メートルとなった。

 さらに、LNG新工場へのガス供給、ガス化プログラムの実施、および石油輸送に関する新規プロジェクトの一環として、パイプラインが建設される予定である。機械製造分野では、車両生産の増加、造船における鉄鋼消費量の倍増、農業用、農業用、道路用機械の生産分野における輸入代替量の増加が見込まれている。自動車産業における鉄鋼需要の増加は、優遇融資プログラムの実施、ロシア製自動車の市場シェアの拡大、および海外企業の現地化に伴い、車体および自動車部品の生産稼働率の回復によって促進される見込み。

 2035年までの鉄鋼消費量の増加は、建設セクター70万t、自動車産業では80万t、その他の機械製造では80万t、石油・ガス産業では90万tと推定されている。その結果、2035年の建設部門における鉄鋼需要は3,570万t、石油・ガス部門では690万t、機械製造(自動車製造を除く)では360万t、自動車製造では170万tとなる。

 また、鉄鉱石と石炭の価格が落ち着いていることも、鉄鋼生産の増加に寄与するとされている。今年の世界市場における鉄鉱石価格は平均12%下落して97ドル/tとなり、2026年にはさらに7%下落して90ドル/tとなり、その後少なくとも2029年までこの水準で安定すると見込まれている。2025年の原料炭の平均価格は25%下落して183ドル/tとなり、その後2029年までは195~200ドル/tで推移する見通しだ。

 ロシアの鉄鋼の主な輸出市場は今後も、CIS諸国、中東、アジアとなる。ロシアの鉄鋼メーカーはCIS市場への製品輸出を拡大できる可能性がある。2025年には、CIS諸国における鉄鋼消費量は2022年比56%増の1,450万tに達するという。

 分析会社「チェルメト・コーポレーション」のデータによると、2025年1~8にロシアの鉄鋼生産量は5%減の4,560万tとなった。8月単月の生産量も5%減少し、550万tとなった。同社によると、昨年のロシアの鉄鋼生産量は7,070万tで、2023年より7%減少した。このデータは、世界鉄鋼協会の統計と一致している。

 セヴェルスターリ社の推定によると、2025年1~6月にロシアの鉄鋼需要は1,980万tで、前年同期比15%減少した。ロシアの鉄鋼需要は、政策金利の高さを背景に、建設業や機械製造業の活動が落ち込んだことで減少していると指摘されている。

 記事はまだ続くが、長くなってきたので、このへんで。


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