
先日実施されたモルドバの総選挙。私が眺めた範囲内では、BBCロシア語版のこちらの記事が割と客観的で優れている気がした。
この中で、現地の社会学者V.カンタルジ氏が、次のように指摘している。PAS党の勝利に終わった今回の選挙結果は、PAS自身の功績というよりも、有権者の親欧州的な価値観のお陰だった。そうした有権者は、それぞれの考えから、サンドゥの党に票を入れた。重要なのは、有権者たちが、サンドゥ政権のこれまでの業績に必ずしも満足していないにもかかわらず、同党に入れたことである。つまり、かなりの有権者は、欧州路線のためなら、理想的でない党でも、その党が欧州路線を継続してくれる限り、支持する用意があるということだ。PASが、「我が党を選ばなければ、もたらされるのはプーチンであり、戦争だ」といった立場をとっていたことについては、野党は批判していたが、かなりの有権者には響いたことになる。また、ウクライナで戦争が継続していることから、有権者が「平時の争点」に切り替えにくかった。愛国ブロックはまさにそうした争点、経済や社会、「安いガス」といったことを訴えたが、効果がなかった。
一方、在キーウの専門家S.ヘラシムチュークは、次のように述べる。PASの勝因は、当局が親ロシア勢力の選挙への関与をなるべく制限しようとしたことである。民主主義の観点からは疑問があるが、選挙結果には効果があった。具体的には、すでに選挙戦が始まる前にI.ショール氏に関係した諸党を選挙に参加できないようにし、投票日直前には愛国ブロックのI.ヴラフ、偉大なるモルドバのV.フルトゥネを候補者から除外した。後者に至っては実質的に投票開始後の除外であった。したがって、PASが躍進したというよりも、当局が野党勢力の工作を制限することに成功したといった方が真相に近い。
記事はまだ続くが、とりあえずこのへんで。
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