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 こんなパターンばかりで恐縮だが、あるところでの講演に向け上掲のようなグラフを作成したので、ここでもお目にかける。こちらに見るとおり、キーウ国際社会学研究所が継続的に実施しているゼレンスキー大統領への信頼度(表現は違うが日本で言うところの支持率のようなものだろう)調査結果の推移を示したものである。

 グラフに見るとおり、開戦前は危険水域に入りかけていたゼレンスキー大統領への信頼度だったが、ロシアによる全面軍事侵攻開始後には概ね安定して高い水準を保っている。人物の好み云々ではなく、今はゼレンスキー大統領の下に団結し難局に立ち向かわねばという意識が、総じて国民に共有されているからだろう。

 直近の5~6月の調査ではゼレンスキーへの信頼度が若干低下しているが、専門家のフルシェツキー氏によると、これは予想された動きだったという。というのも、2025年2月以降、(ゼレンスキー大統領が訪米で毅然とした態度をとったことなどが評価され)国旗の下に結集するという効果が働き、政権信頼度が通常以上に高まっていた経緯があったからである。こうした効果はそれほど長続きはせず、一定期間後に支持が低下するのは自然な成り行きである。フルシェツキー氏いわく、「国旗の下での結束効果が弱まるにつれて、ウクライナ国民は、ロシアの夏の攻勢、汚職、人事、改革などの内的要因により敏感に反応するようになる。これらの事柄はすべて、政府による効果的な解決策と適切なコミュニケーションが必要だ。もし国民が政権による適切な対応を実感できなければ、さらなる信頼の低下傾向につながる可能性がある」ということである。

 なお、2025年5月の調査で、ゼレンスキーの74%に次ぐ信頼を集めたのは、芸能界から政治家に転身したプリトゥラ(50%)、キーウ市長のクリチコ(43%)、オデーサ出身のキャスター/政治家のホンチャレンコ(27%)、与党「公僕党」から分かれ出たラズムコフ(27%)、前大統領のポロシェンコ(25%)などであった。


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