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 マニアックな話題で恐縮。先日「プーチンが北極演説で『北極海横断輸送回廊』提唱」と題してお伝えしたように、3月27日にロシア北方のムルマンスクでプーチン大統領が演説を行い、今後の北極政策に関する戦略的方向性を示した。それを受け、こちらのサイトに見るとおり、今般プーチン大統領が北極政策の具体策を列挙しその策定を政府に指示した。そこで当ブログでは、前回同様、私の最大の関心分野である輸送分野の「北極海横断輸送回廊」についての指示(箇条書きの「5」の部分)を、以下のとおり抄訳しておく。自動翻訳ベースの少々粗いものになるが、悪しからず。

 なお、上掲の地図は、「北極海横断輸送回廊」のルートを直接示しているわけではないが、雰囲気が伝わる地図を、こちらから拝借して掲載したものである。

 5. ロシア連邦政府は、ロスアトムと共同で、国家評議会北極海航路・北極委員会、合同造船コーポレーション、ズヴェズダ造船所、関係する荷主の参加を得て、北極海横断輸送回廊(サンクトペテルブルグ~ムルマンスク~アルハンゲリスク~ウラジオストク)形成のための財政的、経済的、組織的モデルを開発し、承認する。それには以下の事柄が含まれる。

(a) 北極圏横断輸送回廊のインフラ事業者を確定する。

(b) 北極圏横断輸送回廊の機能と発展に関する主要業績指標の一覧を策定し、これらの指標を監視するシステムを開発する。

(c) ロシアからの輸出貨物の輸送を含め、世界市場における競争力を実現するため、北極圏横断輸送回廊のインフラ整備と運営のあらゆる段階において、コスト削減を確保する。

(d) 経済的に妥当な貨物輸送コストを確保するため、ロスアトムと荷主との間で、年間貨物輸送量に関する相互義務を規定した協定、およびテイクオアペイ方式による砕氷船護衛サービスの長期契約を締結する可能性を考慮し、貨物輸送量の見込みを決定する(年別、出荷場所別、輸送方向別)。

(e) 関連措置の資金源を特定し、プロジェクト22220の第7および第8系列万能型原子力砕氷船の建造を開始すること遅くとも2026年までに決定したた上で、2035年までの期間および2050年までの展望において必要な砕氷船隊の形成を確保する(全建設期間の建造費用の少なくとも50%を連邦予算から共同融資することを考慮に入れる)。

(f) 北方海路水域で実施される船舶の砕氷船護衛の料金の競争力を確保するための決定を採択する。北方海路水域において、必要に応じて、砕氷船団サービス費用の補助、およびその他の国家支援措置を規定する。夏から秋にかけてのトランジット航海を行う場合、砕氷船団サービスの料金を補助することを想定する。

(g) 北極横断輸送回廊の目標貨物輸送量を達成するため、北極海貨物船団の建造プログラムを策定する。その際に、国内造船所の能力と国内船舶部品設備の最大限の活用を想定し、国内造船企業による適時の供給の可能性がない場合には、必要に応じて当該船舶の建造および外国での購入・建造に対する国の支援を確保する。

(h) 2025年から、北極海横断輸送回廊の港湾水域で操業する国内浚渫船団の創設を確保し、必要であれば、港湾浚渫料金の経済的に正当な料金を確立するための国家支援措置の適用を規定する。

(i) 北極海横断輸送回廊の東部方面における通年航行への移行を確保するためのインフラ整備のための措置の実施時期と実施段階を決定し、必要な国家支援措置を提供する。

期限:2025年7月31日。

責任者:M.ミシュスチン、A.リハチョフ。


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