ロシア統計局より2025年第1四半期の鉱工業生産統計が発表されたので、それを使っていつも定番で作成しているグラフを上掲のとおり更新した。上段では、鉱工業全体、鉱業、製造業とその主要部門(部門名は分かりやすさを優先して簡略表記)、そして発電・送電を取り上げている。一方、下段では、軍需生産の比率が大きいと考えられる5部門の生産動向を示している。なお、これまで私は軍需関連4部門と称してきたのだが、化学品の中の「その他の化学品」も火薬・爆薬などを含んでいて軍需生産との繋がりが深いことが分かったので(ただ軍需比率はあまり高くないかもしれない)、今後はそれを加え軍需関連5部門としようと思う。
ロシアの鉱工業生産は、すでに2024年くらいの時点で、全体では伸びているものの、部門によっては減産も見られ、まだら模様となっていた。ロシアにとって本来の花形である鉱業(資源採掘)はどう見ても不振で、伸びているのは製造業であり、それも調子が良いのはもっぱら軍需関連部門というのが、2024年までのパターンだった。
それが、2025年に入ると、製造業、軍需も含め、全体的にパッとしないという様相に変わってきている。2025年Q1の鉱工業生産は、前年同期比1.1%増にすぎず、明らかに勢いを失った。2022年の壊滅の反動で2022~2023年と大幅増であった自動車産業も、9.5%の減産に転じた。
軍需関連も、頭打ちになってきた感があり、全鉱工業部門の中で最も伸びていた「他のグループに含まれない金属加工製品」(砲弾、ミサイルなどはここに含まれる)も30.1%増に留まった。さらに注目されるのは装甲戦闘車両を含む「他のグループに含まれない自動車以外の輸送機器」であり、一番伸ばしたいであろうこの部門がわずか2.6%増というのは、苦しさの表れである。そうした中、航空・宇宙機器は74.1%増と突出して伸びており、ドローン増産等が効いたのだろうか。
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