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 うちのセンターで5月13日に中居孝文さんによる講演「落日の日露ビジネスに復活の日は来るか」をウェビナー形式で開催するので、ぜひこちらのページをチェックしてみてください。それで、今回はそれに関連したこちらのニュースを紹介したい。大手の外資系企業がロシア市場に復帰する可能性があるかについて、ロシアの有識者たちが論じているので、以下抄訳しておく。

 ロシア市場での販売は、ZARA、Bershka、マクドナルド、IKEAを含むほとんどのグローバル企業にとって潜在的な関心事である。これらのブランドがロシアに戻ってくる可能性は高いが、そのプロセス自体には長い時間がかかるかもしれない。タス通信のインタビューに応じた専門家らはそのように語った。以下は、各専門家の発言振り。

 高等経済院のK.ボンダレンコ:マクドナルドを引き継いだ「美味しい。それだけ」のオーナーであるA.ゴヴォル氏は、「マクドナルドとの契約には15年以内の買い戻しオプションが規定されている」としている。この場合、契約に基づき、ゴヴォル氏がマスターフランチャイジーの最初の申請者になる可能性がある。この点を考慮すると、マクドナルドの買い戻しの可能性は高く、多額の投資や手続き面での煩わしさも必要ない。メディアは、マクドナルドがケータリング業界の職種やデリバリーサービスに関する50以上の商標の登録申請をロシア特許局に送ったと報じている。しかも、この場合は物流のサプライチェーンが維持されるため、プロセスは比較的速いかもしれない。ロシア市場への復帰に関心を持つ次の存在として挙げられるのは、Zara、Bershka、Pull&Bear、Massimo Duttiといったブランドを擁するインディテックス・グループであろう。インディテックスは、後継企業(MAAG、ダブなど)が占めていた市場セグメントに自社ブランドを返り咲かせることができる。消費者もZARAブランドの復活を待ち望んでいる。ロシアの消費者はZARAブランドに対して非常に高い忠誠心を保持しており、SDEK、Lamodaといったバイヤーを通じた注文が続いている。その一方で、復帰には一定の困難が伴う。第1に、物流コストがあり、すべてのサプライチェーンの復旧には時間がかかる。第2に、ショッピングセンターへの出店や法的問題の解決に時間がかかることである。時間はかかるが、経営陣が復帰を決断するのであれば、1年以上はかからないだろう。IKEAのロシアへの再上陸は、国民から非常に待ち望まれている。他の企業が頑張っても、IKEAが市場で占めていた存在を奪うことができた企業はない。また、IKEAは定期的に新しい商標の登録申請を特許局に提出している。ただ、現在の状況を踏まえると、仮にIKEAのロシア復帰が実現したとしても、それが迅速に行われる可能性は低く、長い時間がかかる可能性がある。また、価格は2022年に比べて大幅に上昇すると思われる。

 ストルィピン成長経済研究所のB.コペイキン:ロシアは世界人口の2%近くを占め、経済発展の度合いから世界の消費に占める割合はさらに大きい。したがってロシア市場での販売には大多数のグローバル企業が関心を示す。ただ、欧米やアジアの自動車メーカーのように、ロシアからの撤退を表明している企業が生産した多くの商品は、ほとんどの場合、並行輸入品として現在でもロシアで入手可能である。例外は、高価で複雑な機器や航空機などである。公式販売を復活させることは難しくなく、需要はあるだろう。しかし、2022年以前と同じレベルになる可能性は低い。なぜなら、すでに多くのニッチがロシアや中国、その他の友好国のメーカーによって占められているからだ。しかも、ロシア市場にはそれなりの規模はあるが、ロシアでの事業を放棄した大多数の企業にとって、稼ぐことはできるが、生き残りのために死活的な市場ではないからだ。現地のパートナーとの関係を維持し、資産の買い戻しの可能性について合意している企業や、ロシアに多額の負債を抱えていないような企業にとっては、復帰はやりやすい。しかし、時は流れ、そのような契約は期限切れとなり、ますます多くの企業がゼロから事業を始めなければならなくなる。したがって、どのようなシナリオであれ、2022年以前と同じレベルの非友好国からの企業活動は期待できない。

 ストルィピン成長経済研究所のA.スヴィリデンコ:特定のブランドがロシアに戻ってくると確実に言うことはできない。だが、大企業の行動原理を理解している人なら誰でも、彼らが常に分析し、現場を探っていることを知っている。すべてが計算されている。サムスン、起亜、ヒュンダイ、最近ではIKEA、三菱(自動車?)が商標を申請しているという噂がある。噂によると、衣料品ブランドのユニクロとインディテックスも復帰の可能性を検討しているようだ。


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