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 こちらの記事が、ロシア漁業の2024年の収益が顕著に悪化したことを伝えているので、以下要旨をまとめておく。

 全ロシア漁業生産者協会によると、2024年に漁業と養殖業を含むロシアの水産企業の収入は、前年比1.8%増の6,640億ルーブルとなった。同年のインフレ率は9.52%なので、収入は実質では減少したことになる。

 過去15年間、漁業者の年間平均収入増加率は約11%で、2021年は31.%増、2022年は7.8%増、2023年は18.3%増だった(上掲グラフ参照)。収益の伸びが急激に鈍化したのは、外国による制裁、ロシアの政策金利の高さ、ルーブル安といった悪条件の結果である。

 カムチャッカ地方でカニの事業に従事するレーニン漁業場によると、収入の減少とコストの上昇という極めて不利な状況下での操業を迫られ、投資プログラムを実施せざるをえない状況である。投資割当プログラム(漁業割当は、加工工場や漁船を建設する投資家の義務に基づき、または競売により発給される)の価格はほぼ2倍になっており、高い金利にも苦しめられている。

 スケトウダラ漁業者協会(この魚種はロシアの漁獲量の40%以上を占める)もまた、2024年の減収を記録した。 この部門のルーブル収入総額は、約1,400億ルーブルで、ルーブル安にもかかわらず前年比5%減となった。ドルベースでは、輸出市場での価格下落により、前年比24%減となる。

 2桁のインフレと急激なルーブル安という同じような経済状況に見舞われたことは以前にもあり、2014~2015年がそうだったが、当時とは漁業の収益が根本的に異なっているという。2014~2015年に水産業の収入は倍増したという。2015年、ロシアの漁業セクターの輸出には制裁という障害がなかったためである。

 EUは2024年、ロシアからの白身魚(タラ、ハドック、パイクパーチなど)の輸入に13.7%の輸入関税を課した。この関税が課される以前は、EUが白身魚のフィレの主要市場であった。しかも、ロシア政府はルーブルの為替レートに連動した輸出関税を引き続き課している。

 ルーブル安により、2024年には輸入機器のスペアパーツの価格上昇を含め、船舶の修理費が割高になり、燃料費も上昇している。さらに、ロシアの加工業者や卸売業者は、出荷した魚介類に対する分割払いを求める傾向が強まっているという。

 2025年の第1四半期には、2022年から2024年にかけてのマイナス傾向がさらに強まると見られる。毎年、第1四半期と第2四半期にスケトウダラの主な輸出が行われ、足元のルーブル高は漁業企業のルーブル収入の減少につながると。


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