上の図は、少々古いが、昨年10月にロシア紙のこちらの記事に出たグラフ。開戦後、ロシア産原油輸入の双璧となっている中国とインドの、輸入量の推移を示しており、左の紫が中国、右の赤がインドとなっていて、単位は100万t、2024年は1~8月の途中経過である。
ことほどさように、ロシアの石油輸出ビジネスの生殺与奪の権を握るようになった中国とインドなわけだが、昨日ロイターのこちらの記事が、その両国がロシア産石油の購入を停止したと報じ、衝撃が走った。ただ、記事を読むと両国が政策的にロシア産原油の輸入を禁止したといったことではなく、米制裁等により生じた状況により輸入取引が麻痺しているということのようである。
記事によると、米国が1月10日、ロシアの石油サプライチェーンを標的とした新たな制裁措置を発動。中国やインドの一部のバイヤーや港湾が制裁対象船を避けたため、タンカー運賃が高騰した。
トレーダーや海運データによると、これにより米国の制裁の影響を受けていないタンカーの傭船費が急騰。これを受け、中国で売り手と買い手の間に大きな価格差が生じたため、ロシアの主要市場であるアジアにおける3月積みロシア産原油の取引は停止している。
太平洋航路のアフラマックス・タンカーの運賃が数百万ドル高騰すると、太平洋のコズミノ港から中国向けに輸出される3月積みロシア産ESPOブレンド原油の提示価格が、DES(船渡しベース)でICEブレントに対して1バレルあたり3~5ドルのプレミアムに跳ね上がった。
1月の米制裁に先立ち、旺盛な冬場の需要とイラン産のライバル原油の堅調な価格により、中国向けESPOブレンド原油のスポットプレミアムは1バレル2ドル近くまで上昇した。
インドは通常、毎月中旬にロシア産原油のオファーを受けるのだが、1月には3月分のオファーをまだ受けておらず、3月着のオファー貨物量は1月と12月より減少する見込みだという。
ロシア産原油は2024年のインドの輸入量の36%、中国の輸入量のほぼ5分の1を占めた。
ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
