再三申し上げているとおり、2023年のロシアの貿易統計集が思いがけず手に入ったので、それを使いながらデータの集計・分析を進めているところである。
それで、気付いたのは、様々な品目の中でも、輸出の落ち込みが非常に目立つのが、木材の丸太であるということである。丸太の輸出量は、2021年:1,389万立米、2022年:349万立米、2023年240万立米と推移しており、激減している。「これは制裁が効いたのかな?」と、一瞬早とちりした。
しかし、調べてみたところ、何のことはない、こちらの記事などが伝えているとおり、ロシア自身が2022年から丸太の輸出を基本的に禁止した事実が判明した。ロシアは以前から木材を丸太ではなくなるべく製材に加工して輸出することを目標に掲げており、2022年からそれを徹底するために丸太の輸出を基本的に禁止することを、前の年から決めていたのだ。なのでこれはウクライナ侵攻や制裁とはまったく関係ない動きということになる。
なお、上掲記事に、2020年のロシアの地域ごとの丸太輸出量という興味深い図が掲載されていたので、上掲のとおり転載させていただいた。ハバロフスク地方270万立米、ヴォログダ州220万立米、イルクーツク州190万立米、沿海地方160万立米、レニングラード州100万立米、クラスノヤルスク地方80万立米、カレリア共和国70万立米と続いている。
ちなみに、丸太輸出を禁止して製材の輸出を増やしたかったロシアだが、実際には製材の輸出も(丸太ほどではないにせよ)落ち込んでおり、上手く行っていない。
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