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 時々取り上げるが、ロシアの自然独占問題研究所のこちらのページに、2024年第2四半期および上半期のロシア港湾貨物取扱量の概況が出たので、拝見することにする。

 戦争が始まる前の2021年の貨物量を100として、同研究所の発表にもとづき、その後の推移を私が跡付けてグラフ化したのが、上図となる。開戦後、欧米との物流ゲートウェイであるバルト海の港湾が麻痺し、それに比べ(キャパシティ不足で期待ほどは伸びていないにせよ)極東港湾の貨物量が上向き、私などはこれを貨物の東方シフトの表れだろうと受け取った。しかし、2024年上半期には、奇妙な再逆転現象が生じた。バルト海が力強く盛り返し、他の海域が落ち込んだため、現時点でバルト海が開戦前夜と比べて最も輸送水準が高いということになってしまったのである。

 この現象に関し、仮説を述べておけば、ロシアのバルト海港湾は肥料の輸出窓口になっているので、好調な肥料輸出がバルト海を押し上げたという要因はあったはずである。その他、バルト海港湾の石油製品、LNG、コンテナの取り扱いも増えている。一方、極東港湾は半分が石炭輸出という世界なので、石炭輸出の不振が響いているものと見られる。

 2024年上半期のロシアの港湾による取扱貨物量は前年同期比1.0%減だったが、貨物の種類別に増減を見ると、以下のとおりとなる。

  • 肥料:28.1%増
  • 穀物:11.0%増
  • コンテナ:10.9%増
  • LNG:3.2%増
  • 石油製品:1.7%増
  • 鉱石:1.1%減
  • 原油:1.5%減
  • 石炭:11.2%減
  • 鉄鋼:13.7%減

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