62

 2023年7月にロシアが「黒海穀物イニシアティブ」を握りつぶし、黒海を通じたウクライナの食料輸出に暗雲が垂れ込めたが、ウクライナのドローン攻撃でロシア黒海艦隊の脅威が後退したことから、その後ウクライナは独自の黒海輸送回廊を通じた輸出を敢行している。

 とはいえ、周辺海域では機雷の危険性が残っている。そこで、トルコが主導し、ルーマニアとブルガリアが協力する形で、3国共同で掃海作業を実施し、ウクライナからの食品輸出の一層の安全確保を図ることとなった。

 今年1月のこちらの記事によると、3国によるこの動きは、ロシアが2年近くにわたってウクライナに侵攻した結果、黒海の特定地域に漂着した機雷を除去することを目的としている。二次的な動機は、この地域の緊張をエスカレートさせないために、米国や英国を含む他のNATO加盟国を安全保障の取り組みから除外することである。ウクライナは2023年9月中旬以降、黒海回廊を通じて食料を中心に1,500万tの貨物を輸送している。また、予想を上回る豊作だった2023年の収穫高をさばくためにも、輸出の増強が必要とされている。2022年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始して以来、黒海諸国による初の大規模な共同行動となる覚書が1月11日にイスタンブールで調印された。kの枠組みに参加する3カ国はすべてNATO加盟国だが、このイニシアティブはNATOの作戦とはみなされていない。トルコは、米国を含む他のNATO諸国が黒海に海軍部隊を派遣することに反対している。トルコは先週、英国がウクライナに寄贈した2隻の機雷掃海船の通航を、戦争が進行している限り許可しないと述べた。

 そして、最新のこちらの記事によると、トルコ・ルーマニア・ブルガリア3国共同による機雷撤去作業が、このほど実際に始まった。背景として、昨年、ウクライナの主要港であるオデーサ港付近でロシアのミサイル攻撃が商船を直撃し、乗組員に死傷者が出た。大手カーギル社がチャーターした船も、11月にウクライナの港から航行中に爆発で損傷した。ウクライナは3月、黒海の港からの輸出量は、ロシアの全面侵攻以来繰り返された攻撃と混乱の後、ほぼ戦前の量に戻ったと発表した。それでも、オデーサ周辺の港湾はロシアからの頻繁な攻撃に直面しており、活動の中断が続いている。2023年8月に黒海回廊が開通して以来、ウクライナはオデーサ、チョルノモルシク、ピヴデンヌィから3,740万tの農産物を輸出していると、ウクライナ・インフラ省が先週発表した。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ